3話
白髪に褐色の肌に、銀色の仮面・・・
俺のいたイカれた国の兵達の間では、超有名な人物。アルファ特殊研究所で、もの心つく前から兵士として、ありとあらゆる戦闘術を叩き込まれる。その過程で数多くの奴隷達が散っていった特別訓練プログラム。あまりの地獄の日々を送ったため、皆プログラムが終了する頃には髪が白髪になるという。その中の生き残りの一人、最強の女奴隷兵士・・・
「・・・208番、か・・・」
「・・・体の怪我はもう大丈夫そうね、one of the zillion、痕諾者の・・・シロウ」
「・・・なんで、アンタみたいな人が俺のこと知っているんだ?」
「そりゃぁ・有名人だからね・アンタ。みんな死んでいく中・・レベル0なのに・・なぜだかギリギリ生き延びているから・・いっつも・・・」
なぜだか厭味に聞こえる。ここは言っとかんと・・・
「いやっ!ホントいっつもギリギリよっ!俺っ!今回の件だって、今までよく魔獣の囮係りで餌にされて、何十回も丸呑みされ慣れていたからなんとかなったんよ!」
「・・・普通、何十回も丸呑みされる前に、倒せるようになっていると思うんだけど・・・まあいいわ。それだけ元気なら問題ないわね」
「そういや、あまり痛くないな・・・治療してくれたのか・・・」そう言って改めて自分の体を確認する。着ていたボロいアーマードは脱がされ、所々に包帯がわりの布が巻かれていた。
「まあね。ありったけのポーション全部つかったから、治ってくれなきゃ困るわ」
「全部か・・・マジでありがとう・・・」心からそうお礼を述べた。今の状況下でポーションは本当に命綱だ。いつ妖魔や魔獣が襲ってくるかもわからず、場所は山脈の奥地だ。安全なポイントは果てしなく遠い。
「だから・・・お礼ちょうだい・・」とモジモジとなにやら切り出してくる。
「なっ、なんだ?なにが欲しいんだ?」
(仮面のせいで表情が読めん!なにを要求する気だ!?相手はあの208番だ!どうなる?!どうなの!?)
「・・アレが・・欲しい・・・」
(アレ?アレってなんだ!?こんな言いにくそうに!キスか!?キスなのか!?まさかあの208番が!?イヤないだろ!はじめて会ったんだし・・いや、でもこんないつ死ぬかもわからない状況下だし、種族維持本能が働いているのかも知れん!!)
「・・・ねぇ、ちょうだい・・・すごく興味があるの・・・」208番がゆっくりと迫ってくる。
(えぇっっ!!マジかっ!?さらにその先かっ!?イヤ、マズイだろ!?俺はこう見えても中身は40近いのよぉ!!犯罪だろこれ!?たしか208番は12才位のはずだろ!!どうする!?どうーすんのーコレッ!?)
「・・・わたしも欲しいの・・古龍が美味って言っていたもの・・チョコって言っていたわよね・・わたし、食べたことがないの・・・まだあったら・・ちょうだい・・・」
(・・・なんだ・・チョコか・・・なんだったんだ・・・おれの・・いや、もう何も考えまい・・・)
「ああ、たしかあと3っつ位は・・・「あぎゃぁっ!」『いただこう!』」突然、ベリーと古龍が割り込んでくる。
いや、俺の分がなくなるんだけど・・・まぁ、いっか・・・