襲撃
「どうなってるんだ?!」
「へへへ こいつ竜の末裔みたいだ」
見た目がトカゲみたいな妖怪が言った。
すると妖怪たちは次から次へと殺気を出してきた。
そして、リーダーらしい妖怪が先頭に来た。
「野郎ども!!相手は覚醒Ⅰ階の弱い竜の末裔だぁぁ!! 大天狗様の命令通りこいつを殺さねぇと俺達の首も飛ばされるぞぉぉぉ!!」
覚醒Ⅰ段階?何言ってるんだこいつは??
Ⅰ段階ってことはⅠ段階以上あるのか?!
と考えてる時に妖怪達が雄叫びをあげながら俺に向かってきた。
「殺せ殺せぇぇぇ!!」
「楽に殺してぇやる ひゃひゃひゃ」
「チッ 狂ってる おい朱音逃げるぞ!」
さっきから俺の後ろで怯えながら座っていた。
「ご ごめん龍太・・・足に力が入らないや・・」
「そうか・・・」
ちょっと待てよ・・・覚醒した俺なら朱音を抱きながら逃げることができるんじゃないのか・・?
いやダメだ。覚醒した俺の移動速度はすでに人の見えないほどの速さつまりその速さで移動すると朱音は簡単に死んでしまう。
「戦うしかないか! 顕現せよ 倶利伽羅!!」
すると妖怪達は動きを止めた。
「く 倶利伽羅?!」
妖怪達は倶利伽羅を見て一瞬でひるんだ。
「これでお前らを簡単に斬れる! さっさと引け!」
するとなぜだから妖怪達は嗤い始めた。
「馬鹿か お前が倶利伽羅保有者だって事は大天狗様からお聞きになってるからよぉ てめぇの弱点は幼馴染 だろ?」
リーダーらしい妖怪は口を三日月にして嗤ってる。
俺急いで後ろに振り返るとそこに朱音はもう居なかった。
「この子を探してるのかなぁ~?」
俺は前に視線を戻した、すると気を失しなかった朱音が妖怪達によって木に拘束されていた。
「お前ら朱音に何かしたら・・殺す!」
「おい お前今の状況わかってんのか?てめぇの幼馴染の命は俺らが握ってんだよ!」
「チッ お前らの要求はなんだ?」
今すぐに殴りたい気持ちを抑えてなるべく冷静を装う。
「そんな殺気たってるやつにおしえるわけねぇだろ! そうだなまずその倶利伽羅を捨てろ!」
もしここで倶利伽羅を手放したら俺に戦う術がなくなってしまう・・・でも倶利伽羅を手放さなかったら朱音に危険が・・・
「おぉい?いいのかよ?今この小娘の命は俺達が握ってんだぜ?」
ここは従うしかないか・・・・
そう思いながら俺は倶利伽羅を地面に置いた。
「これでいいだろ?」
「置くだけじゃだめだ 遠くに蹴れ」
俺は黙って倶利伽羅を遠くに蹴った。
「俺達の要求はてめぇを殺すことだ!でもお前は竜の末裔だからそれなりに強いだから弱るまで俺達に殴られてろよ ヒャハハ」
「もしその条件を飲めば朱音に指一本触れるな」
「ああいいぜ? でも殴りすぎて死ぬかもな ヒャハハ」
「このクズが!」
「ああん? なんか言ったのかよ?」
「いや別に?」
ここは姫たちが来るまで耐えるしかない・・・
覚醒したおかげで今なら骨折を10分程度で直せる。
今はこの回復能力に頼るしかない。
リーダーの妖怪が隣の妖怪に声をかけた。
「へい なんすっか?」
「お前その女を起こせ」
「了解っす」
「おい待て!朱音に指一本触れないじゃないのか?!」
「ああ触れねぇさぁ」
さっき命令を受けた妖怪は朱音に近づき、朱音を縛ってある木を乱暴に蹴った。
「おい女起きろ!」
「う・・・うん」
朱音はゆっくりと目を開いた。
「おい 女今からお前の目の前の男を痛ぶりまくって最後に殺すから最後まで見てろよ?ヒャハハ」
倶利伽羅は俺から離れた所に居るし、俺は立ってるままで何もしようとしない。
「龍太!なんで戦わないの?!」
「お前が捕まっているからに決まってんだろ!ヒャハハ」
「そうなの・・・龍太・・・?」
俺は返す言葉もなく黙っていた。
こういう時に黙ると肯定と同じ意味だけどそれでも返す言葉がなかった。
「さぁてそろそろ時間だぁ」
リーダーの妖怪が今までで一番醜い顔で嗤っている。
「野郎ども!!相手は竜の末裔だ!!手加減なんてもんはいらねぇ!徹底的にやれぇェェェ」
「「「「うおおおおおおおおおお」」」」
あっという間に20体近くの妖怪に囲まれた。
蹴って殴られて踏まれて蹴って殴られて踏まれてそれを何十回やられたんだろう
前では朱音が泣きながらやめてって叫んでるけどやめる気配はない。
そろそろ受けるダメージの量が限界を超える。
結局姫たちはまだ来ていない。
俺はこのまま終わってしまうか・・・・?
「もうめんどうだからそのまま楽にしてやる」
リーダーらしき妖怪が言った
すると頭に金属類の武器がヒットして一気にダメージ量を超えた。
するとだんだん全身の痛みが鈍くなって行って、目の前も赤く染まった。
ごめんよ朱音俺じゃお前を守れなかった・・・
最後に朱音が龍太って叫んでいたのを聞こえた気がするけどもう目をあける力も残っていない。
体の痛みがだんだん感じなくなって行って、これが死か・・・冷たくて寂しいな・・・
やがて、意識を保つのもつらくなり、ついに俺は意識を手放した。