【86話後感想返信】エステラ、絶賛ポンコツ化中だけれど、やる時はやる
エステラ「綺麗な花には、棘があるのさ……」
ヤシロ「お、ポンコツのエステラだ」
エステラ「誰がポンコツだい!?」
ヤシロ「何してんだよ、花なんか握り締めて。環境破壊はよくないぞ」
エステラ「違うよ! ナタリアに言われたんだよ。『お嬢様くらいの年頃になると、花を嗜むくらいはしておくべきです』って」
ヤシロ「……で、嗜もうとした結果が、さっきのか?」
エステラ「決まっていただろう?」
ヤシロ「どこを目指しているのか、さっぱり分からなかったがな」
エステラ「どうすればいいんだい?」
ヤシロ「嗜むって……華道みたいなことか? でも、この世界で華道なんかやってもなぁ……あ、そうだ! 助っ人に助力を請おう」
――ミリィの花屋にやって来るヤシロとエステラ
ミリィ「ぁ……てんとうむしさんとシイタケさん」
エステラ「シイタケ……って、ボク?」
ヤシロ「お前はまだいい方だろう、シイタケ付けてたんだから。俺なんかてんとうむしの要素皆無だからな?」
ミリィ「今日は……なんのご用事?」
ヤシロ「いや、エステラに花の楽しみ方を教えてやってほしいんだ」
ミリィ「ぉ花の? えっと……好きに楽しめばいいと、おもうよ?」
ヤシロ「じゃあ、ミリィが普段やっているように花を楽しんでみてくれ。エステラはそれを真似するんだ」
ミリィ「ぅ……ぅん。いいよ」
エステラ「分かったよ」
ヤシロ「じゃあ、はじめ!」
ミリィ「ぇ……っと。みんな今日もキレイだね。くんくん……香りもとってもステキだよ」
エステラ「え……あ、み、みんな、今日も綺麗だね。く、くんくんっ! うん! 香りも素敵だ!」
ヤシロ「違う! 『香りもとってもス・テ・キ(はぁと)』だ!」
ミリィ「みりぃ、そんな言い方してないよぅ?」
ヤシロ「オリジナルを超えるにはよりパワーアップしなければいけないのだ! さぁ、やってみろ! 『香りもとってもス・テ・キ(はぁと)……なんだか、くらくらしちゃう(くねくね)』だ!」
エステラ「か……『香りもとってもス・テ・キ(はぁと)……なんだか、くらくらしちゃう(くねくね)』」
ヤシロ「ぶっはっはっはっ!」
エステラ「なんだよ! 君がやらせたんだろ!?」
男「オウコラ! 店主はいるか、ボケェ!?」
――突然、柄の悪い男たちが店にやって来る
ミリィ「ひっ…………ど、どちら、さま……ですか?」
男「お前か、コラ!? なんじゃ、最近儲かってるらしいのぉ、ボケェ!?」
ミリィ「ごっ……ごめん、なんさい……」
男「へへっ、チョロいぜ……ごほん! ワシはなぁ、領主からの命令で税金の取り立てに来たもんじゃ! ほら見てみぃ! これが、領主の紋章じゃぁ!」
――ヤシロ、エステラ、あまりの稚拙さに頭を押さえる
ミリィ「は、はぅぅ……ぜ、税金は、ちゃんと、おさめてます……よ?」
男「アホかぁ、ワレェ!? 儲けたら儲けた分、税金上がるんじゃ! 常識やろがい、ボケェ!」
ミリィ「ぴぃ! ……す、すみません…………おいくらですか?」
男「10万Rbじゃあ!」
ミリィ「そ、そんな大金……スグには無理、です」
男「なんじゃあ、領主様に逆らうんかぁ!? ここにある花、全部滅茶苦茶にしたってもええんやぞ、コラァ!」
――男、そばにあった花の入ったバケツを蹴り飛ばす
エステラ「おい」
男「あぁん!? なんじゃ、ワレェ!? やんのか、コラァ!?」
――メンチを切る男に、エステラがナイフを突きつける
エステラ「……イエスだ。やってあげるよ」
男「………………あ、いや、凶器は…………卑怯、なん、ちゃう、かなぁ? みたいな?」
エステラ「それから、これを見てごらん」
――エステラ、首にぶら下げている首飾りを見せる
――領主の紋章入りの首飾り。関係者だけが持つことを許される逸品
エステラ「ヤシロ」
ヤシロ「ヘイヘイ。会話記録」
――半透明のプレートが出現する
ヤシロ「『領主からの命令で税金の取り立てに来たもんじゃ』だ、そうだぜ、領主代行様」
男「りょ、領主代行…………っ!?」
エステラ「さて、君に選択肢をやろう……」
――エステラ、腕を真っ直ぐ伸ばし男を指さす
エステラ「今すぐ四十二区を出て行くか…………それともカエルになってみるかい?」
男「申し訳ありませんでしたぁ!」
――男、脱兎のごとく逃走
エステラ「……まったく。あぁいう輩はいつまでたってもいなくならないね」
ミリィ「か……っこいい……」
エステラ「怪我はないかい?」
ミリィ「ぁ……ありがとう、ございます」
エステラ「いいんだよ、これくらい」
ミリィ「……かっこいい……」
ヤシロ「それじゃあ、エステラ」
エステラ「ん?」
ヤシロ「もう一回、『香りもとってもス・テ・キ(はぁと)……なんだか、くらくらしちゃう(くねくね)』やっとこうか?」
エステラ「やんないよ!?」