ウルカヌス火山で武器作り!? 聖女たち、覚悟を決める
第四章始まります。
「折角だし、皆に武器になる物を作りましょうか!」
「「「「……え? 武器……?」」」」
バラモーラでお腹いっぱいになり、シルトクレーテの甲羅で寝転がっていると、
アンネリーゼが突然、わけのわからないことを言い出した。
そもそも聖女は戦わない。
神殿で祈りを捧げ、戦場でも浄化スキルを使う程度だ。
スキルは何年祈っても授かるとは限らず、“戦う系”など前例すらない。
アンネリーゼも例外ではなく、授かったスキルは“調理”。
浄化機能はラファリエール家の血の影響にすぎない。
「そう! あなたたち、これから一緒に旅をするつもりなんでしょ?」
「だったら……護身用に一つくらい持っていないと心配じゃない?」
その言葉に、聖女たちは顔を見合わせた。
「確かに……?」
「ずっとシルトクレーテの上にいるわけにもいかないものね……?」
「アンネリーゼが、ずっとそばにいるとも限らないし……?」
「ここに攻めて来られたら困るし……?」
少しずつ表情が引き締まり――
「「「……持っていたほうが安心かもしれないわね……」」」
「でしょ? じゃっ! 決まり!!」
パチンと指を鳴らすアンネリーゼ。
しかし――剣は重すぎて扱えない。
持っても宝の持ち腐れだ。
「……で、アンネリーゼ? 何を考えているの? 重たいものは無理よ?」
エリザベッタが尋ねると、アンネリーゼは青空を見上げてニヤリと笑った。
「決めたわ! あなたたちの武器は―包丁よ!!」
「「「……え? 包丁!?!?」」」
「今、包丁って……?」
「言ったわよ…堂々とね」
「えぇ……じゃあ左手には鍋の蓋でも持つ?」
「「「……それ、面白いわね!?!?」」」
普段使っている道具だからか、剣よりずっと抵抗がないらしい。
「んふふ……これであなたたちも、立派な包丁使いになれるわね!」
近くの神官たちは深いため息をつき、
(こいつら、似てきたな……)と心の中で突っ込んだ。
シルトクレーテの甲羅を風が撫でる。
ふと、空気がひんやりする――ほんの小さな違和感を残して…
***
アンネリーゼたちが武器作りで盛り上がっていた頃――
王都では、エルネストがアンネリーゼ討伐のための準備を進めていた。
「まだ、集まらないのか!?」
エルネストはイライラした様子で執務室を歩き回り、
目の前にいる小柄な男の胸倉をつかみ上げる。
「ひ、ひぃ……も、申し訳ございません……!」
半数以上の騎士たちが団を離れ、故郷へ帰ってしまったことで、補充と再編に時間がかかっていた。
胸倉をつかまれているのは――ジルド・ナベーリス。
ナベーリス侯爵家の嫡男であり、宰相の息子でもある。
(できれば、僕もこの騎士団から抜けたかったんだけどな……)
幼い頃からエルネストの側近として仕えてきたジルド。
これまで散々虐げられてきたが、侯爵家の存続のため仕方なく命令に従ってきた。
そのため今回の件に関しても、まったく乗り気ではなかったのだ。
「お、俺は悪くないんだ!
早く集めないと、王都どころかこの国が大変なことになるんだぞ!?
わかっているのか!? さっさと人を集めてこい!!」
怒鳴るエルネストから逃げるように、ジルドは部屋を出ていった。
残されたエルネストは、地図を睨みつけながら小さく呟く。
「全部……アンネリーゼのせいだ……
あいつさえいなければ……レリアと……」
プロセルピナ神殿の場所を力任せに叩きつけ、地図をぐしゃぐしゃに握り潰した。
もしレリアが本物の聖女なら瘴気が満ちるはずがない――
そんな当たり前の事実すら、今の彼には届いていなかった。
身体の震えは瘴気の侵食だということにも、エルネストは気づいていない。
「うひ……おれは……うひ……おれ、おれ、おれ……うひ……
うひひひひ……おれは……」
遠くからその様子を観察していたエダンは、静かに呟く。
「……ついに、この時が来たか」
エドワーズもエルネストも、
そればかりかこの国の貴族たちも――
ルシフェール国は刻々と破滅の道を進み始めていることに気付いていなかった。
勿論、アンネリーゼもである。
***
「さぁ! 消えない炎と、硬度の高い鉱石を探して――
かっこいい包丁をつくるわよぉぉぉぉ!!」
「「「おおおぉぉぉ!!」」」
その声は火山に響き渡る。
遠くの地底で“何か”がかすかに目を覚ました。
ウルカヌス火山の炎は、ただの炎ではない。
かつて鍛冶師たちが“特別な火”と呼んだ炎が、今も静かに揺れている。
アンネリーゼはまだ知らない。
まさかその包丁が、後に“語り草”になるなんて――
彼女はもちろん、誰一人として思っていなかった。
「まさかここまで来て包丁とはな…」
「ふふ。でも包丁が作れるということは、武器だって作れるかもしれないのよ?」
「武器だと…!?」
「そうよ!! リースの剣も新調できるわね。」
「そ、それなら仕方ないな。」
(…ふふ、勝ったわね)
✿いつもお読みいただきありがとうございます(*.ˬ.)"
第四章は、まさかの武器作り編に突入!?
果たして本当に上手くいくのか…アンネリーゼの腕前にご期待ください。
次回は明日 8:10 更新予定です♪
どうぞお楽しみに✨




