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one of the zillion ~アルス戦記~  作者: 粋生
第1章 奴隷と賢獣と人造精霊
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12話

翌日、朝食をすますと案内役の神官に武具魔工士の元へと連れて行ってもらう。


「・・・あの・・・えっと・・・大神官様に、ご案内するように仰せつかりました・・・カオルと申します。・・・その・・・よろしく、おねがいします。」


恥らうかなりの美少女がモジモジと話しかけてきた。線は細く髪は茶色、肌は色白で小柄で胸は無いが、耳が犬耳の美少女だ。ちなみに耳は頭の上ではなく普通に即頭部についている・・・うん・・・かわいい・・・


「こちらこそ、よろしく。俺はシロウ。見たとこ同い年くらいだと思うけどいくつ?ちなみに俺は13。」


「わたしは、チョコ。同じく13。よろしくね。」


「あぎゃぁ。」


「で、こいつがベリー。ちなみに0才。」


「あ・・・はい。ボクも・・・13才なんです・・・同い年ですね・・・。」

頬を赤らめながら、やっぱり恥ずかしそうに、でも同い年と知って、少しうれしそう微笑む。


(ボクっ子だ!前世とあわせて初めてみたよ!なまボクっ子がここにいます!おまけにカワイイ!)


「えっと、いま向かっている工房の魔工士はすでに現役は退いてはいるのですが、まず間違いなくこの国1番の腕を持つ方です。現役を引退してはいるのですが、今でも気に入った人達には、素材を持ち込んでくれれば趣味として作ってくれたりしていますので、ご安心くだざい。」


「そっかぁ。どうなるかな。楽しみだ。」


そして工房につくと神殿からの依頼として、建物の地下室へと案内される。


「うわぁ・・・。建物の外観のワリにかなり広いなぁ・・・。」


「あたりまえだわい。たまに素材として竜を丸ごと持ち込んできたりするからの。これくらいは必要だわい。」

このじいさん、なんでも昔はこの国お抱えの魔工士だったらしい。引退しても自分の家にこんな部屋を作るのは、よっぽど好きなのだろう。だって体育館よりちょっと小さいくらい部屋だぞ。普通自宅に作るかこんなもん。


「で、武具を作製して欲しいそうじゃが、まずは素材じゃ。あっちに出してくんな。」


「はい。ベリー頼む。」


「あぎゃぁ。」


ベリーは飛んでいき、剣やアーマードにラクリマとリング。そして古竜の鱗や爪、そして古龍の頭部を丸ごと取り出していった。


「これらを使って、武具を一式揃えて欲しいのですが。あと、もう一度言いますがこの素材のことは秘密でお願いします。」


魔工士のじいさんは、口をあけてガンミしている。

(だよなぁ。古龍の素材なんて、ないよなぁ。しかも、あれじゃあ生首だし。メチャ怖い。)


「おまえ・・・これって・・・いや、まかせろ。生きている内にこれほどの素材と出合い腕を揮えるなんて、ありがたい。夢のようだ。お題はいらねぇ。これなら、世界最高の、いや、伝説級の武具にだってまけねぇ。本当に俺に作らせてもらっていいんだな!?」


「お願いします。でも、本当にただでいいんですか?」

(ただでいいのか・・・うれしいけど・・・なんかお礼を考えとかないとな・・・たしか懸賞金もそれなりの額が手に入るし)


「伝説級の武具作りに挑戦させてくれるなんて、世の魔工士、全ての者の夢だ。どんなに腕を磨いても本当に凄い物を作るには稀少な素材がいる。古龍の鱗は昔、見本品を見たことがあるがこれ程の量とは・・・」


「そういや、これなら余りそうだし、いっそチョコの分も作る?」

俺も素材の回収には立ち会ってないので、こうやって見ると驚くべき量だ。1つどころか100個位できるんじゃないか?


「わたしはいいよ。これはアンタが一匹丸ごと使って。」


「使うって絶対余るだろ・・・」


「・・・いや、たしかに全部を使うことはできるんじゃが。本当に一式分に注ぎ込んでもかまわないんじゃな?」


「できるんだ。まぁ、別にチョコがそれでいいならかまわないけど。ああ、それとこっちにも武具に要望があるんだけど、いいかな?」


「当然だわい。これから出来上がる物の使い手なのだろう。獲物や型やサイズ一通り聞かせてほしいわい。」


「それじゃあ。まずは武器は剣。長さは標準。アーマードは服型で。そしてどちらも見た目をシンプルで地味な感じで。街中でも普段着で着れる様なヤツがベストかな。それでいて、外でもさほどおかしくない感じでよろしく。それと、ラクリマを両手とアーマードにも付けといて欲しい。それさえ守ってくれれば、あとはおまかせで。」


「・・・ああ、本当にそんなんでいいんじゃな?しかも地味な服って・・・」


「ああ、俺はレベル0だからな。派手な装備を身に付けて目立つ訳にはいかないよ。毎日強盗に狙われることになっちまう。」


「なるほどの。しかし、そんなんで、どうやって古龍の素材を手に入ったんじゃ?」


「口ん中に飛び込んで、内側から倒したのよ、コイツ。」


「・・・・・・普通、そんなことをしたら死ぬと思うのじゃが・・・」


「だから、死んだからここに素材としてあるんだろ。」


「・・・イヤ、オマエ、ガ、ジャ。」


「深く考えない方がいいわよ。」


「わかったわい。まかせてくれ。レベル0でコイツをマグレにしろなんにしろ、倒したんじゃ。そんなオモシレェ奴の武具じゃ。要望以上のできで、作ってみせるわい!!」


「ありがとう。あと、古龍の頭部なんだけどさ、素材の剥ぎ取りが終わったら返してくんないかな?」


「あん。なんか、魔法の触媒にでも使うのか?」


「まあね。」


「わかったわい。それじゃ、明日にでも取りに来い。それまでに頭部の方は終わらせておくわい。」


「よろしく!」

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