反実仮想「もし・・・だったら・・・だろうに」
久しぶりの短編更新です。
よかったら、感想お願いします。
ふと考えてしまう。
「もし・・・だったら・・・だろうに」と。
もし、もっと早く君に逢いに行っていたら、君の笑顔を見れただろうに。
もし、君の望みを聞いていたら、実行しただろうに。
もし、君が長く生きられないと知っていたら、もっと幸せにしただろうに。
でも、今となってはもう遅い。
1番身近にいた俺でさえ、君の異変に気がつけなかった。
異変に気がついて、病院に行っていたら。
もっと早くに対処していたら。
君は、こんなにも早く、この世を去ることにならなかった。
全て、全て俺のせいだ。
俺がしっかりしていたら、こんなことにはならなかった。
君にいくら謝っても、自分でいくら悔やんでも無くならないこの傷。
生きている自分が嫌になった。
しかし。
どうして君は、最後の最後まで、自分よりも他人を大切にするんだろう。
「今まで、私の側にいてくれたこと、とても感謝しています。
不器用な人だから、言葉にあらわすのが下手だったけど、
どれほど想ってくれていたのかも知っています。
この手紙を読んでいるということは、私はあなたの側にはいないんでしょう。
あなたのことだから、今頃自分を責めているんじゃない?
でも、あなたが自分を責める必要はありません。
私は、逆にあなたに感謝しています。
私に笑顔で話しかけてくれたこと。
こんなわがままな私と付き合ってくれたこと。
そして、いつも1番身近にいてくれたこと。
全部嬉しかったし、幸せだったよ。
本当にありがとう。
でも、1つ気がかりなのは、あなたを悲しませてしまうこと。
きっと、なかなか闇の中から抜け出せなくなってしまうと思う。
だけど、絶対に忘れないでほしい。
姿・形はなくなっても、あなたの彼女でいた“私”が存在したことを。
出逢ったことも、付き合ったことも、夢じゃないってことを。
あなたとの思い出は、ちゃんと人生の中に刻まれていることを。
どうか、決して忘れないでください。
そうすれば、あなたは前に進めます。
今は辛くても、きっと1歩踏み出せるその時がきます。
だから。私がいなくても頑張ってね。
そして・・・。
あなたの彼女で幸せでした。ありがとう。大好きです」
この時、君は自分が長く生きられないことを知っていたということに気がついた。
そして、あとから知ったことだけど、君は家族にお願いしていたことがあったんだな。
「彼に言うと、毎日が幸せに過ごせなくなる。
もし、私が死んだら彼は悲しむと思うけど、事実を話して
毎日悲しみと背中合わせになりながら、彼の側にいるのは嫌だ。
それなら、彼にはとてつもない迷惑をかけるけど、最後までだまっていたい。
それが、私が彼にできる、彼の愛情を大切にする方法だから」
確かに、君の病気のことを知っていたら、毎日普段通りに過ごせなかったかもしれない。
「でも、もうちょっと頼ってくれてもよかったんだぜ?
俺は、君の彼氏なんだから」
って、今は君に言いたい。
もし、同じ世界にいったらちゃんと言うから。
その時は、覚悟しとけよ?
「俺も、君の彼氏で幸せでした。ありがとな。大好きです」
君との思い出を胸に、明日からまた頑張ろうと思った。
ありがとうございました。