アイドル衣装でリベンジマッチ!?スモークバット討伐戦・再び!
第五章始まります♪
「さぁ~! 行きましょうか!! リベンジマッチに……!」
早朝。
昨夜遅くまで騒いでいた聖女や神官たちは、まだ瞼が重いのか、頭を揺らしながらその場に立っていた。
「なんで、お前はそんなに元気なんだ……!?」
ケルネリウスも身だしなみこそ整えているが、眠気がまだ残っているのか、欠伸をかみしめていた。
「ふふっ! だって、これからあの蝙蝠野郎どもにリベンジしに行くのよ!? こんな楽しいことないじゃない。イグヴェスティオなんて、かっこいい名前もらっちゃってさ。絶対“スモークバット”に改名してやるんだから!」
「え!? 名前の問題!? 負けたからじゃなくて……?」
アンネリーゼはそのツッコミが聞こえていないのか、鼻をフンフン鳴らして闘志を燃やしている。
「あんなにスモークな香りを漂わせておいて……スモークチップスに変えて燻製を作るんだから!!」
スモーク……? 燻製……?
一同の頭には「?」が浮かんだ。
ただひとり、ケルネリウスだけが深々と心の中でため息を吐く。
(どうせ……あいつのことだ。食べることしか考えてないんだろうな……)
その時、アンネリーゼは聖女たちの格好に目を止めた。
真っ白な聖女服。いかにも「清らかな聖女」らしい姿だが、アンネリーゼは首を横に振る。
「はぁ……ダメじゃない! すぐに着替えてきて!? あなたたちのこれからの聖女服は、その白いドレスじゃないわ!」
聖女たちはキョトンと首を傾げた。
「えっと……聖女は純白の象徴。白いドレスじゃないといけないんじゃ……?」
フィナが疑問を口にすると、周りも「そうよね」と頷く。
「そうね。本来の聖女は白いドレスが基本。でも……あなたたちは別。なぜなら――あなたたちのスキルは、“あの衣装”を着て歌って踊らないと発動しないんだから!」
場が静まり返る。
ケルネリウスも知らなかったらしく、深々とため息を吐いた。
「アンナ……なんでいつも大事なことを言わないんだ。先に言っておけ」
「あら……? てっきり気づいてると思ってたんだけど」
「「「「気づくわけないじゃない!!!」」」」
アンネリーゼは小さく首を傾げた。
「ご、ごめんなさい?」
聖女たちはアイドル衣装に着替えに走る。
その頃、祠を通して聞いていたシルクトレーテは静かに笑っていた。
(杏菜よ……まだまだじゃのぉ……。仕方がない。六人のために新しい歌とダンスでも考えてやるかの……)
しばらくして――
赤・青・緑・黄・紫・ピンクの六人が戻ってきた。
赤担当のミレーユは元気よく「よしっ」と気合を入れ、 青担当のノアールは真面目に衣装の皺を整える。
緑担当のフィナは軽くリズムを取りながら拳を握り、 黄担当のジュリナはノリノリでステップを踏む。
紫担当のクロエは声を整えて高音の確認。 ピンク担当のティアナは「観客ほしいな〜」と自由に呟いた。
六人六様すぎるその光景に、アンネリーゼは思わず笑った。
「なんだか……子供向けアニメを見てるみたいね」
(あっ、いいこと考えた…!せっかくだし包丁じゃなくてオタマをプレゼントしましょう。)
子供向けアニメと言えばスティック。
そこから何を連想したのか、武器をオタマと決めると彼女は皆が持っている姿を連想して笑う。
「クスッ…」
その声が風に流れた時、ケルネリウスが振り返った。
「なんか言ったか?」
「ううん、なんでもないわ! さ、行くわよ!!」
こうして、一行はブレーティオ鉱山へ向かった。
***
「さぁ……ここからが本番よ! 気を引き締めて!」
アンネリーゼがひび割れた入口を進み、すぐ後ろにはメメント・ムーンが続いていく。
神官たちは入口近くで控えとして待機していた。
(なんだか……気が引き締まらないのは俺だけか……)
ケルネリウスはため息を吐き、神官たちも似たように息を漏らす。
ニーハイとはいえミニスカはミニスカだ。
絶対領域がちらちら見え、目のやり場に困るのも当然だった。
しかし――
当の本人たちは気にしていない。
「あら、この先にいっぱいいるわね! スモークバットちゃん!!」
「えっ!? わかるのか!?」
「ええ。羽根の焦げた匂い……甘くて、ほんのり苦くて……あぁ、いい燻製になりそう」
(ほんと食う話になると集中力上がるな……)
「すぐには食べるなよ?」
「はぁ~い! わかってるって!」
アンネリーゼは六人へ向き直った。
「あなたたちの出番よ! メメント・ムーン!」
六人は少し開けた場所で息を合わせ、歌い出す。
光の粒がふわりと降り注ぎ、空気が温かく揺れた。
「じゃあ、準備も整ったし行くわよ、リース! ここからはいつもの勝負ね!」
「ふっ。負けて吠え面かくなよ?」
ケルネリウスの口元がわずかに緩む。
(……こいつ、こういう時だけは頼れるんだよな)
二人はスモークバット討伐へ向かった。
「ギィィィ……ギギギ……ギチチチチ」
「ほんと、何回聞いても嫌な音ね」
アンネリーゼはペティナイフを抜き投げるが――
“カラン、カラン”
「げっ……刺さらないのぉ……?」
その間にもケルネリウスは淡々と首を斬っていく。
その剣筋は迷いがなく、以前よりさらに鋭い。
「ふっ……今回は俺の勝ちだな」
煽られたアンネリーゼはオタマを取り出す。
「まだわからないわよ……っと!!」
“カキーン”
落ちるスモークバット。
そこへ、後方から神官の一人が剣を抜き、別の一体の動きを一瞬止めた。
「今です、アンナ様!」
「ありがと!」
アンネリーゼはオタマを振り抜き、見事に気絶させる。
ケルネリウスがその急所を突き、仕留めた。
「あぁぁ~! オタマがひん曲がっちゃった!」
「黙って戦えないのか!? 集中できねぇ!」
「仕方ないじゃない……真剣なんだから!」
二人の掛け合いに神官と聖女たちは呆然とするしかなかった。
そして――
百体以上を倒し終えた頃。
「うふふ……これでスモークベーコンにスモークチーズ……!」
「今はルミナイト・オリハルコンだ!」
「わかってるってば~!」
先に進む二人を見て、聖女たちは顔を見合わせた。
「あの二人って、いつもああなのね……」
「緊張がほぐれたわ」
「置いてかれないように頑張らなきゃ!」
後ろで神官たちも肩を落とす。
「おい……俺たちが一番成長してないぞ……」
「あぁ……頑張らないとな……」
その声は誰にも届くことなく洞窟の中に消えた。
✿いつもアンネリーゼを応援して下さりありがとうございます(*.ˬ.)"
火山編、いよいよ後半戦に突入します♪
この回ではついに……あの“男”が立ち上がります!!
相変わらず笑いあり、涙(?)ありで爆走していくアンネリーゼをお楽しみください♪
「ふふ…まずはスモークバッドを食べるわよぉ!!」
「武器は……?」
「……ス、スモークバッドの後よ……」
(忘れてたな……)
次回は明日 8:10 更新予定です♪
どうぞお楽しみに✨




