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げんごろうのおねしょとおにたいじ

 むかしむかし、やまおくのあるところにげんごろうという、はらがけいちまいだけつけて、いつもげんきいっぱいのおとこがいました。

 げんごろうは、きょうもまきわりをしたり、うえやはたけしごとをしてくれるので、おかあさんもおおだすかりです。

 そして、げんごろうのおうちにすんでいる子グマ(こぐま)クマ(くま)きちもいっしょにつだってくれます。


 げんごろうとクマ(くま)きちには、サル(さる)ウサギ(うさぎ)などのどうぶつたちといつもなかよくあそんでいます。

 げんごろうたちは、かけっこやつなひきをしたり、すもうをしたりしてあそんでいました。

 また、げんごろうはのぼりがとくいなので、にのぼってくだものをたくさんとってきます。とってきたくだものはみんなでなかよく分けてたべました。


 そんなあるあさのことです。

 「げんごろう、きょうもげんきなおねしょをおふとんにえがいちゃったね」

 「おっかあ、きょうもでっかくてげんきなおねしょがいっぱい出たよ。すごいでしょ」

 おかあさんがにっこりえがおでげんごろうをほめると、げんごろうもげんきいっぱいのえがおでこたえました。

 げんごろうは6さいになっても、まだおねしょがなおりません。いつもおきたときのげんごろうのおふとんには、でっかいおねしょがえがかれています。そして、げんごろうのはらがけもおねしょでぬれています。

 でも、おねしょはげんきなおとこシンボル(しんぼる)。おかあさんも、クマ(くま)きちも、げんごろうのおねしょをいつもほめてくれるので、げんごろうはおかあさんやクマ(くま)きちのことがだいすきです。


 そのとき、げんごろうたちのんぼやはたけをメチャクチャ(めちゃくちゃ)にしようとするわるいやつらがやってきました。

 げんごろうとクマ(くま)きちは、いそいでんぼやはたけへ行ってみると、そこにはおにがふたりでだいじなんぼやはたけをメチャクチャ(めちゃくちゃ)にしようとしています。

 「やい、おにどもめ、だいじなんぼやはたけをメチャクチャ(めちゃくちゃ)にしようとしたな。ぜったいにゆるさないぞ」

 げんごろうは、おそってきたおにをもちげてなげとばしました。クマ(くま)きちも、もうひとりのおにのかおにつめでひっかきました。


 しかし、げんごろうとクマ(くま)きちのまえには、さらにおおきいおにがあらわれました。大きいおには、んぼやはたけをメチャクチャ(めちゃくちゃ)にしようとしたふたりのおにのおやぶんです。

 「おまえら、ちっちゃなどもと子グマ(こぐま)のくせに、子分こぶんにたいしてなまいきなことをしやがって」

 おにのおやぶんからそのようなことをいわれたげんごろうとクマ(くま)きちは、おにのおやぶんにむかっていきました。


 クマ(くま)きちは、おにのおやぶんのうでにかみつこうとしましたが、おにのおやぶんクマ(くま)きちをそのうででふりはらいました。

 「ぼくのだいじなおともだちであるクマ(くま)きちをいためつけやがって、ぜったいにゆるさないぞ」

 げんごろうは、おにのおやぶんをもちげようとしますが、なかなかもちがりません。すると、おにのおや分は右足みぎあしでげんごろうをけりげました。げんごろうは、ちかくのにぶつかってきをうしなってしまいました。


 げんごろうがきがついたときには、どうくつのかべに手足てあしがぜんぶなわでくくられていました。げんごろうは、なわをほどこうとしますが、なわはかんたんにほどけないようにしているので、なかなかはずれません。

 そこへやってきたのは、おにの子分こぶんでした。

 「わしらにはむかったやつは、どもであってもただではすまないぞ。おまえのおかあさんは、わしらのおやぶんがあずかっているからな、ふはははは」

 そういわれて、げんごろうもだまっていません。

 「ぼくのおっかあになにをしたんだ! はやくおっかあをかえせ!」


 「そうそう、おまえせたいものがあったな」

 おにの子分こぶんしたのは、げんごろうがでっかくてげんきいっぱいのおねしょをしたおふとんとおねしょでぬれたはらがけです。

 「ふはははは、おまえは6さいになってもいまだにおねしょがなおっていないなあ。おまえのおふとんにもはらがけにもおねしょがベチョベチョ(べちょべちょ)だし、ふはははは」

 おにの子分こぶんは、げんごろうがまだおねしょがなおっていないことをおおわらいしながらいいましたが、げんごろうもまけていません。

 「おっかあは、おねしょするおとこはげんきなおとこだねとほめてくれるぞ。これからもでっかいおねしょをえがくぞ」


 「おまえ手足てあしをくくりつけているなわは、そうかんたんにほどけないぞ。いまのうちにおかあさんのことをおもいしておくことだな、ふはははは」

 おにの子分こぶんは、そういいながらどうくつのおくへさっていきました。

 「え~い、ううう~ん」

 げんごろうはなんども手足てあしちかられてなわをほどこうとしますが、なかなかほどけません。いつもげんきいっぱいのげんごろうも、さすがにつかれてきたようです。


 すると、クマ(くま)きちやどうぶつたちがげんごろうのまえにやってきました。クマ(くま)きちたちは、げんごろうとおかあさんをさがしているとちゅうで、おにのあしあとがあったので、それをたどっていったらどうくつにたどりついたのです。

 「ぐううぅ~っ」

 どうやら、げんごろうはおなかがすいてきたそうです。クマ(くま)きちやどうぶつたちもおなかがすいたので、どうくつのなかへもちこんだ台車だいしゃにいろんなくだものがたくさんありました。くだものは、げんごろうたちをさがしているとちゅうでとってきたものです。


 クマ(くま)きちは、みかんをげんごろうのくちなかはいるようになげました。げんごろうは、おおきくあけたくちでみかんをおいしそうにたべました。クマ(くま)きちは、おなじようにりんごやぶどうやかきといったくだものをなげると、げんごろうはおおきなくちでうけとってたべました。

 くだものをたべたげんごろうは、手足てあしをくくられていたなわを自分じぶんちからでかんたんにひきちぎることができました。

 「げんごろうくんがいつもげんきなのがいちばんうれしいな」

 クマ(くま)きちやどうぶつたちは、げんごろうがげんきでいることがなによりうれしそうです。みんなは台車だいしゃにあるくだものをなかよくいながらたべました。


 げんごろうたちは、おにのおやぶんにつかまっているおかあさんをたすけすために、どうくつのおくへいきました。

 どうくつのおくには、おにのおやぶんのとなりに、なわでからだをくくられているおかあさんがいます。ほかにも、子分こぶんふたりがまわりをかこんではっています。

 げんごろうたちは、おにたちにられないようにいわにかくれています。ところが、リス(りす)いわうえからようとしたとき、をすべらせていわからじめんにおちてしまいました。


 「おっ、うまそうなリス(りす)だなあ。きょうはおやぶんにごちそうをつくることができそうだな、ふはははは」

 おにの子分こぶんふたりが、じめんにおちたリス(りす)つけると、子分こぶんのひとりがリス(りす)をわしづかみにしました。

 「さてと、大きななべのおゆのなかにおいしそうなリス(りす)をしおゆでにしようかな」

 子分こぶんは、なきながらいやがっているリス(りす)を、まえにあるおおきななべのなかれようとします。そのとき、おおきないしリス(りす)をわしづかみにしている子分こぶんたりました。

 大きないしたった子分こぶんは、とてもいたいものだったので、わしづかみにしていたリス(りす)をはなしました。


 「おにどもめ、ぼくたちのだいじなともだちをいじめたな。ぜったいにゆるさないぞ」

 げんごろうは、おにの子分こぶんからにげてきたリス(りす)をもちながらっていました。クマ(くま)きちやほかのどうぶつたちも、げんごろうといっしょにいます。

 おにの子分こぶんふたりは、げんごろうたちがむこうにいるのをておそいかかりました。げんごろうは、子分こぶんふたりをまとめてもちげると、おにのおやぶんのところへなげとばしました。

 おにのおやぶんは、あわててよけようとしましたが、なげとばされた子分こぶんふたりにぶつかってしまいました。


 げんごろうは、おかあさんのからだにくくられていたなわをほどくと、おかあさんは、クマ(くま)きちやどうぶつたちがいるところにいきました。

 「よくもわしのだいじな子分こぶんたちをここまでいためつけやがって、わしは本当ほんとうにおこったぞ!」

 おこったおにのおやぶんは、げんごろうにむかっておそいかかりました。しかし、げんごろうはおにのおやぶんをうけとめると、ちかられてもちげることができました。そして、げんごろうはおやぶんをどうくつのかべにめがけてなげとばしました。


 おにのおやぶんは、どうくつのかべにぶつかりましたが、おやぶんはじょうぶなからだつきなので、すぐにがりました。おやぶんは、ふたたびげんごろうにむかっていきました。

 げんごろうは、おやぶんをもちげようとしますが、こんどはおやぶんがりょううでをつかって、げんごろうのからだつよくしめつけてきました。

 しかし、ここでまけるげんごろうではありません。げんごろうは、からだをうごかしてなんどもおやぶんのりょううでをゆらすと、つよくしめつけていたおやぶんのりょううでがゆるんだので、げんごろうはようやくることができました。


 げんごろうは、おにのおやぶんのりょうかたに自分じぶんあしをのせました。そのとき、げんごろうはおしっこがもれそうなひょうじょうをせましたが、ひっしにガマン(がまん)しています。

 すると、おや分がぶんをゆらしはじめたので、げんごろうはさかちみたいになりました。しかし、げんごろうはあしをおやぶんくびのところにひっかけるとともに、おやぶんからだでもってささえています。

 ところが、げんごろうがさかちになったので、げんごろうがつけているはらがけがしたにめくれると、げんきなおちんちんがまるえになりました。


 「ふはははは、ちっちゃなどもらしいおちんちんだなあ。子分こぶんからのはなしだと、おまえはいつもでっかいおねしょをやっているようだな。おまえがとてつもないほどのちからもちであっても、おちんちんはまだまだあかちゃんそのものだねえ」

 おにのおやぶんは、げんごろうのおちんちんをながら、げんごろうのおねしょのことをおおわらいしていますが、げんごろうもまけていません。

 「おっかあとクマ(くま)きちが、いつもぼくのげんきなおねしょをほめてくれるから、おねしょしてもへいきだぞ」


 げんごろうは、いまにもそうなおしっこをひっしに|ガマンしています。これをたおやぶんは、げんごろうがさかちになったままでどうくつのかべにむかっていきました。

 「わしの子分こぶんたちをどうくつのかべになげとばしたのとおなじように、おまえもなげとばしてやるからな!」

 おにのおやぶんはそういいながら、げんごろうをなげとばそうとしますが、げんごろうはさかちになりながらもおやぶんからだでもっているので、なげとばすことはできません。


 すると、げんごろうはからだちかられると、右足みぎあし左足ひだりあしをつかっておにのおやぶんのかたをつよくけりげました。おにのおやぶんは、げんごろうにつよくけりげられたかたがかなりいたくて、まえへいきたくてもすすむことができません。

 そのとき、げんごろうのおしっこがついにガマン(がまん)できなくなりました。

 「ジョバ(じょば)ジョバ(じょば)ジョバ(じょば)ジョバ(じょば)ジョバ(じょば)ジョバ(じょば)アアアア(ああああ)~」

 「うわっ、わしのかおにおしっこをいっぱいかけやがって…。やめろ、やめろ」

 げんごろうはくだものをたくさんたべすぎたので、さかちになったままでたっぷりのおしっこがおにのおやぶんのかおにめいちゅうしました。


 げんごろうは、おにのおやぶんがかおにおしっこをかけられてあわてているすきをて、じめんへとびおりました。おにのおやぶんは、あわててげんごろうをつかまえようとしましたが、あまりにもあわてていたのか、あやまっておなべのおゆのなか右足みぎあしれてしまいました。

 「あついあつい、本当ほんとうにあついっ!アッチチ(あっちち)アチチ(あちち)…」

 おにのおやぶんはおなべのおゆに右足みぎあしれると、やけどをするくらいのおゆのあつさに、すぐにうえへとびがりました。そして、おやぶん右足みぎあしがやけどしそうなくらいあつくなったので、右足みぎあしげたままでとびまわりました。おやぶんは、やがて右足みぎあしがあついのがおさまったのか、じめんにぺたりとすわりこみました。おやぶんはげんごろうのつよさにすっかりまいってしまいました。


 げんごろうがぶじだったので、おかあさんやクマ(くま)きち、そのほかのどうぶつたちはおおよろこびです。

 「おにどもめ、まいったか! これからはぼくたちのんぼやはたけをメチャクチャ(めちゃくちゃ)にするんじゃないぞ!」

 げんごろうとクマ(くま)きちがこういうと、おにのおやぶん子分こぶんはげんごろうたちにたいして、すなおにあやまりました。

 「これからは、んぼやはたけをメチャクチャ(めちゃくちゃ)にすることはしません。どうかゆるしてください…」

 おにたちがこころからはんせいしているのをて、げんごろうたちもおにたちをゆるしてあげることにしました。


 げんごろうたちは、ながいどうくつからそとると、すっかりとがくれていました。げんごろうは、おにたちとのたたかいでつかれたのか、どうくつからそとるとすぐにすやすやとねむってしまったようです。

 「げんごろうは、おかあさんをたすけるためにおにたちとたたかったからね。ふふふ、どんなゆめをているのかな」

 おかあさんは、げんごろうのぐっすりねむっているかわいいかおをながらほほえんでいました。


 「おっかあ、ここはもしかしておうちなのかな?」

 「げんごろう、おはよう。なが時間じかんぐっすりとねむっていたね」

 おかあさんは、げんごろうがをさましたのをて、にっこりとしたえがおでいいました。ぐっすりねむっていたげんごろうを台車だいしゃにのせて、おかあさんやどうぶつたちといっしょにおうちにもどってきたそうです。

 げんごろうがをさましたときには、すでにがのぼってそとからも青空あおぞらえています。

 げんごろうはおにたいじができたのはクマ(くま)きちやどうぶつたちのおかげとかんしゃすると、クマ(くま)きちやどうぶつたちもおかあさんをたすけてくれたげんごろうにかんしゃしました。


 おかあさんは、いつものようにげんごろうのかけぶとんをめくりました。かけぶとんをめくると、げんごろうのおふとんにはげんきいっぱいのでっかいおねしょがベッチョリ(べっちょり)とえがかれていました。おふとんだけでなく、げんごろうがつけているはらがけにもおねしょでいっぱいぬれています。

 「げんごろうのおねしょはきょうもベッチョリ(べっちょり)とでっかくえがいたね」

 「おっかあ、きょうはおにのおやぶんのかおにおしっこをめいちゅうさせたゆめをたよ。きょうのおねしょもでっかくてげんきいっぱいたぞ」

 おかあさんがにっこりえがおでげんごろうのおねしょをほめると、げんごろうもおきがってげんきいっぱいのえがおをせながらこたえました。


 おかあさんは、げんごろうのでっかいおねしょをしたふとんをおにわのものほしにほしています。おにわには、げんごろうだけでなく、クマ(くま)きちやどうぶつたちもあつまってきました。

 ものほしにほされているげんごろうのおふとんは、まさにげんきなおとこらしいげんきいっぱいのおねしょ。

 「ふふふ、げんごろうはみごとなおにたいじをしておかあさんをたすけたね。そして、今日きょうあさはげんきなおとこらしいみごとなおねしょをえがいたね」

 おかあさんがげんごろうをほめましたので、げんごろうもうれしそうなひょうじょうをせました。

 「おっかあ、これからもまいにちでっかいおねしょをおふとんにえがくよ。そして、でっかくてげんきなおねしょをおっかあやクマ(くま)きちにせてやるんだ」

 げんごろうがいつものようにはらがけいちまいだけでげんきなところをせてくれるので、おかあさんもよろこんでいます。


 げんごろうは、きょうもクマ(くま)きちやどうぶつたちといっしょにのぼりをしています。

 のてっぺんまでのぼったげんごろうは、たくさんのくだものをとってきました。クマ(くま)きちやどうぶつたちは、ひとりでたかいところまでのぼっていくげんごろうはたのもしいおとこなのでみんなおおよろこびです。

 「くだものをいっぱいとってきたからいっしょにたべようよ」

 「げんごろうくん、あしたもでっかいおねしょがえがいたおふとんをたのしみにしているよ」

 みんなでワイワイ(わいわい)とくだものをたべているとき、クマ(くま)きちはげんごろうのでっかいおねしょのおふとんをたのしみにしていることに、げんごろうは「でへへ」とてれながらわらっていました。

 小さい子供のときのおねしょは誰でもあるもの。でも、子供がおねしょすると、親が子供にすぐ怒ったり叩いたりするために、子供がいつもしょんぼりすることが多いらしいです。

 源五郎みたいに、毎日でっかいおねしょをお布団に描いても、お母さんがおねしょは元気な男の子のシンボルということで、やさしく見守っていれば、源五郎のようにいつも元気な笑顔を見せることができると思いますよ。

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