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傲慢な住処  作者: 一色 サラ


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7/7

何も悪くない

 元山もとやまの奴は何なんだよ。隣の視線が気になる。大石おおいしの隣に座っていたのに、その間を元山が座ることになって、距離が遠くなった。大石が隣にいないことで不安になってくる。

「なんで、元山と席変わったの?」

 昼休憩に向いに座る大石と牛丼を食べる手を止めてこちらを見た。

「ああ、北岡きたおかさんが僕に何でも聞いてくるから、距離を取るように横峯(よこみね)部長からの指示がされたんだよ」

「別に、そんなに話しかけていないけどな」

 俺を大石の隣に座らせてくれれば、上手くいくのに、横峯に余計なことされてムカついてくる。

「まあ、ちょっと距離を置くことも必要だよ。ご馳走様。先に会社に戻ってるわ」

 大石が立ち上がって、先に会社に戻っていった。距離とは何だろう。別に、何の問題もないのに。


 席に戻って、隣の女の元山がパソコンを触っている。隣同士に置かれているアクリル板に紙をテープで張った。これで少しは見えなくなった。でも、まだ気になって仕方がない。もう少し張りたくて、どんどん隣の様子が見えなくなっていく。けど、そこに居ることが気になってしまったら、ただただ気持ちが落ち着かない。さらに、2つ隣の席にいる大石の様子が気になる。隣に居ないことで不安が募る。2つ隣の席の様子が見えないことで、仕事に集中できない。見えない。分からないことがあれば、すぐに大石に聞けるのに、少し離れていることで、元山が邪魔でしょうがない。立ち上がって、「これ見て」と大石にすぐに提出できる資料をを渡した。「わかった。確認しとく」と言われて、自分の席に戻る。でも大石が隣に座っていれば、紙を渡すだけで、確認してもらえたのに前よりやりづらくなった。この状況になって、1週間が経ったが不満が募っていく。仕事終わりや、家帰ったから電話などで何度か大石に話したが、そこで席を変えることもできない言われた。さらに、今週に入っていつもお昼を一緒に過ごしていたのに、1人で食べたいと言われてしまった。だんだんと大石と話す機会が減っていく。元山が居なかったら、こんなことにならなかったのにと不満が募っていく。


「北岡さん、横峯部長が話があるから、会議室に10分後ぐらいに一緒に行ってくれる?」

「俺は話なんてないよ」

「横峯部長があるから、お願い」

 横峯の奴何はなのだろう。話すことなんてないにと思って、しかたなく10分後に大石と会議室に入った。席に座る。大石は隣に座ると思ったら、向いの座る横峯の隣に座った。

「座って」

「なんで、そっちに座るの?」

「大石には僕の隣に座るように言ってあるから」 

 大石ではなく横峯が言った。

「なにそれ」吐き捨てるよう言った。

「ここ最近の北岡さんの仕事ぶりについて、少し話があるんだけど」

 何も返答をせず、横峯を見た。

「1か月前にもお伝えしたんだけど、遅刻が多く、連絡もなしに会社を欠勤することも多いので改善してほしいと頼んだし、解雇もあると言ったよね、もう会社としても対応できないと判断が下って」

「それで?」

「今月、いっぱいで契約満了とさせていただくことになりました。」

「ふざけんなよ。俺は何も悪くないし」

「それに、仕事についても、ミスも多いし、対人関係もトラブルを多い。今回も元山さんにアクリル板に紙が大量に張られて、気分が悪かったと報告もある。君の隣に座ることを嫌がる人をこれまで何人もいるんだよ。こちらも北岡さん1人のために対応することに限界もある」

「俺は障害者手帳を持っているから、しかたがないんだよ。普通に生活はできないんことぐらいわかるだろう」

「こちらから辞めてもらいと考えているんだけど、そちらの希望で自主退職だもかまわないよ。明日から来なくていい」

 いや僕は何も悪くない。



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