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荒地に追放された食いしん坊聖女はいつの間にかラスボス認定されていたようです!!  作者: ゆずこしょう
食いしん坊聖女と古き歌と甲羅の伝承。

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拠点づくり始めます!

「うーん。やっぱり、ここに拠点を作った方がいいと思うのよね」


デュオーデキムを討伐してから三日。


アンネリーゼたちは、これからどうするかについて話し合っていた。


どこまでも荒地が続いている、セラフィエル。


プロセルピナ神殿のような建物が、他の地にも残っているのではないか——


そう思っていたアンネリーゼたちだったが、その期待はネプリヌス海に向かう道中と、到着してから見事に崩れ落ちた。


しかし、せっかく見つけた海。


まだタコにしか出会っていないアンネリーゼからすれば、これで帰るなんて以ての外である。


それに、セラフィエルの地の瘴気を減らしていくためには、この地を豊かな土地にしていく必要があるだろう。


「そのためには……人をこっちに呼ばなくてはならないぞ?」


「そうなのよね……」


ネプリヌス海に来ているのはたった十四人…。


人数も多くはないし、一から全てを行おうとすればかなりの時間と労力が必要になって来る。


ケルネリウスの言葉に、アンネリーゼは深くため息をついた。


二人の間を、緩やかな波の音が通り抜ける。


(やっぱり……波の音は癒されるわね)


お互いに今後について考えていれば、アンネリーゼが何か思いついたのか、いそいそと地図を用意すると同時に笑い出した。


「んふ……ふふっ……ふふふふ……えへへ」


「……前から思っていたが、その笑い方はどうかと思うぞ?」


「「「「えっ!?」」」」


アンネリーゼ以外の聖女たちにも聞こえていたのか、エリザベッタ以外の全員がケルネリウスの方へと振り返った。


(いや、むしろ良いと思っていたのか……?)


ネプリヌス海についてきたエリザベッタを除いて六人。


この六人は、自他ともに認めるアンネリーゼの料理の大ファンであった。


そう——


アンネリーゼの大ファンではない。


アンネリーゼの作る料理の大ファン。


そのためか、魔物を見ると「美味しい魔物になるんだ」と想像してしまい、アンネリーゼと同じような笑い方をしてしまうのだ。


憧れの人に少しでも近づきたくて髪型を真似してしまう……とか、口調を真似してしまう……とか、そういった感じなのだろう。


それが、聖女たちの場合は“笑い方”だった、というわけだ。


お互いに「直した方がいいかも……」なんて考えていたが、ケルネリウスの言葉をアンネリーゼが切れ味の良い包丁の如く、スパッと切り込む。


「そんなこと、別にどうだっていいじゃない。そんな細かいこと気にしてると婚約者に逃げられるわよ……って、私が婚約者だったわね。あ、それよりも私、いいこと思いついたのよ」


すっかり婚約者ということを忘れていたのか、あるいはどうでもいいのか、アンネリーゼは話を続ける。


ケルネリウスもどうでもよくなったのか、アンネリーゼの話を聞く体勢に入った。


「ここを見てちょうだい」


指で示した先には、「ガブエーラ領」とはっきり記載されている。


「あぁ……そういうことか……」


ケルネリウスも、アンネリーゼが何を言いたいのか理解したようだった。


アンネリーゼはこくりと頷くと、そのまま話を続ける。


「そういうこと。なんの縁か、今回キャスバルも同行してくれているし、ちょうどいいと思わない?」


セラフィエル帝国があった頃、この地はガブエーラが治めていたのか、地図にははっきりとその名が記されている。


「……確かにな……」


元々ラファリエール領に住んでいる理由は、セラフィエル帝国が滅びてしまったからに他ならない。


だったら、元々治めていた人たちにその地を還すのが、一番自然なのではないか…そう考えたわけだ。


「……それに、そろそろお父様たちも動いていると思うわ」


そう言いながら、アンネリーゼは地図を指先でなぞりながら、ラファリエールの方へと目を細めた。


その視線の先には、まだ見ぬ動きの気配が、静かに息を潜めていた。


***


「アンナ、お兄様が会いに来たぞぉぉ!」


「アンナなら、いないわよ」


イアンが久しぶりにアンネリーゼに会おうとプロセルピナ神殿を訪れると、アレットに冷たくあしらわれた。


王都にいる時はなかなか会えなかったからか、プロセルピナ神殿への行き来ができるようになってからは、暇さえあれば遊びに来るイアン。


アンネリーゼに会いに来ているのか、はたまたアンネリーゼの食事に会いに来ているのか、そのあたりは、いつも謎である。


ただ、聖女たち全員が思っていることはただひとつ。


(この人……仕事してるんだろうか)


ということだけだった。


「アンナが……いない……だと!? どこに行ったんだ!?」


アレットが淡々と、ネプリヌス海に向かったことを告げると、イアンは何か思うところがあったのか、そそくさと神殿を後にした。


(ネプリヌス海か……ということは、ガブエーラ領があった地だな)


アレットとイアンは同じ年齢。


そして、誰にも言っていないが、婚約者同士でもある。


そのため、お互いのことは信頼し合っていた。


「ネプリヌス海に行ったというだけで、一手も二手も先を考えられるんだから、やっぱりすごいわよね。……まぁ、性格はちょっと面倒だけどね。」


アレットは、イアンの後ろ姿を見ながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。


「うんしょ…うんしょ…よっこいしょ……」

「おいおい、何してるんだ?」

「見れば分かるでしょ? 拠点よ、拠点! 家を建てるの!!」

「……その棒切れ3本で!? 雨どころか鳥すら防げないぞ!?」

「大丈夫大丈夫♪ 気持ちで負けたら終わりなのよ!」

「いや物理的に終わってるんだが!?」


✿いつもお読みいただきありがとうございます(*.ˬ.)"


第二章、さっそくアンネリーゼが全力で暴走中です。


次回は“拠点作りに燃えるアンネリーゼ”。

料理なら神レベル、建築は……うん、察してください。


果たして家は建つのか、それとも壊れるのか。

いや……壊れる未来しか見えないけど……?


明日 8:10 更新予定です。どうぞお楽しみに✨

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