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荒地に追放された食いしん坊聖女はいつの間にかラスボス認定されていたようです!!  作者: ゆずこしょう
終焉の王都と食いしん坊聖女の決断。

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王都で起きた異変に和菓子を添えて。

「どこから、説明するのがいいかしら。」


シルトクレーテの祠の前――。


(朝の光が差し込み、空気はひんやりとしている。)


「初めから話した方がいいじゃろうが、なぜここで行う。」


いつの間にか祠の前には、誰が準備したのか、きっちりと整えられたテーブルと椅子が用意されていた。


「いいじゃない。おじいちゃんだって気になるんでしょ? だから、お父様たちをここへ案内した。違う……?」


図星を突かれ、シルトクレーテは“ぐっ”と言葉を詰まらせ、かわりに枝葉が気まずそうに、さわ……っと揺れる。


そして、それに続けるようにオリザールスが口を開いた。


「そうだね。それに……ダミアンの顔が、すごいことになっているよ。」


それも当然だった。


イアンはネプリヌス海でシルトクレーテと会ったことがあるため驚きは少ないが――


だが、ダミアンにとっては今日が初対面。


しかもそこにいるのはシルトクレーテだけではない。


祠の脇には、身体中から黄金色の稲穂を生やした白熊・オリザールスが、まるで当たり前のように会話に参加しているのだ。


目の前で祠と白熊が会話に参加しているという非現実な状態に、ダミアンの顔は青を通り越して無表情になっていた。


しかし――


アンネリーゼはそんな雰囲気にのまれることなく淡々とテーブルの上にお菓子を並べていく。


みたらし団子、羊羹、どら焼き、大福、そしてつやつやした三色団子。


「アンナ…それは一体なんだ?」


見たことのないお菓子たちを見てケルネリウスは不思議そうに首を傾げた。


「ふふっ。これはねぇ~和菓子よ! 清子さんの畑から色々採れたから夜な夜な作っていたの。」


「「「和菓子…?」」」


ケルネリウスだけでなくダミアン、イアンの声も重なった。


「ふぉっふぉっふぉ! これは懐かしぃのぉ。儂も食べたいが…これでは食べれん…」


そういうと、シルトクレーテは分身体をテーブルの上に乗せた。


「本当に懐かしいね。ここにきてまさか和菓子に出会えるなんて。生きていてよかったよ。」


オリザールスも開いている席に座って食べたい和菓子を手に取った。


そんなアンネリーゼたちの様子を見ていたダミアン達も渋々席に座る。


「お腹がすいてたら、重苦しい話がさらに重苦しくなってしまうわ! だから先においしいもの食べて腹ごしらえしましょう!!」


緑茶の入った湯飲みをおくと、アンネリーゼはみたらし団子を手に取り大きく口を開けてかぶりついた。


「ん~~~おいしぃ~!! この味よ、この味!」


ケルネリウスはどら焼きを半分齧って目を丸くし、イアンは羊羹を静かに味わう。


オリザールスは懐かしそうに目を細めながら、ゆっくりと大福を食べた。


「あぁ…この味。ほっとするよ。懐かしいなぁ~」


シルトクレーテの分身体は団子を眺めて羨ましそうに揺れた。


「あ~やっぱり日本のお菓子といえばこれよねぇぇ~~」


アンネリーゼが楽しそうに団子を頬張るたび、ダミアンの胸の奥で、小さな痛みがじわりと広がっていく。


――この笑顔のあとに、あの話をしなければならない。


胸がわずかに締めつけられた。


そう思った瞬間、甘い時間は、水面に落ちる波紋のように静かに揺らぎ始めた。


やがて――


コトン、と茶碗が置かれた音が、その揺らぎを断ち切った。


「……アンネリーゼ」


低い声が場を染める。


アンネリーゼは団子を飲み込み、ゆっくりと父へ向き直った。


無邪気さは影を潜め、凛とした横顔が静かに場を引き締める。


場は、いつの間にか二人のためだけに整っていた。


「そうね……お腹も膨れたし、そろそろ本題に入りましょうか。」


ほんの少し笑って、続ける。


「私の見ている“黒い靄”(王都全体に漂う瘴気のようなもの)の話もあるけど……まずは、お父様の話を聞かせて?」


ダミアンは深く息を吸い、湯のみをそっと置いた。


立ち上る湯気が、ひとすじの線となって空へ昇る。


「そうだな……まずは私から話そうか。愚かな王族の末路についてな。」


***


「単刀直入に言おう。王都では……“魔人”が生まれ始めている。」


「魔人、ですか。」


ダミアンは目を瞬き、わずかに息を呑んだ。


アンネリーゼの表情がほとんど揺れないのを見て、ダミアンは一瞬、言葉を失った。


「……驚かないのか。」


「はい。なんとなく……想像はしていました。」


ダミアンは目を閉じ、短く息を吐く。


「そうか……なら早い。」


湯のみ越しに映る自分の顔を見つめながら、彼は静かに続けた。


「本来なら……こんな話、お前に背負わせるべきではない。今までお前には何もしてやれなかった。人質として神殿に囚われていたことも、本当は――」


「お父様だけの責任じゃありませんよ?」


アンネリーゼは淡々と遮った。


「強いて言うなら、これは“国”の問題です。それに……あの頃の私は八歳。王太子と結婚しないためにはあの道しかなかった。けど…今は違います。戦う術も持っています。だから遠慮せず、話してください。」


その言葉にダミアンは一瞬だけ目を伏せ、「……すまない」と低く呟いた。


気持ちを切り替えるように、ダミアンはゆっくり顔を上げれば――


目の前のアンネリーゼは、かつての幼さを残しつつも凛とした光を宿した、立派な大人になっていた。


(……気づかないふりをしていたのは、私の方か。 いつの間に……こんなに強くなったんだな。)


エルネストとの婚約が持ち上がり、彼女を神殿に入れたあの日。


自分こそが娘を守らねばならない、と疑いもしなかった。


だが今、目の前に立つのはもう“幼子”ではない。


自分の意思で運命に向き合おうとしている、一人の人間だった。


その事実を静かに受け止めながら、ダミアンは口を開いた。


「本題に入ろう。最初に魔人化したのは誰か――だ。」


「エルネスト王太子殿下、ですよね? あの人なら魔人になっても不思議ではありません。神殿で会った時、あの人の周囲には“黒い靄”が集まっていました。呼び寄せていたのか……それとも勝手に群がっていたのかは分かりませんが。」


淡々と告げられた推察に、ダミアンは驚いたように眉を上げた。


「……よく分かったな。そうだ。最初に異変が出たのは、ルシフェール・エルネスト。

お前の――

自称元婚約者だ。」

✿いつもアンネリーゼを応援いただきありがとうございます(*.ˬ.)"


「久しぶりの和菓子美味しかったわね~」


「ふむ。儂はモナカも食べたかったのぉ~。」


「練り切りも食べたかったわ。」


「今度皆で食べましょう~!!」


「そうじゃのぉ…」


「(…いいのか…こんな雰囲気で…)」


と、言うことで美味しい時間はここまで…

次回から少しばかり王都のお話になります。

果たしてアンネリーゼはどんな選択をするのか…


次回21:10更新予定です。

どうぞ、お楽しみに✨

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