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one of the zillion ~アルス戦記~  作者: 粋生
第1章 奴隷と賢獣と人造精霊
8/24

7話

外にでるとすでに真っ赤な夕焼けが、俺たちが囚われていたステリアの方に広がっていた。

門から少し離れた所で俺たちはゆっくりと座り、ボ~っとしていた。


「あれしかなかったとはいえ、大丈夫かしら?」チョコは夕日を眺めながら話しかけてくる。


「さぁなぁ。でも、見事チョコの言っていたとおりの展開になったな。俺は、そんなの考えすぎだろって思ってた。普通、避難させようって思わないもんかな?」


「しかたないわよ。私たちの装備はステリアの物だし、かといって装備なしでいったらそれこそ怪しいし。古龍をみて警戒態勢だったから、気が立っていたでしょうしね。」あっさりと当然のことのように話すチョコ。


「俺はそこまで冷静ではいられないけどなぁ。目の前に自由になるための鍵があるのに、自由になれず、ただ待つしかないってこの状況はかなり精神的にキツイ。」


「そうね。最悪の場合は本当に他の街へ行かないといけないしね。今の装備で長期の行動は厳しくなるわね。」


そうやってしばらく、もし他の街へ行く場合について話し合う。正直、チョコはけっこう人間不信なんだと思う。同じ奴隷同士はそうでもないんだが・・・まあ、当然といえば当然だが。


そうこうしている内に夕日が沈み辺りがだいぶ暗くなって来た頃、小門が開き何人か出てきてこちらに近づいてきた。その内2人は幼い頃に見た神官服を纏った人がいた。


「申し訳ございませんでした。私はこの街の神殿に務めている神官の者です。この街の兵士達にあなたがたを手に掛けるようなことはさせません。一緒にいる人達はアルス協会の人達です。もう大丈夫ですよ。神殿まで御案内しすぐに呪いを解呪しましょう。」ゆったりと落ち着いた雰囲気のなかに確かな力強さを感じる人だ。


「できれば、すぐこの場で行なって欲しいのですが。」


「ここでは、いつ妖魔や魔獣が現れるか解りません。解呪の法も知ってはいますが1万年は使われていなかったものですから、集中できる神殿内で行ないたいのです。」


(そりゃまあ、そう言われてみればそうだようなぁ)


「この国の兵士達には手出しさせません。彼らは神殿まで安全に着くまでの護衛です。どこの国の機関も彼らアルス協会と敵対行為をすることはありませんから、どうか信じて着いて来て下さいますか?」


(まあ、俺たちが妙なマネをしたら逆に捕らえるつもりではあるのだろうけど、俺達にその気はないし、関係ないな。)


「わかりました。先程の兵士達のように武装解除を求めたりしないですよね?」


「もちろんです。あなたがたの立場であれば当然の要求です。」


「よろしくお願いします。」


世界中の国々とは一線をかくし、創世記のはじまりから存在する2大組織、創生神殿とアルス協会、これらがこの事態をほおっておくはずがない。これは彼等組織の存在意義にかかわる。それにステリアの残党や重要機密の行方も知りたいはずだ。


(しっかし、予定通りだ・・・。よくここまで考えて読めるよなぁチョコのヤツ・・・俺なんて行けばどうにかなるって思ってたもんなぁ・・・怖えぇ女だなぁ・・・)


チョコがこちらを向き、仮面の瞳部分にハイライトが灯る。


「うわっ!俺の思考を読むなっ!落ち着けっ!ハンターのみなさんが警戒するからっ!」

慌てて声をひそめて叫ぶ。


「・・・解呪が終わったら・・・チョコレートを食べさせて・・・それで許してあげる・・・」


「あぎゃぁ」


その提案にさりげなくのっかるベリー。


「・・・わかった・・・」


(金なんて一銭も持ってないんですが・・・高く売れるかなぁ拾った装備品・・・)



こうして神官に先導されて街の中へと赴くのであった。



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