表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
荒地に追放された食いしん坊聖女はいつの間にかラスボス認定されていたようです!!  作者: ゆずこしょう
食いしん坊聖女は荒地を開拓して水田作ります!!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/112

お米が食べたい!!

「住の部分に関しては、だいぶ整ってきたわね。」


アンネリーゼたちがプロセルピナ神殿に来てから、早くも三ヶ月。

あのボロボロだった神殿も、いまではすっかり“暮らせる場所”になっていた。


上下水道は通り、壁の補修も終わり、各部屋には簡単な家具まで置かれている。

来たばかりの頃は、かろうじて屋根がある部屋に全員すし詰めで寝ていたのだから、よくここまで立て直せたものだ。


「畑の野菜も、そろそろ食べ頃ね。」


神殿の裏には、小麦と枝豆、それにいくつかの野菜。

エリザベッタに手伝ってもらって植えたそれらも、もうすぐ収穫できそうだった。


小麦が取れればパンやパスタ、枝豆が育てば味噌や醤油も作れる。

おかげで食卓は、すっかり“日本の香り”が戻ってきた。


(こういうときは本当に助かるわね、業務用冷蔵庫って……)


最初は「時間を早めたり止めたりして、どうするの?」と思っていたけど――

発酵食品を作るのに使えると気づいてからは、もう手放せない。


チーズ、味噌、醤油。発酵に一年かかるものも、一時間で完成。

それに気づいてからは、神殿の中がずっといい匂いで満たされている。


それでも、ひとつだけ満たされないものがあった。


「う~……お米が食べたいわねぇ。」


この世界に来て十四年。まだ一度もお米を見たことがない。

パンも悪くないけど……やっぱり、あの白い粒が恋しい。


「セラフィエルに稲があったりしないかしら。」


そんな独り言をぽつりと漏らした、そのとき――


「ん? 稲とはなんだ?」


「ん~……麦に少し似てるんだけど……」



「――って、なんでいるのよ!? びっくりしたじゃない!!」


まさかのケルネリウス登場。

完全に一人でしゃべっていたと思っていたのに、いつの間にか後ろに立っていた。


「いや、何度かノックしたんだが反応がなくてな。心配になって入った。」


ふっと笑って髪をかき上げるケルネリウス。

(ほんと、どんな仕草もサマになるわね……慣れちゃうとトキメキも薄れるけど…)


「そう……全然気づかなかったわ。」


「で? 稲とは食べ物なんだろう?」


「さすがリース、正解よ。そう、食べ物! 小麦みたいな穀物だけど、粉にしないで粒のまま食べるの。生だと固いけど――炊くとね、ふっくらして甘くて……」


(あぁぁぁ……炊きたての白いご飯……おにぎり……卵かけご飯……)


気づけば頬がゆるみ、自然と笑いがこぼれていた。


「……はぁ。で、調理するとなんだ?」


「ふ、ふふ……ごめん。そう! とにかく美味しいの! 最高なのよ!!」


ケルネリウスは軽くため息をつきながらも、口元に笑みを浮かべた。


どうせまた“食材探索”に出かける流れになるのだろうなと分かっている。


それに、アンネリーゼが“食材探索”に行ってくれれば、ケルネリウスも魔物や土壌研究などに没頭できる。


言わばお互いにとって都合がいい。


「じゃあ今日も、その稲とやらを探しに行くか。」


「えぇ! ついでにこの辺の植物も見ておきたいの!」


こうして二人は神殿を出発した。

荒地といっても、更地ではない。場所によっては草木が生い茂り、他では何も生えていない地帯もある。

少しずつ土地の性質も分かってきて、歩くペースも自然と軽くなる。


「明日からは馬で遠出もありね。」

「あぁ、そろそろ慣れてきたしな。」


それから一時間ほど歩いた頃――


「ヴォォォオオオ!!」


地の底を震わせるような咆哮が響いた。

鳥が一斉に飛び立ち、空気が張りつめる。


「リース、今の聞こえた?」

「あぁ。……近いな。」


声のする方へ進むと、川のせせらぎが聞こえた。

そして、水面には黄金色にきらめく粒が流れている。


「えっ……これ、まさか……!」


川に手を伸ばして掬い上げる。

掌の上で、金色の粒が太陽を反射してきらめいた。


(――この感触、この色……間違いない。これは、籾だ!)


「うわぁっ!!まさかお米ちゅあんに会えるなんて!!」


興奮して跳ねるように振り返る。

「見て、リース! これが、お米になるのよ!」


籾が流れてくる方へ夢中で進んでいくと、川の中に――二メートルはあろうかという熊が立っていた。

しかも、その頭から稲が生えている。


「……えっ!? 稲って熊に生えるの!?」


熊はゆっくりとこちらを振り向き、赤い目で見据えた。

背中にも稲。完全に“稲と熊の合体体”。


(えっ!? 稲が熊? 熊が稲? どういうこと!?)


ケルネリウスが臨戦態勢を取る横で、私はただその光景に見入っていた。


恐怖よりも先に、湧き上がってきたのは――

好奇心だった。

「ちょ…ちょっと…リース!!」


「な、なんだ…」


「やっぱりこの地はお宝の山ね!!益々これからが楽しみだわ!!」


✿ここまで読んでくださってありがとうございます!


もし少しでも「アンネリーゼ可愛いな」と思っていただけたら、

ブックマークで応援してもらえると嬉しいです✨


次回は熊さん回。果たして敵か…味方か…。


21:10更新予定です。


それでは、次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ