エピローグⅡ「作戦」
「――さん! 雨―さ―!」
(うるさい。静かに寝させてくれ)
なぜだか視界がぼやけて耳鳴りがする。
他にも音がすると思ったらそれは、異常なほどの銃弾の音と断末魔だったのだ。そして、目の前にどこからか飛んできた爆弾が落ちてきて、爆発した。
「ドォォン!!」
――そこで目が覚めた。
「うわぁぁ!」
布団からガバっと起き上がった。息は乱れて、顔は青ざめている。
「なんだ夢か……」と呟いた。
寝起きで視界がぼやけていた。寝床から立ち、洗面所へ向かい、顔を洗ったら、ようやく気分がシャッキっとしてきた。
「にしても、不吉な夢だったな……」
まだ雨宮以外の兵士は起きてきていない。
(今のうちに準備をしちゃうか)
準備を初めた。今は朝の4時弱だったので特段、兵士たちを起こしたりはしない。
準備が終わった雨宮は椅子に座り、書類に目をとうしていた。現在、朝の5時。作戦開始まであと9時間。
6時頃になってくると兵士たちも続々と起きていている。皆、起き上がってすることは同じで、顔を洗いに行っていた。その後は神に祈りを捧げる者、軽い準備運動をするものとこれまた、昨夜のようにバラバラだった。別に気にすることもないので雨宮は何も言わなかった。
それから朝食を取り、副官のもとで作戦の準備を進めている。
作戦の内容はこうだ。まず、このテントを空っぽにして、わざとここへ誘導する。勿論、テントには人は一人としていない。銃口とテントを繋いだパイプを伝って銃弾が通り、誘導されて中に入ったアメリカ兵を悲鳴を上げさせずに撃ち殺す。例え撃ち逃したとしても、外に狙撃兵が木の上からスナイパーライフルで狙撃する。安直だからこそ、なのだ。
準備も終わり、あとは待つだけとなった。
「各自持ち場につけ!」と雨宮が叫ぶ。
「「「はい!」」」
現在午前10時。
――それから3時間のことだった。
「アメリカ軍見えました」
ある兵士が近づいてきて耳打ちをした。雨宮はそれを聞いて無線でサインを出す。
一方アメリカ軍は相手からの迎撃もなしに上陸できたことに困惑していた。
「どういうことだ!?」
「上陸するときが一番のチャンスだというのに!」
と、色々と荒れていた。それが、それこそが雨宮たちの思惑とは知らずに。
場面は戻り日本軍。
アメリカ軍が隊列を組みこちらに向かい始めた。それと同時に無線がなった。
「至急、作戦態勢!」
周りの兵士が無線を聞き動き出した。しかし、森の中にいるのにも関わらず物音がとて静かであり、それが訓練の成果であることがわかる。
(よしよし。わざとつけた足跡を追ってきているな。それに我々の兵士たちは訓練の成果が存分で発揮されている)
茂みから少し顔を出し、双眼鏡をのぞき込みながら思った。
それから少し経ち、アメリカ軍兵士がテントの前に到着した。それを確認して無線機に手を伸ばした。
テントへ入っていったアメリカ兵が次々に倒れていった。一人、テントから逃げ出した者がいたが、大きな音とともに腹部を押さえながら俯けに倒れた。
ここはアメリカ軍の本隊に届かない距離にあるので銃声は届かない。
「……撃退成功」
無線がなった。それと同時にプロペラの音がしてきた。その音はだんだんと近づいてきているように感じられた。
(これは、この音はっ!)
雨宮はすぐに上を見上げた。目線の先にあったものは、戦闘機だった。
「速やかに戦闘機を撃墜せよ!」
雨宮の命令が無線に流れた。