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36話 田島 蟻転生

 学校の教室でおかむーを待っていた。

「小林さんを誘う」とかそんなことをいって出て行った。

帰ってこないので探しに行った。

廊下に出た。

夕暮れのオレンジの日光がまぶしい。

片手でそれを遮り、階段を下る。下ったはずだった。

目の前が回転した。

多分踏み外したんだろう。

頭を打ったとか身体が痛いとかそういう記憶はない。




俺は膜の中にいた。

うすくて白い膜。

簡単に破れそうだったが両手両足を拘束されているのか動かない。

口で切り裂いた。

なにか入ってくる!?水?冷てえ!

水に浸かった。全身頭まで。

苦しくはない。水槽のようなものに入れられている。

外に人がいる。

声が出ない。水の中だから当然か。

水が流れ出ていく。

外の人は白衣をきていた。

ハサミのようなサスマタのようなもので

俺をつまみ上げると部屋の外へと連れて行った。


洞窟?

洞窟のようなところに置き去りにされる。

声は出ない。手も足も出ない。

おいおい。

誘拐かなにかか?こんな大男を。

絶対に訴えてやるからな!

すぐでかいアリがやってきた。

食われる!と思ったが丁重に運ばれた。

巣の中へ。


巣の中では無数のアリが生息している。

こんなでかいアリがいたら人類全滅だわ。

さらに多くの幼虫が蠢く場所につくとそのスペースの一部に俺を置いてどっかいった。

これは・・・保存食にされたのか?

尻のでかいアリがやってくる。

尻はオレンジに光っている。

まるであの日の夕暮れみたいだ

と思っていると尻をこちらにむける。

中から密があふれ出てくる。

無理やり飲まされる。

あま。うま。

たちまち眠気に襲われる。

たぶん俺アリの幼虫に転生したんだわ。きも。


いつのまにか蛹になっていた。

いつのまにか成虫になっていた。

時々記憶が飛ぶ。



異世界転生か。

「アリですがほのぼのライフはじめたらパーティ追放された。チートスキルでざまあ!」

みたいなタイトルがいい。


成虫になったときのクイーン様の命令がこうだ。

巣に貢献しろ。

これだけだ。

俺は忠実に働いた。

洞窟のモンスターを殺した。

アリは弱い。

毒や麻痺をもっているやつと組んで殺した。

念波で簡単な意思疎通をすることができた。

スライムを殺し、クモを殺し、蛇を殺し、クマを殺し、イノシシを殺し、オークやゴブリンを殺した。

そして最後にクイーンを殺した。

巣の為に弱いクイーンを殺した。

クイーンを殺したらスキル産卵と眷属命令を手に入れた。

メスだったのか俺。


俺には毒も麻痺も強い爪もなかった。

人間の頭脳だけ。

巣の為に。俺はアリを全部一か所に集めた。

強いアリも弱いアリも全部。

俺は命令した。

動くなと。

そして殺した。

前クイーンの子を全部。

不出来なアリどもを作り直す。

産みなおす。

エネルギーを得るために。

全て殺したその時から

俺自身が特別な存在になった実感があった。


その後

特別に栄養を注いだ卵を4個作った。

さらに働きアリを総括する「巨大種」

索敵能力特化「小型種」

穴掘り特化「顎強化種」

主食は鉱物「鉱物種」

など作っていった。

産み分けも簡単にすることができた。

アリの歴史が俺に全て集約しているからだ。


そしてある日、ハイオークが巣をぶち壊しにやってきた。


おそらくゴブリンやオークの復讐だろう。


興奮を抑えきれなかった。

アントの女王のなってからの初めての戦闘に。

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