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荒地に追放された食いしん坊聖女はいつの間にかラスボス認定されていたようです!!  作者: ゆずこしょう
食いしん坊聖女は荒地を開拓して水田作ります!!

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巨大鰻アンギーラ

「んふふ。あなたの名前は……アンギーラにでもしましょうか」


巨大鰻は川から顔を出し、赤く光る目でアンネリーゼを鋭く睨みつけた。

だが、アンネリーゼはその視線にも微動だにせず、

鰻用の目打ちと、鰻裂き包丁を構えた。


「今夜のメインディッシュは……ご飯があればひつまぶしにしたいところだけど、

仕方ないわね。蒲焼きで許してあげる!」


“ドン、ドーンッ!!”


アンギーラの尾が水面を叩き、瘴気を含んだ黒い水しぶきが高く舞う。

大地が揺れ、空気がびりびりと震えた。


「なんだ!? 地震か!?」


少し離れた場所で田んぼ作業をしていたケルネリウスたちが騒ぎを聞きつけ、

慌てて駆けつけてくる。

オリザールス、エリザベッタ、キャスバル――みな顔を見合わせた。


「アンナが……巨大な魔物と戦っているぞ……」


「あぁ……だから揺れたのか。まぁ、放っておいても大丈夫だろう」


ケルネリウスとキャスバルは、あっさりと結論を出すと、

何事もなかったかのように作業へ戻ろうとした。


心配そうに立ち止まったのは、アンネリーゼの戦う姿をまだ知らないオリザールスだけだった。


その様子を見たエリザベッタが、クスッと笑う。


「アンナなら大丈夫よ。だってアンナだもの! さあ、作業の続きをしましょう!」


オリザールスは名残惜しそうに一度だけ振り返り、

川辺に立つアンネリーゼの背中を見つめた。



---


「さぁ、これで邪魔者はいなくなったわ。

ゆっくり――調理の時間といきましょうか」


4人の姿が消えたのを確認して、アンネリーゼは再び構えを取る。

アンギーラが尾を振り上げ、水面を叩く。


“ドンッ!!”


瘴気混じりの水しぶきが飛び散る。

アンネリーゼは身を低くして、地を滑るように回避した。


「やっぱり鰻を捌くときは、まず目打ちが大切よね!」


跳躍。

そのまま空中で身を翻し、アンギーラの頭めがけて目打ちを打ち込む。


だが――

鰻特有のぬめりと異常な皮の硬さが邪魔をして、針は深く刺さらない。

アンギーラの動きがほんの一瞬鈍っただけだった。


「一本じゃ足りないか……。皮も堅いし……よし、数ありゃ当たる作戦よ!」


アンネリーゼは包丁をしまい、両手に目打ちを4本ずつ持ち替える。

地面を蹴って跳び上がり、目を狙って連射した。


“シュッ、シュッ、シュッ――!”


八本の針が赤く光る目に正確に突き刺さる。

スピードは目で追えない。

だが、命中音だけが確かに響いた。


「ふふ。まるでダーツをしてる気分だわ」


笑いながら戦う姿は――

もはや聖女というより、悪魔の料理人だった。


アンギーラも負けじと暴れるが、

アンネリーゼは怯むどころか、さらに次々と目打ちを放つ。


そして、10本目の針が放たれた瞬間――

アンギーラが苦悶の声を上げ、最後のあがきのように尾を振り下ろした。


“ドオォン!!”


川面が爆ぜる。

黒い飛沫が空を裂き、焦げたような匂いが漂う。

アンネリーゼはとっさに距離を取り、様子をうかがった。


アンギーラはゆっくりと倒れこみ、水中に逃げようとする。


「逃がすわけないでしょ!」


アンネリーゼはその髭を掴み、全身の力で引きずり上げた。

地面が軋むほどの重量だったが、彼女は笑っていた。


「さぁ、目打ちは完了。次は――背開きよ!」


包丁を取り出し、ぬめる背を撫でるように確認する。


「ぬめりが強いわね……でも、角度さえ間違えなければ問題ない。

今回は――関東風の開き方にしましょう」


一歩、踏み込む。

包丁の刃が骨に沿って滑る。


“スッ――”


皮が裂け、肉が分かれ、血潮が地を染める。

アンギーラが最後の抵抗で尾を振るが、もう力は残っていなかった。


「暴れる鰻ほど、一気に。ためらったら、身が崩れるわ」


包丁を止めることなく、尾の先まで切り抜ける。

アンギーラの目から光が消えた。


「ふぅ……これで下処理完了。んふふ、あとは焼くだけね!」


アンネリーゼは包丁を拭い、アンギーラを見下ろした。

串を打ち、炭を起こす。

瘴気に満ちていた空気に、香ばしい匂いが混じる。


「んふふ……このぷりっぷりの身。想像するだけでご飯が何杯もいけそう。

……って言っても、まだお米はないんだけど」


笑いながら串を回していると、

タイミングを見計らったように4人が戻ってきた。


「お、やっと倒したのか!? って……お前、その恰好……」


振り返ると、全員の目が丸くなっていた。

顔とドレスには、アンギーラのぬめりと血がべっとり。


「んふふ……おいしそうでしょ?

さぁ、美味しいアンギーラの蒲焼きを食べましょ!」


その笑顔は――

もはや聖女ではなく、“食の魔王”そのものだった。



「リース……みた!? あれは絶対美味しいと思うわ!!」

「あぁ…見たが。あれが本当に美味いのか?」

「えぇ! ご飯があったら最っ高なのに! 騙されたと思って食べてみて!」

「……その前に鏡を見てから言ってくれ。」


✿いつもお読みいただきありがとうございます( .ˬ.)"

今回はアンギーラ討伐回でした♪

無事に倒せてアンネリーゼもウハウハです(ˊᵕˋ)


「うなぎ!?この世界で初めてだけど……とりあえず食べてみればわかるわよね!!」


✿次回、アンネリーゼ、未知の美味に挑む!!

明日8:10更新予定です。お楽しみに♪

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