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one of the zillion ~アルス戦記~  作者: 粋生
第1章 奴隷と賢獣と人造精霊
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4話

「なぁ、ところで生き残ってるのって俺らだけか?」話しかけるまで、なぜか少し固まっていた208番に声をかける。


「・・・ん?ええそうよ、あの時みんな戦死したわ。生き残ったのは、わたし達だけ。」


「・・・よく生き残れたなぁ、さすがというか、なんというか・・・」


「古龍にベリーが頼んで妖魔を倒すのを手伝ってもらったの。そうでなければ、さすがに助からなかったわ。エナジーもほとんどなくなっていたし・・・」


「そうかぁ。でもこれで俺たちは自由だ。」俺は満面の笑みを浮かべる。


「もう俺達をしばる奴等はいない!このまま山を抜ければ、どこかの神殿でこの首輪の力を解呪してもらえる!やったな、ベリー!!」


「あぎゃぁっ!」うれしそうに翼を広げて俺の肩にしがみつく。


「ホント、そうね!」


『うむ。近くの街までは、我が送るゆえ安心するがよい。』


「おおっ!マジかっ!助かる!・・・えぇ~っと~、ちゃんとお礼を言いたいんだけど、二人の名前はなんていうんだ?」


『我が名はリガディル』


「わたしは・・・うん・・チョコ・・・チョコにする!」


『”チョコ”良い名である。』


「うん。ありがとう、リガディル。」


「ちょっと待てィッッッ!!チョコって、おまえ・・・本当の名前ないのか?」そういえば、そういう部隊だったような・・・


「うん。ないよ。IDカードも208番。だから今決めた。」なぜだかうれしそうな声で言う。


「いや、でも、チョコって、オマエ・・・」思わず呆れ顔で言葉がでる。


「古龍リガディルも認める聖なる食物の名前よ!甘くてほんのり苦い、はじめて食べたけど本当においしかったわ。」仮面で口元しかみえないが、ああ、きっと満面の笑みだ。


『ウムッ!!』力強く頷く古龍。


「まぁ、じゃぁ、いっか・・・。改めて、チョコ、リガディル、それとベリー、助けてくれてありがとう。」


「どういたしまして」


『当然のことをしたまで』


「あぎゃぁ!」


そうして古龍リガディルの背に乗せてもらい、ここから東にある隣の国、高原都市国家トーリアへと向かう。上空を飛行していても、リガディルが障壁を掛けているのか突風も寒さも感じず、そこに広がる雄大な景色に思わず感じ入る。


「なあチョコ、その仮面はずさないのか?その下に酷い怪我の痕があるっていうのは聞いたことがあるけど、この場所には俺達しかいないんだから、仮面越しじゃなくてなまでこの景色をみるのもいいんじゃないか?」


「んっ。」と言ったかと思うとすぐおもむろに仮面を取り外す。


「はぁ~、やっぱりないほうが楽ねぇ。別に蒸れたり視界が塞がったりすることもないんでけど、たしかにアンタのゆうとおり生の方がいいわね。」そう言いながら、上半分焼け爛れた顔を風にさらしながら、目を細めて景色を眺める。


正直、かなりヤバイ顔なのだが、奴隷時代にもっと酷いものを見てきた俺達は特別気にするほどのものでもない。感覚的にチョコ本人も気にしている様子もなく、仮面は自分の為というよりまわりがその顔を気味悪がって直視したくないが為に、上の連中が仮面を付けさせたのだろう。

この世界の医療技術はたしかに凄いのだが微妙だ。直接魔術による治療は禁止されている。他人が魔術で治療すると確かに綺麗に治す技術は一時期確立されていたのだが、血液型と同じで人それぞれに魔力の特色があり、治りはするが微妙に拒絶反応を起こすらしく、その場は治っても寿命が実は少しづつ減っているらしい。なので基本的には飲み薬か、塗り薬などを利用する。もしくは神殿にいき、神官に4柱神の奇跡力ともいうべき神聖魔法の治癒をかけてもらうかだ。当然、重い怪我や重病ほど魔法のランクも値段も上がる。しかし治る。チョコの全身に刻まれた傷跡も何もなかったの様になるだろう。

俺たちがいた国にはもはや神殿などとっくの昔に無くなってしまったので、大きい怪我を薬や自己治癒魔法で怪我を治す事はできても、傷跡を完全に消すことはできない。

まぁ、奴隷の俺達に上等な治療など施してくれたりはしないが・・・。かわりに変な実験薬を飲まされて亡くなる奴隷の方が多い。俺もいろいろ飲まされたなぁ・・・まぁ、そんな事はとりあえずいいか。それより・・・


「そういえば古龍の素材って、どれぐらいストレージできたんだ?」微笑みながらゆったりと景気を眺めるチョコに声をかける。


「ん、全部よ。ベリーにもストレージリングを付けてもらったら、なんとかなったわ。むしろ、もう少し持てるわ。ベリーってちっちゃいのにすごいのね」ベリーを撫でながらサラッととんでもないことを言う。


「ハァァッ?!あの大きさの量を二人でかっ!?」


「わたしは古龍の肉全部。剥ぎ取った鱗や牙、頭部をベリーに持ってもらったわ。あとは、あの場に野ざらしに残っていた使えそうな道具も全部持ってもらった。」


ストレージリングはその名の通り物をしまえる指輪である。実際には使用者のレベル、もしくは総オリジン値量が高ければ高いほど多くの物を粒子化して、その身に纏うように別の重なり合う次元に置いてあるわけで・・・


「あ~、つまりレベルがメチャクチャ高いってことで・・実際のところどれくらいなの?」恐る恐る聞いてみる。


「ん、わたしは381だよ。」

何の気負いも無くサラッといっちゃいましたよこの人!俺、レベル0で霊力も低いからせいぜいポーション10個持てる位なのに!あんな巨大なドラゴン丸ごとですか!そうですか!


「・・・つーと、ベリーも最低200はありそうだなぁ・・・」


「あぎゃぁっ!」


何気に胸を張ってポーズをとるチワワサイズのドラゴン。


「あぎゃぁっ!」


ポーズを変えてもう一度ほえる。


かわいいんだけど・・・俺の200倍以上かぁ・・・



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