17話
「それで、なんで精霊なのに実体を持っているんだ?おまけに赤ん坊だし?」
「ふむ・・・。そんなこと、わらわにはわからんのじゃ。気がついたらあそこにたっておった。」
(・・・あれ?死んでた時の事、覚えてないのか?俺は死んでから転生するまでの記憶があるんだけど・・・まぁあの世に行けずに、こっちの世界に流されて転生したからなぁ・・・)
「どうでもいいけど、まずは服を用意しないとね。まったく、父親ならそれくらい気をつけなさい。」
チョコはどうでもいいらしい。
「ああ、そうだな。・・・えっと、たぶん精霊なら自分で操作して服装とかアレンジできると思うんだけど・・・できないか?」
「そうじゃな・・・」
赤ん坊の体がうっすらともやのような光がたったかと思うと、白と黒のシャツとスカートをはいていた。
(・・・なぜに、ゴスロリ。オマエは竜だろ。)
「ふむ。こんな感じかの。どうじゃ?むかし見た人間のおなごの服装をマネてみたのじゃが・・・」
「・・・かわいい・・・」
とりあえずチョコは気に入ったようだ。
「そうであろ、そうであろ。わらわが、着ればかわいかろう。」
「うん。あとは名前ね。アンタ、父親なんだからちゃんと考えてあるんでしょうね?」
(ヤバイ!そんなこと何も考えてない!)
『おい!娘よ!名前ってあるか!?』
『うっ、うむ!わらわの名は、りゅうおうアイラなのじゃ!』
「あたりまえだろチョコ。この子の名前はアイラだ。」
「うむ。わらわはアイラじゃ。・・・目を光らすのはもうやめてたもれ・・・・?」
後半、小声でささやく。生まれてそうそうの、あの尻叩きはもうトラウマになっているようだ。
(元竜王なのに、そんなんでいいのか?・・・まぁ、むりないけど・・・)
「アイラ・・・いい名前ね。わたしはチョコ。よろしくね。」
「あ~ちなみにこっちのがベリー。俺と賢獣の契約をしている。」
「見ない種族の竜じゃの?よろしくの。」
「あぎゃぁ。」
「それでアイラ、話は戻るけど不具合とかないか?一応、精霊のはずだから透明化とか俺の体に入ったりとかもできるはずなんだけど・・・」
「・・・そうじゃの。・・・尻がいたいのじゃ・・・」
「・・・いや、それ以外で。」
「・・・ふむ。こんなかんじかの?」
そういってアイラの姿は消えた。もっとも俺は魔力で繋がったパスがあるので感覚的に知覚ができる。
「・・・えっ?本当に消えた?・・・どこ?」
チョコはキョドってあたりをみまわす。
「・・・次に、体の中に入るには・・・こうでいいんじゃろうか?」
そうすると体の中に別の存在を感じる。
(って、イヤイヤイヤイヤッ!!わからないなら、てきとうな事するなってっ!失敗したら俺の体どうなっちゃうのよっ!?そんなエナジーの塊、へたすりゃ爆発するってのっ!!俺の体っ!!わかってっ!!変な冒険心いらないからっ!!)
「わっ、わかったからっ!とりあえず出てきてくれっ!」
「どうじゃ?わらわも、はじめての事じゃったがうまくいったの?」
そういって空中に浮かぶアイラ。こうやって見るとやっぱり精霊なんだなって思う。
「あっ!いたっ!」
チョコは急いで近寄りアイラを抱きしめる。
「おわぁっ!なっ、なんじゃっ!?」
「もう子供が勝ってに消えたりどっかいっちゃったりしちゃだめ。いーい、わかった?」
アイラを覗き込み目を軽く光りを灯しながら言い聞かせる。
「わっ、わかったのじゃっ!もうしないのじゃっ!許してたもれ?のっ?」
「勝手にどっかに行ったら、お尻100叩きだからね。」
「ぜっ、絶対にかってにどっかに行ったりしないのじゃ!・・・しんじてたもれ!?」
「わかった。もう悪い事しちゃだめよ。」
瞳の明かりが消えた。どうもチョコの中ではただの子供の躾けらしい。
(つーかあんな必殺打撃100回ってどうよっ!ダメだコイツッ!常識を非常識にしてやがるっ!マジでどうにかせんと。)
「あぎゃぁ。」
「・・・ああそうだった。とりあえず精霊としては完璧だな。」
ベリーの声で我に返る。
「・・・あと・・・最後に言っておかないといけないことがある。」
「なんじゃ?」
首をかしげてさらさらのストレートの髪が流れる。
「おまえを殺したのは俺だ。それと精霊になったといってもあくまで人造精霊、転生したわけじゃぁない。俺が死ねばお前への魔力供給が切れて、お前も死ぬ。ちなみに外部供給もできるはずだが、存在を保っている核が俺だから、いずれは消える。」
(そう・・・これは言っておかなければならない。俺はコイツを殺し、そして勝手に人造精霊として甦らせて、しかもその命を縛っているのだ。許されるべきことじゃない。)




