海神反撃開始
俺の周りに一人の気配がする。
それは多分俺をこの世界に引きずり込んだ声の主だろう。
(オマエ 何カ聞キタソウダナ?)
(ああ まずお前の言っていた代償ってなんなんだ?)
(オマエノ肉体ダ)
(何?! 俺の肉体だと?!)
(ソウダ オマエの肉体は少シズツワタシノモノトナル)
(何?! そんな代償払うなら力なんていらない!もう俺の体を返せ!)
(ソレハ無理。。。 ナンダト!)
その声の主はそれを言ったきり消えて行った。
代わりに俺は底無し沼から引きずり出された感じがした。
「はっ?!」
俺は悪夢から目が覚めたような感覚がした。
次第に視力も回復してきたと思ったら、目の前に姫の顔があった。
「うっ?! うう?!?!」
俺は咄嗟に声を出そうと思ったのに声が出なかった。
原因は姫が自分の唇で俺の唇を塞いていた。
しばらくすると姫は唇を離した。
「ひ 姫・・・」
「よかった! いつもの龍太戻ってきたんだね!!」
嬉しすぎた姫はもう一度俺の首に抱きついてきた。
今度はちょっと痛いほど締め付けられたけど心地よかった。
そして、俺は二度とあの声に頼らないと心に誓った。
姫を救出した後、俺達は急いで朱音の家に向かった。
「龍太 姫乃達は大丈夫なの?」
姫は姫乃達が戦う前から気絶したらしく、二人の様子をしらないらしい。
「うーん あまり大丈夫とは言えないけどでも安心して朱音が着いてるから」
正直言ってかなり重症だと言うことは一目瞭然だけどそれを姫に話したら余計責任を感じてしまうと思いあえて話さなかった。
「とりあえず朱音の家に急ごう!」
「う うんわかった」
少し落ち込んでる様子がした。
その後は少し気まずくなって朱音の家に着くまで何も話さなかった。
朱音の家の前に着いた途端、姫は急いで家の中へ駆け込み姫乃達の名前を呼んた。
「姫乃!小春!」
「お?姫帰ってきたか!」
「姫おかえりにゃん」
そこには元気いっぱいの姫乃と小春の姿があった。
・・・うん?!
さっきまで傷だらけのはずだったのにもうそんなに回復したの?!
「それはね空狐が秘薬を持ってきてくれたおかげだよ」
「うお?!」
後ろを向くといつのまにか朱音が居た。
しかもまた心読まれたし・・・
「うん?って事は今空狐はここに居るの?」
「うん 上に居るはずだよ」
すると二階からも物音がした。
「くーこちゃん 龍太帰ってきたよー」
「龍太さん お帰りなさい」
二階から空狐が下りてきた。
すると、強い薬の匂いが俺の鼻を刺激した。
「う・・・」
俺は思わず手で鼻を塞いた。
「やっぱり この匂いが苦手なのか…」
気づけば皆鼻を塞いていた、やっぱり妖怪でもこの匂いはきついらしい
「皆この匂い・・・嫌い?」
「な なぁ空狐よ それ何入ってんだ?」
「いくら龍太くんでも・・・ダメ」
「そ そっかなら聞かないでおくよ」
まぁともあれそれで姫乃と小春の怪我が治ったから材料はともかくよかった。
その後俺は姫を攫ったのは大天狗に仕える四天王の一人と皆に説明した。
「その四天王の人は倒したにゃん?」
「うーん・・・」
その時俺は得体のしれない何かと喋っていたから結局何がなんなのかはわからないだよな・・
「結局あの男は逃げた」
「なら私達は後4人倒さないと大天狗に会えないって事か・・・」
一気に皆の士気が下がった、姫乃と小春が二人して勝てなかったあの男は四天王の一人で他にも3人倒さないといけないと言う現実に少し絶望していた。
「一人の情報を入手しただけでいい方だにゃん!」
「そ そうだね!皆頑張って大天狗を倒すぞ!えいえいおー!」
「お おお」
「返事が小さい!」
「おおお!」
「よろしい」
いつの間にか姫乃がこの場を仕切っていた。
まぁ皆さっきまではちょっと暗い気分だったけど今はもう元に戻ってるからいいか
すると突然横に居た姫が倒れた。
「おい?!姫どうした?!」
「うーん なんでもないちょっと貧血かも・・・」
妖怪も貧血になるのか?と聞こうと思ったが俺はやめておいた。
姫だから多分気分がすぐれないけど皆に迷惑かけたくないから貧血っ嘘をついたと悟った。
「そ そっか今日いろいろあったしもう寝た方がいいよ」
「龍太の家壊れちゃってるよ・・・?」
あっ!すっかり忘れていたーー!
「今日私の家に泊まっていく? 姫達の姿は見えないし、母さんに言えば龍太も泊めてくれるよ!」
「わかった じゃ言葉に甘えて今日は泊まらせてもらうよ」
「じゃ姫ちゃんの寝る部屋案内するね 着いてきて」
「う うん・・・」
体調悪そうに返事した姫は上の階に上がって行った。
「はぁはぁ なんなんだ?!あの化物は! 僕の絶対零度の中でも動けるなんて! でも僕は諦めないよ川姫!」
「そーだ! フフフ 川姫の妖力にこっそりと僕の妖力を混ぜたの正解だったな! 後は時間の問題だな フフフハハハ」
「海神よ 何を笑っている?貴様竜の末裔を仕留め損ねたと聞いてるぞ」
「は!イフリータ様 誠に申し訳ありません! しかし次は必ず仕留めて見せます!」
「ほう ならやってみるがいい もし失敗したら・・・わかってるな?」
「はっ!」
四天王の中で2番目に強い彼女は僕なんかと比べたら・・・
いや比べるだけでも失礼なほどに強い、もし次失敗したら・・・僕は間違いなく彼女に殺される!
「僕は絶対に竜の末裔を殺して見せます!」
と僕は天に叫んだ。




