1話
今日は久しぶりにゆっくりできる休日だ。
最高の休日は最高のオ〇ニーから始まる。
朝にスッキリ済ませて、1日を優雅に過ごすわけだ。
あらかた目星をつけておいた動画を吟味し、今日の気分に合うものを一つ選ぶ。
再生ボタンを押すと、液晶に映像が映し出される。
俺の下半身はもう既にスタンバイしており、今か今かと待ち構えている。
まあ待て焦るな…
まだ始まったばかり―――。
「へ?」
間の抜けた声に振り返ると、金髪の女性がそこに立っていた。
「きゃああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ」
「ぬおおおおおおおおおおおおおおああああああああ」
こいつ、いつの間に、どこから入ってきやがった…っ!!
彼女の視線は俺の股間に注がれている。
もちろん、俺の息子は既にスタンバイしているので、今か今かといきり立っている。
「ちょ、落ち着こう、なっ」
「い、いやぁ!来ないでっ!ひいぃぃぃ」
彼女は俺のナニに怯えてしまい、会話どころではない。
おれはようやくしまえばいいものだと気づき、無理やりパンツで息子をしまい込んだ。
「ほら、何もしないから。落ち着けって」
「ふ、ふええぇぇぇぇ」
今度は泣き始めてしまった。
彼女が落ち着くのを待ち、頃合いを見計らって温かいコーヒーを出してやると、不思議そうに眺めていた。
「飲まないのか?」
「これは…?」
「コーヒーだよ。インスタントだけど」
「こーひー………」
明らかに日本人離れした顔立ちのようだが、コーヒーは大体の人は知ってるだろう。
彼女は一口すすると、少し苦そうな顔をしていた。
「砂糖、入れる?」
「あ、ありがとう…」
スティックシュガーを渡してやると、それも不思議そうに眺めるので、開けて入れるのだと教えてやった。
「落ち着いたところで申し訳ないんだけど、家の中だからさ、靴脱いでもらえるかな?」
「…?わかったわ」
彼女はブーツを手で脱がせると、横に並べて置いた。
「あ、あの」
「ん?」
「ここはどこかしら」
「ここは、俺の家だが」
「それは分かるわ」
「あんたこそどこから来たんだ?」
「私はナーガエルムの森から旅をしていたの。路銀が尽きたからギルドで依頼を受けて、ダンジョンの調査をしていたところだったんだけど…」
「へ、へえ………」
2択ある。
頭がヤベエやつか、ガチのやつか。
頭がヤベエやつなら通報案件だが、どうにも嘘を言っているようにも見えないし…。
ていうか、よくよく見るとめちゃくちゃ美人だな。
「とにかく、あの、お邪魔して悪かったわ。もしかしたらダンジョンのトラップで転送されたのかもしれないし…。依頼の途中だから戻らなきゃ」
「あ、ああ…、ってどこに戻るの」
「いや、だから、洞窟よ」
「洞窟…」
「出口はどこかしら」
美人が出ていくのは名残惜しいが、変なことに巻き込まれるのは嫌だしな。
ここはあまり関わらないでおこう。
「こっちだ」
「ありがとう」
彼女を玄関まで案内する間、彼女はキョロキョロと物珍しそうに部屋の中を見回していた。
「珍しいものがたくさんあるのね…。これらは全部あなたのものなの?」
「そうだよ」
「へえ…すごいわ。今度ゆっくり見に来てもいいかしら」
「あ、ああ…機会があればね」
彼女はブーツをはき終えると、俺の目を見てじゃあねと言った。
俺もじゃあと返すと、サラサラした金髪の中に、先が尖った耳が見えた。