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荒地に追放された食いしん坊聖女はいつの間にかラスボス認定されていたようです!!  作者: ゆずこしょう
食いしん坊聖女、十五歳になる!

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27/112

急襲!?皇帝豚オークエンペラー!!

「ドォーン!!」


「「「「キャーーー!!」」」」


あと少しで神殿にたどり着く――

そんな時だった。


神殿の方から、聖女たちの悲鳴と、何か巨大なものがぶつかるような音が響いた。


「な、な、なんだこの音は!?」


ダミアンたちにも聞こえていたようで、空耳ではないことが分かる。


アンネリーゼたちが急いで神殿へ戻ると、そこには神殿よりも大きな、二本足で立つ豚の姿があった。


「え!? 豚……なのかしら……?」


アンネリーゼのスピードについていけなかったダミアンは、数分遅れて息を切らしながら到着し、目の前の巨大な豚を見て腰を抜かした。


「はぁ……はぁ……あ、あれは!! 魔物ランクSSのオークエンペラーではないか!!」


「「「オークエンペラー?」」」


豚の皇帝……ということだろうか。

首を傾げるアンネリーゼに、ダミアンが背中と頭を指さす。


そこには――

ちょこんと乗った金色の王冠と、赤いマントのようなものが風に揺れていた。


「ブォォォォ!!」


「た、たしかに……? 王冠はあるし……まぁ、“皇帝”っぽくは見える……かも?」


アンネリーゼの言葉に、イアンとケルネリウスは無言で頷いた。

棍棒を振り回す姿はどう見ても皇帝らしくはないが……。


神殿内に入り込もうとしているのか、オークエンペラーは棍棒で結界をブンブンと叩き壊そうとしていた。

中聖女で結界を得意とするアレットも必死に抵抗しているようだが、限界は近い。


アレットが結界を支える間、神殿ではエリザベッタが聖女たちをまとめ、避難の準備を進めていた。


「大丈夫かしら……」


「大丈夫。きっと騒ぎを聞きつけて、アンネリーゼたちが戻ってくるわ。だから、あなたたちはあなたたちにできることをしてちょうだい」


エリザベッタの微笑みに、聖女たちは少し落ち着きを取り戻し、各々の持ち場で動き始めた。


一方、その裏で――


「……行くのか?」


イアンの問いに、アンネリーゼは静かに頷き、ケルネリウスもそれに続く。


「えぇ。だって、あっちの方角には畑があるんだもの! それに、その先には田んぼもある。絶対、破壊なんてさせないんだから!!」


その言葉に、イアンは目を瞬かせる。

“田んぼ”優先という発想が、いかにもアンネリーゼらしい。


「そ、そうか……お前なら大丈夫だと思うが……気をつけて行ってこい」


イアンの言葉を聞き、アンネリーゼは後ろ手でひらりと手を振ると、ピョンと跳ねて神殿の屋根へと昇った。


(せめて……嘘でもいいから“聖女たちを助ける”とか言ってくれれば、もう少しかっこいいのにな……まぁ、それもアンネリーゼということか)


ケルネリウスは苦笑しつつ、剣を構えて後を追った。


***


その頃、王都では――


「エルネスト……お前、何をしたかわかっているのか!?」


エドワーズ王の怒声が、王宮の広間に響き渡る。


エルネストは殴られた頬をさすりながら、まだ状況を理解していない様子で目を泳がせていた。


「え、えっと……アンネリーゼを追放したこと、ですか……?」


「それだ!! 一年前に追放しておいて、なぜ誰にも報告しなかった!? なぜ私にすら伝えなかった!?」


「だって……誰も聞いてこなかったし……そもそも悪いのは全部あの女なんですよ?」


アンネリーゼが“別の男”と歩いていた、というレリアの話を得意げに持ち出すと、

エドワーズは「信じられん……」と呟いて頭を抱えた。


アンネリーゼが王都を歩いていたのは、護衛の神官騎士と共に行動していたからだ。

浮気など、あり得ない。


「はぁ……浮気、だと。誰がそんなことを言った?」


「……大聖女レリアです」


(レリア・ゴモリーか……。あの父親は昔から権力欲が強かったな。確か、娘も“聖女”の名ばかりだったはずだ)


名前を聞いて、エドワーズは全てを悟った。

エルネストは、完全に利用されたのだ。


とはいえ、アンネリーゼを追放した代償はあまりにも大きい。

一年が経った今、すでにルシフェール全土に瘴気が広がりつつある。


「……この国が瘴気に飲まれるのも、時間の問題か」


王はエルネストを見据え、重く言葉を落とした。


「何としてでもアンネリーゼを連れてこい。いいな? 見つけ出すまで戻ってくるな」


それだけ言って、エルネストを部屋の外へと追い出した。


「な、なんで僕が……っ!」


外へ出されたエルネストは、地面を叩いて悔しさをぶつける。

だが、誰一人としてその場に助けに来る者はいなかった。


***


そして、そんなことを一切知らないアンネリーゼは――


「んふふ……今日は豚丼にしようかしら。でも、久しぶりにトンカツもいいわね……生姜焼き? いや、豚汁も外せない! きっと“エンペラー”ってつくくらいだもの、最高級に違いないわ!」


軽やかなステップで進みながら、目の前のオークエンペラーをじっと見つめる。


(……今、“敵”って言葉、完全に忘れてなかったか?)


ケルネリウスは頭を抱え、空に向かってため息をついた。


アンネリーゼの視線は、もはや敵ではなく――

今夜の食卓に向けられていたのだった。

「ちょっと見てよ!リース!!あの子…ちゃんとマントまでつけてるわよ!!」

「あぁ…そうだな。」

「やっぱり“皇帝”って名がつくくらいだもの。美味しさは普通の豚ちゃんの百倍はありそうよね!これは…腕の見せどころだわ!!」

「その前に、ここがどこか考えてから…って、あぁぁぁ~俺の研究室がぁぁぁ……!!」


✿ここまで読んでくださってありがとうございます( .ˬ.)"


神殿に戻ったら、まさかの魔物襲来!?

けれどアンネリーゼは、そんな状況すら楽しそうです(̂•͈Ꙫ•͈⑅)̂ ୭*゜


次回――皇帝豚 VS 食いしん坊聖女!

21:10更新予定です。どうぞお楽しみに✨

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