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荒地に追放された食いしん坊聖女はいつの間にかラスボス認定されていたようです!!  作者: ゆずこしょう
食いしん坊聖女、十五歳になる!

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皇帝豚討伐!!

「さぁ、今日のメインディッシュは、貴方よ!!」


軽やかに神殿の屋根に降り立ち、アンネリーゼは巨大な出刃包丁をオークエンペラーに向けた。


その包丁は大剣並みのサイズ。

普通なら両手でも扱うのがやっとだが――アンネリーゼは片手で軽々と構えている。


左手には、盾代わりの鍋の蓋。


天気は快晴。なのに、しとしとと雫が落ちていた。


「……雨か?」


真下にいたケルネリウスが見上げると、アンネリーゼの口の端がキラキラと光っていた。


「……いや、雨じゃないな。あれは――アンネリーゼの涎か……」


戦場に立つ彼女の姿は、どこか滑稽で――

そして、世界一美しかった。


目の前に現れたアンネリーゼを、オークエンペラーはぎろりと睨む。

その瞳はアンギーラと同じ、濁った赤。


(今まで気づかなかったけど……魔物って、みんな赤い目をしているのね)


今までは気に留めなかったこと。

だがオリザールス、ダミアンにこの地の話を聞いた今――

アンネリーゼは確信に近い直感を抱いていた。


(あの赤い目には、何か意味がある……)


「ブォオオオオーーー!!」


(とは言っても、私にはおいしそうなブタちゃんにしか見えないんだけど……)


仮にこれが“人々の負の感情が融合した魔物”だったとしても――

「浄化して終わり」なんて、アンネリーゼにとってはあり得ない話だ。


「んふふ……浄化して倒して、おいしくいただかれてこそ! 真の浄化って言うのよね!」


「……おいしくって言ったな!?」

ケルネリウスのツッコミが、半ば本能的に飛んだ。


「ブォオオ!!」


オークエンペラーの棍棒が、空気を裂いた。

アンネリーゼは鍋の蓋で受け止める――が、衝撃で手からすっぽ抜け、蓋は宙を舞う。


そして――


オークエンペラーの棍棒が蓋を打ち上げた。


(おぉ!! ホームラーーーン!!!)


ガァンッ! ガァンッ! ガァンッ!!


蓋と棍棒がぶつかる音が鐘のように響き渡る。

その音に気づいた聖女たちが外へ飛び出した。


そして、屋根の上に立つアンネリーゼを見た瞬間――

聖女たちの顔に安堵の色が広がった。


「「「(あぁ……アンナが帰ってきた……もう大丈夫……)」」」


まだ勝ってもいないのに、全員の心に平穏が戻る。

それほどに、アンネリーゼの信頼は厚かった。


「さすが“皇帝”ってだけあるわね。すごい力じゃない……」


蓋を持っていた手がジンジンと痺れる。

けれどアンネリーゼは、口角を上げて笑った。


「んふふ……久しぶりに本気が出せそうね!」


調理器具スキルを発動。

取り出したのは――もう一本の出刃包丁。


両手に巨大な包丁を構えるアンネリーゼ。

その姿はまるで、料理の神が降臨したかのような迫力。


「さぁ、ミンチにしてあげるわよ!!」


その宣言に、聖女たちは息を呑み――

オークエンペラーはわずかに後ずさった。


だが、アンネリーゼは見逃さない。


一瞬の隙を突き、オークエンペラーの足に包丁を投げつける!


「「「(えっ!? 投げた!?)」」」


包丁が足に突き刺さり、オークエンペラーは動きを封じられる。

怒り狂って棍棒を振り回すが、当たらない。


「そんな大技じゃ、私には当たらないわよ!」


棍棒の隙間をすり抜け、アンネリーゼは一気に接近。

棍棒の柄に飛び乗ると、その反動を使って空高く跳躍した。


「必殺――兜割り!!」


もう一振りの出刃包丁を振り上げ、オークエンペラーの頭へ突き立てる!


「ブォオオオオーーーー!!」


雄叫びが響く。

ケルネリウスは地上で落ちていた包丁を拾い、空のアンネリーゼへ向かって投げた。


「アンナ!!」


「ありがとう!!」


包丁を空中でキャッチし、勢いのまま振り下ろす。


「これで……仕上げよ!!」


二本の刃が重なり、オークエンペラーの頭を真っ二つに裂いた。


血飛沫が宙を舞い、赤い瞳は静かに黒へと戻っていく。


「ふふふ……どうやら私の勝ちね!」


アンネリーゼの戦いを見ていた聖女たちは――


賛辞を送るどころか、心の中でそっとつぶやいた。


「「「(もう少し……大人しく戦ってほしかった……)」」」


そんな視線をものともせず、アンネリーゼは満面の笑みで言う。


「さぁ、ご飯にしましょうか!!」


出刃包丁についた血を軽く振り払い、オークエンペラーの解体に取りかかる。


「んふふ……皇帝豚ちゅぁぁぁ~ん! 待っててねぇぇぇ! おいしぃ~く食べてあげるからねぇぇぇ!」


血みどろの笑顔。

巨大な包丁を振り回す姿は――

もはや“大聖女”ではなく、“猟奇的な料理人”そのものだった。


「お父様、お兄様! ほっぺが落ちる料理を作りますので、楽しみにしていてくださいね!」

「あ、あぁ……(我が妹ながら……こ、怖すぎる)」

「そ、そうだね……楽しみにしているよ。(リーゼロッテそっくりだな……)」

「その前に、まず着替えてきた方がいいと思うぞ……」


✿ここまで読んでいただきありがとうございます( .ˬ.)"


次回は――皇帝豚の“ご飯回”!!

お腹ぺこぺこのアンネリーゼが、どんな料理を作るのか!?


そして、第一幕もいよいよ完結。

明日8:10更新予定。どうぞお楽しみに!

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