【85話後感想返信】ベルティーナの嗅覚
ジネット「あ、シスター。キンモクセイの香りがしますね」
ベルティーナ「え? そうですか?」
ジネット「あ、ほら! あそこに咲いていますよ。……いい香りです」
ベルティーナ「よく、分かりませんね。風邪気味なのかもしれません」
ジネット「それは大変です! 今すぐお薬を飲まなければ……!」
ベルティーナ「大丈夫ですよ。あらかじめ飲んでおきましたから。少し鼻が詰まっているだけです」
ジネット「そうですか? なら、いいのですが」
ベルティーナ「しかし、嗅覚が落ちるのは不安なものですね」
ジネット「そうですね。お料理も、鼻が詰まっていると美味しく感じませんからね」
ベルティーナ「そうなのですかっ!?」
ジネット「えぇ。鼻に抜ける香りが味を引き立てているからだと思いますが」
ベルティーナ「ジネット。ありったけの薬を持ってきてください! 今すぐに風邪を、完全かつ完璧に完治させます!」
ジネット「『完』が多いですねっ!?」
ベルティーナ「そうです! 薬剤師さんのもとへ行きましょう。そうすれば、よく効く薬があるかもしれません。ジネット、お店の場所は分かりますか?」
ジネット「はい。では、ご案内しますね」
――テッテリープップー(←足音)
ベルティーナ「随分と歩くのですね」
ジネット「そうですね。大通りを越えて、さらに先の通りを進んだ、四十二区の外れですから。もうすぐ見えてくると思います」
ベルティーナ「ちょっと待ってください、ジネット」
ジネット「はい。どうかしましたか?」
ベルティーナ「しっ! …………いい香りがします」
ジネット「……今、なぜ『しっ!』と言われたのか、ちょっと気になります」
ベルティーナ「すんすん……この香りは…………ヤシロさんのお好み焼きの香りです!」
ジネット「えっ!? じゃあ、この辺りにヤシロさんが?」
ベルティーナ「いいえ、これは陽だまり亭からですね!」
ジネット「えっ!?」
ベルティーナ「こうしてはいられません! 早く戻りましょう! お好み焼きが、焼けてしまう前に!」
――ベルティーナ、ソロテッテリープップー
ジネット「……シスター。嗅覚、全然落ちてないです…………すんすん。何も感じません……当然ですけど。…………シスター、凄いです。あ、わたしも戻らないと!」
――ジネット、追いかけテッテリープップー
ベルティーナ「ヤシロさん!」
ヤシロ「ふぉおっ!? なんでバレた!?」
マグダ「……こっそり楽しむつもりが」
ロレッタ「はぅぅ……また分け前ガクッと減るです……」
ベルティーナ「みなさん。美味しいものは、仲良くいただきましょう」
ヤシロ「じゃあ、一人前以上食うな」
ベルティーナ「人は皆別々の生き物で、同じ尺度で計れるものではないのですよ」
ヤシロ「あぁ、もう! 分かったよ! どんどん焼きゃあいいんだろうが!」
ベルティーナ「物分かりのいいヤシロさんは、とても好きですよ」
ヤシロ「はいはい!」
ベルティーナ「大好きです」
ヤシロ「はいはい!」