集められた四人。
「さっ、取りあえず魔物は居なくなったし、掃除しましょうか!」
手をパンパンと叩くアンネリーゼ。
その周りには、キラキラと光る魔石が山のように転がっていた。
「……掃除って、ここ血の跡だらけだぞ?」
ケルネリウスが呆れたように眉をひそめる。
「えぇ、大丈夫よ。気持ちの問題だもの!」
どこまでも前向きな笑顔に、誰も突っ込めなかった。
魔石には瘴気が凝縮していて、扱いを間違えると危険だ。
けれどアンナはその光景を前に、にこにこと言った。
「あっ、魔石は燃やさないで集めておいて欲しいの。」
「えっと……燃やさないで、集めるんですか?」
「うん。“あとで使う”から♪」
神官たちが一斉に顔を見合わせる。
(“使う”って……まさか料理じゃないよな?)
嫌な予感しかしないが、口に出せる者はいなかった。
***
「集まったわね!!」
アンナの声で集められたのは、数名の聖女と神官。
彼女たちは、今しがたの戦いを忘れたように妙にテンションが高い。
「ふふふ……ついにこの時が来たのね!」
「腕の見せどころだな!」
「この地がどうなるかは俺たち次第だ……!」
突然笑い出す面々に、ケルネリウスは眉をひそめた。
(……全員、何かヤバいものでも食べたか?)
「んふふふ……そうよ! 遂に私たちの力を発揮する時が来たの!!」
アンナまで笑い始めた。
ケルネリウスは小さくため息を吐き、話の流れを止めた。
「……頼む。何の話か分かるように説明してくれ。」
アンナはキラキラした瞳をこちらに向け、いたずらっぽく笑った。
「この荒地を――私たちの力で回復させるのよ!」
「……は?」
一瞬で静まり返る部屋。
「リースには言ってなかったけどね、ここに集まった四人には共通点があるの。」
左から順に立つ四人――
中級聖女エリザベッタ、アレット、神官騎士キャスバル、オレール。
「まず、エリザベッタ・カルマイル。私より二つ上の16歳。幼なじみでもあるの。」
「ちょ、アンナ! 紹介の仕方ぁ!」
「だって事実じゃない。」
「……まぁ、否定はしないけど。」
「次はアレット・アーリエル。おっとりしてるけど、こう見えて頼れるのよ。」
「もう、雑な紹介しないでちょうだい?」
「ふふ、でも事実でしょ?」
「キャスバル・ガブエーラ。堅物だけど実は恋人持ち。」
「はぁ!? 今ここで言うな!!」
「え、恋人ってエリザベッタ!?」 「わ、私じゃないわよ! ……いや、違わないけど!」
ケルネリウスは頭を抱えた。
(なんだこの紹介劇は……)
「最後はオレール・アズラール! 私と同い年の14歳、ちょっと無愛想だけど根は真面目よ。」
「……アンナの足跡を追っただけです。」
「はいはい、ツンデレ発言入りました~!」
4人を見渡して、ケルネリウスはようやく頷いた。
「……共通点は、ラファリエール公爵直轄の貴族、ってことか。」
「そういう事!!」
アンナがにっこり笑う。
それだけで、嫌な予感が止まらない。
「それとね、もう一つ共通点があるの。」
間を置くアンナ。
その顔を見たケルネリウスは、嫌な予感に背筋がぞわりとした。
(やめてくれ……また爆弾発言の顔してる……)
「私と同じ、セラフィエル帝国の領主の子孫なのよ!!」
「……っ!?」
静寂。
ケルネリウスの頭が真っ白になる。
セラフィエル帝国。
――ルシフェール、ウリエーラ、ラファリエールの三大領地の他に、
ガブエーラ、カルマイル、アズラール、アーリエルの四つの小領地があったという。
だが、その四つはすべて戦で滅びたはずだった。
「小領地だった私たちの先祖は、ルシフェールに勝てずに亡命したの。
でもね、血はちゃんと受け継がれてるのよ。」
「やっぱりか……。」
ケルネリウスが頭を抱える。
しかし、アンナの口は止まらない。
「ちなみに大神官の本当の名前は――レオナール・ミカエリス・セラフィエル。
セラフィエル帝国の皇族の血縁者なの。と言っても、今は平民として生きてるけどね。」
「……はぁぁぁぁぁあああ!?」
ケルネリウスの叫びが神殿にこだました。
その声にも動じず、アンナはにっこり笑って言った。
「さっ、リースも秘密の共有者になったことだし、これからについて話しましょうか。」
ケルネリウスの頬がぴくりと動く。
「……おい、リーゼ。お前の“秘密”っていつも命に関わるんだが。」
「んふふ、大丈夫大丈夫! 今回は平和的よ!」
「(……その“平和的”が一番怖いんだよな)」
4人がクスクスと笑いながら、ケルネリウスの肩をぽんと叩いた。
「ご愁傷様です、ケルネリウス。」
「ようこそ、“共犯者”の世界へ。」
ケルネリウスは、盛大にため息をついた。
もう逃げる気力すらなかった。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
アンネリーゼの物語を楽しんでいただけたなら、とても嬉しいです✨
新キャラはいかがでしたでしょうか?
ここからアンネリーゼの旅は、ますます賑やかに――そして美味しくなっていく予定です♪
次回は“新しい魔物”が登場!?
21:10更新予定です!
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それでは、次回もお楽しみに!




