表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様機構―悠久なる歯車―  作者: 太郎ぽん太
一騎大国
92/123

第十四話:理由なき無双




行けと言われた場所へ行く。

前に出ろと言われたら、前に出る。

それだけだった。


戦場は、もう珍しいものではない。


街道。

丘陵。

村を囲む低地。


敵がいる。

斬る。


それ以上の理由は、なかった。


白い鎧が前に出ると、戦線が動く。


押し返されていた線が、押し返る。

詰まっていた場所が、開く。


速い。

無駄がない。


誰かの号令を待つこともなく、

白は、必要な位置に立っている。


剣は、ためらわない。


躊躇も、探りもない。


踏み込めば終わる距離を、

正確に踏み込む。


結果だけが、残る。


「……また、終わったのか」


後方で、誰かが呟いた。


被害は、少ない。

時間も、短い。


理由は分からない。

だが――


白が前に出た戦場は、終わる。

それだけは、はっきりしていた。


報告が上がる。

数字が並ぶ。


撃破数。

突破地点。

制圧時間。


どれも、異常だった。


「使えるな」


誰かが言う。


「前に置け」


誰かが決める。


作戦は、少しずつ変わっていく。


白が前提になる。

白が行けば、終わる。

白が立てば、崩れる。



サダオミは、何も言わなかった。


褒められても、

咎められても、

反応は同じだった。


行けと言われれば、行く。

前に出ろと言われれば、出る。


勝っている実感は、なかった。

達成感も、ない。


ただ、

やらなかった時の結果を、

もう見たくなかった。



配置が変わる。

役割が増える。


呼ばれる頻度が、上がる。

前線に立つ回数も、増える。


それに比例して、

周囲の距離が、少しずつ変わった。


近づこうとする者がいる。

声をかけようとする者がいる。


だが、

白い鎧の前では、

言葉は自然と途切れる。


何を話せばいいのか、

誰も分からない。



ある戦場の後、

呼び止められた。


「少し、話がある」


形式ばった声だった。


簡単な説明。

形式的な評価。


戦果がある。

前に立てる。


だから――

部隊を持て。



サダオミは、頷いた。


拒否もしない。

喜びもしない。


そうなった、

という事実を受け取るだけだった。


「部下は、追って合流する」


その言葉に、

一瞬だけ、間が空く。


逃げ場が、一つ消えた気がした。



前に立つ数が、増える。

守る範囲が、広がる。


それが何を意味するのか、

この時は、まだ分かっていなかった。


白い鎧は、

再び前へ出る。


積み上がっていくのは、

戦果だけだ。


何かを得た感覚は、

どこにもなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ