【閑話】ケルネリウスの夜食事情
皇帝豚を倒した日の夜。
アンネリーゼが寝て静まり返った神殿で……
実はケルネリウスがこっそり動いていた!?
“食いしん坊聖女のいない深夜の厨房”で起こった、
ちょっとだけ罪深い夜のお話をお届けします✨
「この時間は静かだな……」
皆が寝静まった深夜。
小腹の空いたケルネリウスは、一人そっと厨房へ足を運んだ。
「適当にこれを使って何か作るか」
夜ご飯の残りの白米。
少し冷えて固くなり始めていたが、米の甘い香りはまだ漂っている。
棚を開けると、揚げすぎたトンカツが眠っていた。
その隣には卵と、泣き玉。
「……誰か夜食を作ろうとしてたんだろうな」
ぐぅ〜〜……
腹の虫は躊躇なく鳴いた。
「このトンカツを卵と出汁で閉じたら……旨そうだ」
ケルネリウスは手際よく調理を始める。
泣き玉は薄めのくし切り。
出汁にはロックバードの残りを使う。
「出汁だけでも旨いが……もう少しコクを足すか」
秘伝の醤油をひと回し、砂糖をひとつまみ。
火をかけると、じわじわと香りが立ちのぼった。
「今日も色々あったな……」
イアン、ダミアンが来たと思えばアンネリーゼの秘密が暴かれ、
さらには皇帝豚が出現し、それを彼女が笑顔で討伐した。
鍋が静かに泡を立て始めたころ、ケルネリウスはふっと笑う。
「……あいつらが揃うと、一日がやけに長い」
泣き玉は甘い香りを広げ、トンカツも出汁を吸ってふっくらと変わっていく。
器で溶いた卵を回しかければ、
ふわりと柔らかな層が広がった。
「……悪くない」
固くなった白米を茶碗によそい、
卵でとじたトンカツをごっそり乗せる。
夜の厨房に、控えめであたたかな“幸福の香り”が満ちた。
「……この香りだけで、今日は救われるな。」
そう呟いて、ケルネリウスは静かに箸を合わせ、一口。
泣き玉の甘みとロックバード出汁の旨味、
卵のふわりとした食感が、じんわりと体に染みていく。
「……これは、当たりだな」
夜の静けさ、虫の声、月明り。
たまにはこんな一日も悪くない。
満足した彼は片付けを終え、厨房を出ようとして――
廊下の先から、けたたましい声が響いた。
「あぁーーー!!
私の夜食……誰よぉ~~!!??」
ケルネリウスはぴたりと止まり、
そっと扉を閉めて短く呟いた。
「……知らないふりを貫くしかないな」
月明かりの廊下に、彼の深いため息だけが静かに落ちていった。
―――翌朝
「リース!! あんたが食べたのね!?」
「な、なんの事だ……?」
アンネリーゼが顔を真っ赤にして詰め寄ると、
ケルネリウスはそっと視線をそらす。
「とぼけても無駄よ? 証拠はあるんだから!!」
彼女が鏡を突きつけると――
ケルネリウスの頬には、しっかり白米が一粒。
「……き、気のせいだ」
「気のせいなわけないでしょうがぁぁ!!」
次の瞬間、神殿中に悲鳴が響いた。
「待ちなさぁぁぁい!!」
「ちょ、ちょっとアンナ!? 落ち着け――!」
廊下を全力で逃げ回るケルネリウス。
それを鬼の形相で追いかけるアンネリーゼ。
「今日も……騒がしい一日になりそうだ……」
そうぼやきつつも、
ケルネリウスはどこか嬉しそうに笑った。
「ちょっとぉぉ~~! 絶対許さないんだからねぇぇ!!」
「く、苦しい……」
「私にも作りなさい!!」
「わ、わかったから……離してくれ……!」
(……これは満足するまで放してくれそうにないな)
✿いつもお読みいただきありがとうございます( .ˬ.)"
ケルネリウスの“夜の顔”、いかがでしたか?
アンナに見つかった瞬間のあの絶望顔……きっと本編では見られませんね(笑)
今夜21:10は本編をお届けします♪
引き続き、アンネリーゼとケルネリウスを
あたたかく見守ってもらえたら嬉しいです(*.ˬ.)"
それでは、次回もお楽しみに✨




