18話
「そうか、わかったのじゃ。」
あっさりとアイラは頷きこたえた。
「・・・・・・ずいぶん、あっさりした答えだな。」
「まあの。それに・・・さきほど父のなかに入った時にわかったのじゃが・・・父は痕諾者なのじゃろ?・・・ならば少しは父の気持ちもわかるのじゃ・・・わらわも悠久の時を生き、たくさんの狂戦士をみてきたし倒してきたからの・・・それに自身も狂戦士化した・・・わらわにとって、人一生分の時間などわずかな時間じゃ。人生のロスタイムだと思えばたいした問題ではないの。」
「・・・・・・そうか・・・」
(そういってくれると救われる)
ベリーが気遣わしげに膝の上から俺を見上げている。
「それじゃ神殿に戻ってお昼にしましょ。・・・あとは・・・アイラの哺乳瓶が必要ね・・・神殿にあるかしら・・・?」
一人マイペースなチョコは顎に手を当てて見当違いな事を常識的に考え込む。
「・・・いや、わらわは肉が好物じゃ。肉をたべさせてたもれ?」
「だめ。生まれたての赤ちゃんはミルクって決まっているの。」
「あぎゃぁ?」
「ん?ああ、ベリーも赤ちゃんには違いないが最初っからチョコの前で肉を食べてるからセーフだ。」
小声でベリーに耳打ちする。
「あぎゃぁ。」
一安心するベリーである。
逆に半べそなアイラは
「・・・お願いじゃ・・・肉を・・・肉をたべさせてもれ・・・?・・・・・・父・・・・・・?」
「・・・・・・今日のところは、がんまんしてくれ・・・・・・」
そして4人に増えた一行は、神殿に向かうべく表通りを歩いてく。いまだお尻を痛めてるアイラをチョコが抱き、ベリーはシロウの肩にとまっている。
仮面女、小さなドラゴンっぽいもの、やたら愛らしい赤ん坊。
道行く人々の好奇の視線を集めている。
そして、ヒソヒソと・・・・・・
「なんてかわいらしい子かしら。」
「あのドラゴンかわいい」
「あの仮面の子と男の子が親なのかしら?」
「ずいぶん若い家族ね?」
「おかあさん、ぼくもあの仮面ほしい!」
・・・・・・
「あぎゃぁ?」
(・・・なんかいろいろ言われてるっぽい・・・そりゃ目立つよなぁ・・・)
(うぅっ・・・・・痛い・・お尻が腕にあたっておる・・・はやく・・かいほうしてたもれ・・・)
(キャッーッ!!今、親子だって!えっ!こんどはママってっ!そんなっ!やだっ!はずかしいっ!でもっ!うんっ!この子は私が責任を持って育ててみせるっ!!)
奴隷時代に親や姉妹、友人や恋人など、さらにまともな人との関わりすら持たなかったチョコは、それらに憧れを抱いていたりする。見た目にかかわらず人が良く妙な常識人のチョコは、一人、変な方向に決意を固める。




