【81話後感想返信】セロンとウェンディは、いつもきっとこんな感じ
ジネット「本当に驚きました。真っ暗な中、ヤシロさんが火のついたケーキを持って出てこられた時は」
ヤシロ「俺の国でのお約束なんでな。でもよかったよ」
ジネット「何がですか?」
ヤシロ「ウェンディが光ってなくて」
ウェンディ「あ、あの。最近は、私……そんなに光ってないんですよ?」
ヤシロ「どうした? セロンとケンカして発光塗料の製造をやめたのか?」
ウェンディ「まさか! セロンとケンカなんてありえません。この前も、私が待ち合わせ時間に遅れてしまった時に――」
セロン「君が遅れたおかげで、君のことを少し長く考えることが出来たよ。ありがとう」
ウェンディ「――って言ってくれたんですっ! セロンとケンカになることなんてありえません」
ヤシロ「……なんだろう。無性に殴りたい…………セロンを」
ジネット「素敵な話じゃないですか」
ヤシロ「どこがだ。イチャコラしやがって……けしからん!」
ジネット「も、もし、ヤシロさんだったらどうしますか?」
ヤシロ「ん?」
ジネット「ですので、もし、私がヤシロさんとの待ち合わせに遅れたら……」
ヤシロ「どこかの溝に嵌ってないか探しに行くな」
ジネット「嵌りませんよ!?」
ヤシロ「じゃあ……下水に落ちたか……」
ジネット「落ちませんよっ!?」
ヤシロ「となると……残りは狭い壁の間を通り抜けようとしておっぱいが詰まったか……」
ジネット「そんな無茶なことしませんってば!」
ヤシロ「なら、お前が遅れることはないな」
ジネット「うぅ……信用していただけているのは嬉しいのですが……そうじゃなくてですね……」
ヤシロ「もしお前ならどうする?」
ジネット「はい?」
ヤシロ「俺が待ち合わせに遅れたら」
ジネット「待ちます。待っているのも、楽しいものですから」
ヤシロ「六年くらいだぞ?」
ジネット「遅れ過ぎじゃないですか!? それは遅れたうちに入るのでしょうか!? はっ!? ということは、わたしは六年もの間お店をないがしろに……みなさんに申し訳なくて顔向け出来ませんっ!」
ヤシロ「もしもの話でそこまで反省しなくてもいいだろうに……」
セロン「ウェンディー!」
ヤシロ「お、敵が来た!」
ジネット「暴力はダメですよ!?」
ヤシロ「大丈夫だ! ボールを全力で投げつけて寸止めするだけだから!」
ジネット「投げたボールは寸前で止まったりしませんよ!?」
セロン「これはこれは。英雄様!」
ヤシロ「いい加減それやめろよ」
セロン「『これはこれは』は、失礼でしたか?」
ヤシロ「そっちじゃねぇよ! なに、イケメンは天然だと尚ポイント高いって誰かに教えてもらったの?」
セロン「ポイントですか? もし、ウェンディにもっと好きになってもらえるポイントであるならば、是非高めたいものですね」
ウェンディ「セロン……」
ヤシロ「え~っと……硬い物、硬い物……っと」
ジネット「ヤシロさん!? 何を探しているんですか!? ダメですよ!?」
ヤシロ「でもよぉ、セロン。ウェンディがアイデンティティをなくしている件についてはどう思ってるんだよ?」
セロン「アイデンティティ、ですか?」
ヤシロ「ウェンディは、光ってこそのウェンディだろうが」
ウェンディ「あ、あの……別に私は好き好んで光っていたわけでは……」
セロン「あははっ。何を言っているんですか、英雄様」
ヤシロ「爽やかに笑うな、イラッてする」
セロン「確かに、最近ウェンディは発光しなくなりました。けど……」
――セロン、ウェンディの手を取り、そっと跪く
セロン「今のウェンディが一番輝いているではありませんか」
ウェンディ「セロン…………嬉しい」
ジネット「……素敵ですねぇ、ヤシロさん」
ヤシロ「まったく……こいつらは…………しょうがねぇな…………刺さるヤツ、刺さるヤツ……っと」
ジネット「凶器のグレートが上がってますよ、ヤシロさん!?」