表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
荒地に追放された食いしん坊聖女はいつの間にかラスボス認定されていたようです!!  作者: ゆずこしょう
追放ですか!?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/63

美人を怒らせてはいけない。

「アンネリーゼ!! やっと見つけたぞ!!」


――――――――――――


「「「(誰よ!! 食事を邪魔するやつは!!)」」」


やっと食べられると思っていた聖女たちは、

食堂の扉を乱暴に開けた男を、同時に睨みつけた。


「うっ……」


一瞬たじろぐ男。

だが、その背後には派手なドレスに身を包んだ女が立っており、

彼の背中をポンッと押した。


女の顔を見た瞬間、食堂の空気がさらに冷える。


「あの女……確か、レリア・ゴモリーよね。

 何かあるたびにアンネリーゼ様に突っかかってた人。」


「夜会の時も揉めてたじゃない。

 ……確か“自称・聖女”だったわね。」


「力があるのかも怪しいのに……。

 早く帰ってくれないかしら、せっかくのご飯が冷めちゃう。」


聖女たちは小声でコソコソと話す。

どうやら、前に立つ男よりも後ろのレリアの方が厄介らしい。


前からは“怒り顔の聖女たち”。

後ろからは“押してくる女”。

逃げ場のない男はまるで――蛇に睨まれた蛙のようだ。


(……っていうか、完全に蛙だな。)


男は咳払いをして、無理やり平静を装いながら前に進んだ。


「おい、アンネリーゼ……!」


だが、アンネリーゼは食堂の席で、

ケルネリウスと並んでホーンラビットの照り焼きを堪能している。


「ちょっと、ケルネリウス。この照り加減見てちょうだい。

 完璧だと思わない?」


「おぉ、俺が調味料を入れただけあるな。

 今回は砂糖の代わりに蜂蜜を使ったんだが、正解だったようだ。」


二人の世界には、他の音が一切入っていない。


「おい! アンネリーゼ!!」


男の声が響いても、誰も振り向かない。

ケルネリウスは分かっていて無視している。

アンネリーゼは――たぶん本当に聞こえていない。


男はついに堪忍袋の緒が切れた。


「おい、アンネリーゼ!! 聞いているのか!!!」


ガッシャーンッ!!


男はアンネリーゼの皿を掴み、床に叩きつけた。


その瞬間――

食堂にいた全員が静止した。


ケルネリウスを含む全員が、無言で自分の皿を持って一歩後ろへ下がる。

新人たちも、反射的に真似をした。


(あ……やっちゃった。)


沈黙の中、アンネリーゼがゆっくりと顔を上げる。


「アンネリーゼ!! 聞こえているだろう!? 返事をしろ!!」


「あ? お前、誰だよ。」


――空気が、一瞬で凍りついた。


さっきまで穏やかだった少女の表情が、氷のように冷たくなる。

その視線を浴びた瞬間、男の顔から血の気が引いた。


「お前か? 私の美味しいご飯を邪魔したやつは。

 ん? 聞いてんのか?」


その声には“殺気”すら滲んでいた。


「ひっ……!」


男が後ずさる。

だが、アンネリーゼはゆっくりと、じりじりと距離を詰める。


壁際まで追い詰められた男の目の前で――


フォークが突き刺さった。


「……お前が私の食事を邪魔したのか? って聞いてるんだけど。」


フォークは男の顔すれすれの壁に突き刺さっていた。

アンネリーゼは笑顔のまま、もう一度フォークを引き抜き、

再び男の横の壁に突き立てる。


「その耳、飾りか? ん?」


「ぴ……」


情けない声を漏らす男。

その肩を、ケルネリウスがぽん、と叩いた。


「リーゼ。そのへんでやめとけ。

 そいつ、一応この国の王太子だ。」


「…………」


アンネリーゼはぴたりと動きを止めた。


ケルネリウスの「リーゼ」という呼びかけ。

それは二人の間だけに通じる、冷静さを取り戻す合図だった。


「リース、助かったわ。危うく殺してしまうところだった。」


深呼吸を一つして、アンネリーゼは微笑む。


「で、何をしに来たのですか? エルネスト王太子殿下と……えっと。

 そちらの女性は……れ、れ、れ……なんでしたっけ?」


「失礼ね! レリアよ。レリア・ゴモリー!」


「そうでした。レアリー様でしたね。」


「レリアよ!!!」


「それで? 《食事を邪魔》してまで来たご用件は?」


名前を間違えられ、レリアの額に青筋が浮かぶ。

それでもエルネストは震える膝を押さえながら、

なんとか立ち上がった。


「ア、アンネリーゼ……!

 お前は俺という婚約者がいながら、浮気をしているそうじゃないか!!

 レリアが言っていたぞ! 男と楽しそうに歩いていたと!」


……。


………。


…………。


「えっと……私、エルネスト王太子殿下の婚約者だったんですか?」


――その場の全員が、ぽかんと口を開けた。



---

ここまで読んでくださってありがとうございます!

アンネリーゼ、まさかの“婚約者発覚”……!?

次回は、聖女界隈がざわつく“婚約破棄騒動”編です。

ブクマ・感想・評価で応援してもらえると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ