【閑話】アンネリーゼのお昼ご飯♪
✿ 今日のお昼ご飯は――ミートボールとトマトソースのパスタ ✿
ep.16 「激闘クラーブン叩き!!?」の少しあと。
アンネリーゼたちの、穏やかな昼下がりの一幕です☺
「今日のお昼ご飯は、これを使ってミートボールのトマトソースパスタを作るわ!」
昼下がり――
畑仕事を終えたアンネリーゼが神殿に戻ろうとすると、
畑の片隅に、頭のとんがった“何か”が土から突き出していた。
(あれは…玉ねぎ? もしかして新種かも!)
恐る恐る近づき、ぐっと引き抜く。
すると――
「うぇ~~~ん!!」
玉ねぎに顔がついた魔物が、涙をぼたぼた流しながら大号泣した。
「ま、魔物!? な、泣かないで!? 悪気はないのよ!?」
「うわぁぁぁん! 収穫されたぁぁぁ!!」
叫ぶ玉ねぎ(ルーメ・オニオ)をどうなだめたものかと頭を抱えていると、
背後からケルネリウスが現れた。
「……お前はまた妙なものを拾ってきたな。」
「拾ってないのよ、抜いただけ!」
結局、泣き止まぬルーメ・オニオを“涙ごと料理”することに決まり、
ロックバードのミートボールと一緒にトマトソースのパスタを作ることに。
ミートボールの中に玉ねぎを加えるため、ルーメ・オニオを刻み始めると――
厨房は涙と香気の地獄と化した。
「ぐすっ…え、ぐすっ…涙が止まらないんだけど…」
「ぐすッ…玉ねぎなんてこんなもんだろう…それにしてもきついな…。」
ルーメ・オニオを必死にみじん切りにするアンネリーゼとケルネリウス。
だが、涙で前が見えず、なかなか先に進まない。
目を真っ赤にしながらようやくみじん切りを終えると、
フライパンに丸めたミートボールを並べて焼いていく。
――ジュウウウウ。
涙を流しながら焼いていくうちに、厨房は甘い香りで満たされた。
「ん~…ぐすっ…甘くておいしそうな香りね!」
涙をこらえながら炒め続ければ、やがて具材は美しいきつね色へ。
トマトソースとパスタを加え、ぐつぐつと煮込んでいく。
そして完成した、鮮やかな赤色のトマトパスタ。
涙で視界がぼやけていても、美味しさだけははっきりわかる。
「いただきまーす!」
アンネリーゼが涙目のまま、器用にフォークでパスタを巻き取る。
「……あっつ! でもおいしぃぃぃ!」
「泣きながら食うな。」
「だって、玉ねぎの想いが……ぐすっ……しみてるのよぉ!」
「……情緒がうるさい。」
「リースだって人のこと言えないじゃない。涙が出てるわよ!」
「仕方ないだろう。止まらないほどうまいんだ。」
こうして二人は涙を流しながら、トマトパスタを食べるのだった。
(もう…あの玉ねぎはこりごりね…)
***
✿ 神殿食材記録:ルーメ・オニオ(通称:泣き玉) ✿
記録者:ケルネリウス・アスデウス
本件、聖女アンネリーゼが「お昼ご飯」と称して収穫した個体についての記録。
畑の養分を吸って育つ植物系魔物。そのため勝手に畑の近くで生活していることが多い。
引っこ抜くと泣き出す。
涙には“感情を共鳴させる効果”があり、料理に使うと心を穏やかにする作用を持つ。
ただし、生のまま刻むと刺激成分が暴走し、厨房が涙の海になる危険も。
ロックバードの肉とトマトソースに合わせると甘みと旨味が調和し、
“泣けるほど美味しい”と言われる神殿料理となる――
が、作るたびに誰かが泣くため、定番にはならなかった。
✿今回もお読みいただきありがとうございました。
アンネリーゼたちの、とある日常はいかがでしたか?
少しでも「アンネリーゼ可愛いな」「ご飯美味しそうだな」と思っていただけたら嬉しいです。
次回は引き続き水田作り編。
用水路作りは果たしてうまく進むのか……!?
21:10更新予定です。
アンネリーゼたちの“美味しくてにぎやかな日常”をどうぞお楽しみに。
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