表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様機構―悠久なる歯車―  作者: 太郎ぽん太
幕間
77/120

天界 Ⅲ・前編





 ───終わった、か。


 光の中で、そう思った。


 後悔はなかった。

 自分で決めたところまでは、やり切った。


 時間の感覚は、相変わらず曖昧だ。


 だが、不意に聞こえてきたオルゴールの音色が、

 思考を静かに整えていく。


 ───天界の音だ。


 その音を合図に、記憶が揃っていく。

 自分がどこから来て、どこへ戻ったのか。


 視界が晴れる。


 白い回廊。

 均一な光。


 見覚えのある、天界の風景。


 定臣は、帰還していた。


 周囲には他の天使の気配もある。

 だが、今は誰とも話す気にならなかった。


『戻ったか』


 背後から、短い声。


 振り返らなくても分かる。

 小波透哩だ。


「……ああ」


 それだけ答えて、定臣はその場に腰を下ろした。


 床は硬いが、気にならない。


 少し、間が空く。


『今回は、早かったな』


「自分で決めたゴールがあったからな」


『ふうん』


 それきり、透哩は黙った。


 定臣は、透哩の方を見ないまま続ける。


「なあ」


『なんだ』


「一つだけ聞かせてくれ」


 どうせ答えは返ってこない。

 それでも、聞いておくべきだと思った。


「……向こうにいた時」


 ほんの一拍、間を置く。


「なんで、お前が降りてきてたんだ?」


『……』


 返事はない。


 だが、立ち去る気配もなかった。


「……いや、なんでもないかな」


 定臣はそれ以上追及せず、

 視線を前に戻す。


 しばらく、何も起こらない時間が流れた。


 透哩は、答えなかった。

 触れもしなかった。


 だが、その場を離れもしなかった。


 ───あれ?


 定臣は、ほんの一瞬だけ思う。


 今日の透哩、

 もしかして、機嫌いいのか?


 もちろん、確信なんてない。


 そんなことを考えた自分に、

 少しだけ苦笑して――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ