魔王登場
私の日課は、1日3回、馬に乗ってこの小さな小さな国を見回ることだ。今日も朝早くに起きて国に異常がないかを見て回る。
そうそう。リリィ王女様は、朝起きたらもういなくなっていた。リリィ王女様は神様になられてから王女だった頃の公務で忙しく自由に出来なかった日々を取り戻すように自由になられた。
「ローズ!」
空から声が聞こえて空を見るとリリィ王女様の姉であるアイリス王女様が空中で止まっていた。
ローズ「おかえりなさい
どうなさいましたか?」
アイリス「リリィは?」
ローズ「おそらく朝方までいらっしゃったと思うのですが。」
アイリス「そうか。」
ローズ「もしかしたら昨日の客人の国に行かれたかもしれません」
アイリス「なに⁉︎」
アイリス王女様は、血相を変えて空を飛んで行こうとしたが何かを思い出したのか顔だけこちらを向けた。
アイリス「これ食べる?」
ダンジョンで獲って来たであろう大蛇を私に見せた。
ローズ「いっ12いえ…」
私が苦笑いをして断ると、気にせずアイリス王女様はリリィ王女様を追いかけていかれた。
とある国。
男の子が父であるこの国の王に訪れた小さな小さな国の話をしている。
父「して、いかがであった?」
男の子「栄えておりました。小さいのですが森と海の恵みで潤い海や街の美しさを求めて観光客がたくさん訪れていました。」
父「ふむ。」
男の子「いかがいたしましょう?」
父「小さいのであれば防衛的には弱いだろう」
男の子「はい!検疫や警察はいましたが軍隊と呼べるものはいませんでした!」
父「うむ!では、力づくで我が国のものに!」
男の子「はい!」
リリィ「困りますねぇ」
いつの間にか小国を案内してくれた美しい美少女が部屋の中に入っていた。
男の子「あっ…」
父「誰だ⁉︎」
リリィ「お忘れですかフェリペ王子?
私は、」
アイリス「リリィ!」
大声が聞こえてすぐに爆音がして部屋の屋根が吹き飛んだ。王と王子は驚き、リリィは固ま
った。
アイリス「無事か?」
リリィ「お姉ちゃん…」
アイリス「この野郎!」
アイリスは、再び剣を振るった。すると大きな黒い光が剣先から出て今度は城の山をぶっ壊
してしまった。王子は尻餅をついてしまった。
アイリス「テメェら、この国を破壊されたいのか?」
アイリスは、ドス黒いオーラが目に見えてしまい目は炎が出てしまっているが黒い眼球も
ハッキリと分かる。
男の子「神様、あの方は?」
父「神様⁉︎」
リリィは、両手を山にかざした。すると手から優しい光が出て山をなおし、続けて城の屋根
も同じように直した。
アイリス「リリィー。」
アイリスは、不満そうだが剣を黒く光らせているだけの姿になった。
リリィ「あれは、魔王ですね。
ウチは、小国ですが魔王がいるので軍隊を置いていないのですよ。1人で3国を破滅させてしまうので。」
王は、小さな悲鳴をやっとあげた。
男の子「神様。」
リリィ「はい?」
男の子「神に逆らおうとした僕達はどのような罰が…」
アイリス「それは!」
アイリスが男の子を剣で指すがリリィに制された。
リリィ「神に善も悪もないので人に罰する事もないのですよ」
リリィの神の微笑みに汚れた2人の心は洗われていく。
父「しっ12しかし!」
リリィ「では、ウチの小さな小さな国と友好的に付き合ってくれますか?
もちろん、そちらが助けを求めたら助けますし12」
2人は、すっかり自分たちの悪い心を捨て、神であるリリィに頭を下げた。
私は、日課である国の見回りを、公務を終えて夕方に行っていた。ふと空を見上げると2
王女様が仲良くこの国に帰ってきた。
ローズ「2王女様!」
リリィ「ただいま12」
ローズ「また、仲良い国を見つけられたのですね」
リリィ「うん♪」
アイリス「今日は3人で楽しく過ごせるな」
2王女様は、飛びながらも私と同じ目線で馬と同じ速さで国を見回るのに付き合ってくれた。途中で、村人に挨拶されながら。
アイリス「あっ12今日の晩飯は大蛇でいいか?」
リリィ「えー‼︎」
私も苦笑いしながら束の間の幼なじみ3人の時間を楽しく過ごした。
大蛇を食べたかどうかは、みなさんのご想像にお任せします。