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エピローグ? 世界の歌姫 コニー・リーパー

お話としては最終回で完結です。

こちらは好みになりますので、エピローグに“?”を付けさせていただきました。

 目の前には点のように見える大勢の人たち。


 そして全員の手には彼女のトレードカラーのピンクのサイリウムペンライトを持っている。

 中央にあるステージを囲むようにひしめき合っている人たちは夜空の星が一度に落ちたようにピンクの光を瞬かせている。その人たちが見ているのはただ一人。


 コニー・リーパー


 弱冠、18歳で国内外の様々な歌の賞を受賞する世界中で人気の歌姫だ。

 その彼女は可愛さとカッコ良さを体現したように左右で全く異なる姿をしている。


 右側にはベリーショートをさらに短くして髪の毛をワックスで立たせたライトブラウンの髪色に袖口に星のスタッズが付いた半袖、ショートパンツの襟足は少しダメージ加工されている。真っ黒に塗られた爪のある手でマイクを持つ。


 左側には黒のロングヘア―に半袖の上から左半分のみ革ジャンを着ている。そしてショートパンツを左半分のみ覆うように膝上まである赤いチェック柄の傘のように膨らんだスカート。トレードカラーであるピンク色に塗られた爪のある手を広げている。


 足元には細身の皮で出来た黒色のニーハイブーツを履いている。大きな目には何枚も重ねた黒のつけまつげをつけて、目尻の先まで長く伸びたアイラインがひかれている。


 彼女のすべての魅力を凝縮したかのような、真っ赤な口紅を塗った唇を大きく開けてファンに問いかける。


「楽しんでくれてる?」



 彼女の声はマイクを通すと、エコーで声が重なりながら、会場一体に大きく響いていく⋯⋯


 そしてその声の輪が会場全体を包んだ。


 彼女の声が全てのファンの耳に行き届くと、その何倍もの大きさで熱い返事が返ってくる。



 今日のライブも絶頂を迎え、ファンは狂ったような喜びようだ。


 彼女はじっくりとステージの上からファン1人1人を見るかのように時計回りに会場を見ていく。

 ”目が合った”と大騒ぎするファン、興奮しすぎて金切り声のような甲高い声をあげるファン、はしゃぎすぎて一人では立っていられないファン。


 彼女はそれを見て少し口角を上げた。


 そして彼女は左手をすっとあげた。


 それは魔法を使ったのかのように歓声の大波が一瞬で凪いだ。


「最後の歌、行くよ」


 ファンはもう何が起こるのか分かっていた。

 コニーは最後にいつも同じ曲を歌う。


 それまでのアップテンポな曲や、ギターやドラムと喧嘩するようなロックな歌でもない。


 その個性を体現したかのような彼女が最後に歌うのは『ラブソング』だ。


 ファンの間ではこれが一体誰のことなのかということについて、いつも議論になる。

 だが、その結論に辿り着いた者はいない。


 彼女は左のポケットから黄色のハンカチを取り出した。

 そしてマイクの首元を結んで飾る。


 それが合図となってまばゆいサイリウムペンライトはパラパラと光を失い始めて、最後には真っ暗になった。それはまるで闇に包まれた海の中にいるようだった。


 その海ははたして


 悲しみの果ての海だろうか⋯⋯


 救いの海だろうか⋯⋯


 そしてファンの手にも黄色のハンカチが握られている。これから何が起こるのを分かっているファンはすでに目元にハンカチを添えている。


 彼女はピアノを一瞥した。


 するとピアノの旋律が始まる。彼女は静かに息を吸い込むと、胸に詰まった想いを紡いで歌に乗せる。



 コニーの頭にはグレイブのことが思い出されてゆく



 人生なんて気の向くままに進めばいい

 次があるからまた今度

 そう思っていたのに

 隣にやって来たあなたは

 この人生は一度きりしか来ないと言った


 ただの確率の重なり合いだと思って

 諦めていたのに

 あなたが真剣な目を向けるから

 私も真剣な目を向けてみたの


 ただ、それだけ


 そう思ったのに

 あなたに真剣な目を

 向けられれば向けられるほど

 期待に応えたいって思ったの

 あなたのまぶしい笑顔を見た時から

 私だけに向けられた

 笑顔を見せ続けてほしい

 そう強く思ったの


 いつしかあなたに宛てた

 貼り付けの真剣な顔は本物となり

 私は目の前のことに目を向けた

 あなたの瞳に少しでも長く

 私の姿を映し続けてほしい

 そう強く願ったの


 あなたはいつも些細なことに気が付いて

 それをあなたは私に伝えるの

 髪を切っただけなのに気付いてくれた

 それだけのことが

 こんなに嬉しいなんて知らなかった


 街中で偶然会っただけなのに

 当たり前のように隣へ来ると

 手を重ねて一緒に歩いてくれたね


 歌うのが大好きだったけど

 ずっと言えなかった

 思い切って歌った私の拙い歌声は

 緊張して上ずっていたのに

 優しい声で

 僕には響く歌声だよって言ってくれた


 私は目が滲んでもっと声が上ずったけど

 私を優しく包んでくれる

 あなたのまなざしの目の前で

 大好きな歌をずっと歌っていたいの


 あなたの目の前も隣も

 私にとってはずっと居たい特別な場所


 このまま時を止めて永遠に


 心から

 身体中から

 その願いが溢れてくる


 あなたが目の前からいなくなって

 それでも私はあなたを探し続けてしまう


 この歌声を道しるべに


 どうか⋯⋯


 どうか⋯⋯


 もし願いが叶うなら

 この道しるべを伝って

 私に巡り合ってほしいの



 そんな日が来るのをここで待つの



 あなたが迷わないように



 私は歌い続けて



 ここに残すの

ここまでお読みいただきありがとうございました!


誤字・脱字等ありましたらご連絡お願いいたします!

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