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DEEP BLUE

作者: カカセオ

 俺の名前は沖島 正志(おきしま ただし)、しがない会社員だ。

 俺は今、海に潜ろうとしている。

 海と言っても現実の海じゃない。

 VRダイビングゲーム。

 DEEP BLUE、それがこの海の名だ。

 VRゲームをやってるからと言って、VRセルを持っているわけではない。

 というかそんな甲斐性は無い。

 VRセンターでやっている。

 会社帰りにだけこれをやるのが俺のひそかな楽しみだ。

 世界の作りは粗く現実の海の方が良いという意見もあるが、それなりに爽快感はあるしわざわざダイビングのライセンスを取らなくても済む。

 それに、溺れて死なずに済む。

 命がけの冒険はごめんだ。

 これくらいが俺にはちょうど良い。

 といっても、長くやってれば飽きは出る。

 有名所は結構行ったので、今はもっぱらランダムダイビングを使用している。

 当たり外れはあるが、これが結構面白い。

 海に沈んだ古城や人面岩など変わった物を発見することもあるのだ。

 ランダムダイビングのスイッチを入れる。

 カウンターが回って止まる。

 N227E54か。

 覚えておけば何か在った時に掲示板とかに書き込めるので頭に叩き込んで、海に飛び込む。

 辺りに魚は一匹も居なかった。


(おっ、今日はついてる!)


 上に魚が居ないのは、下の方に造り込みをしているからだ。

 こういう所も出来が粗いといわれる所以だが、判りやすいのだからいいだろう。

 だが、結構深そうだ。

 今日はあまり時間が無い、給料日前なんで。

 急がないと下にあるなにかを見れない。

 急いで潜る。

 潜る。

 潜る。

 結構潜ったが何も居ない。


(まだ下なのか?)


 更に潜る。

 潜る。

 潜る。

 すると、ライトに照らされて何かが見えてきた。

 近づくと、その全貌が明らかになった。

 石造りの建物のようだ、それが海底にある。

 近づいてみると、中には巨大な蛸が居た。


(…ってあれ?ちょっと変な気が。なにかおかしイヤタダシイ。

 マチガッテイルノハジブンノホウダ…)


 気が付くと船の上に戻っていた。


「…あれ、サメに襲われたかな?」


 サメなどに襲われ命の危機で多大なストレスを感じると、その記憶を消去して船に戻す機能がある。

 今回もそれだろう。

 気が抜けたので、ここでログアウトすることにした。

 そうだ気分転換に今度本物の海へ行こう。

 ダイビングライセンス取って、現実のこの場所へ…。




















































「…客こねぇな」


「親方。やっぱり無茶なんだよ、こんな所でやるのは」


「だが取れたて新鮮な物を調理して、すぐ客に出すのには最高の立地だろ?」


「いや、そうだけど。げん」


「そうだろそうだろ。俺の考えは間違ってないんだ!

 最近流行ってるっていうVRってのにさぶりみなるって広告も出した。

 結構金かかったが、効果はばっちりだってよ。

 後は客が来るまで精進あるのみ!」


「…でも、ここに来れる人って居ないと思うんだ」


 弟子の呟きは親方の耳には届かなかった。



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