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名もなき町  作者: 田中らら
7/23

恋人

中村裕子は春斗が好きで、

いつも春斗に話しかけていた、

そして私のことは嫌いみたいで、

目が合うと刺すような目つきで私を見て来た。



1ヵ月前のある晩、春斗はセックスのあとベッドに腰かけて

ゆっくりと話し始めた。


「俺、今日、中村裕子に告白された!」


「えっ?あの中村裕子?うそでしょ?」


「本当。」


「え~そうなんだ、彼女、恋とかしないタイプだと思った、

で?なんて答えたの?」


「曖昧に答えて気があると勘違いされたら嫌だから、

付き合ってる人がいるからごめんなさいって謝った。」


「えっ?付き合ってるってまさか私?」


「うん。」


「私たち付き合ってた?」


「オレはそれでいいと思ってる。」


「セックスしている=付き合っていう意味なら付き合っているけど、

お互いのこと何も知らないし、ここの世界だけの付き合いでしょ?」


「この名もなき町での彼氏でいいじゃん!」


「いいけど・・・

恋とは違う気がするし、

私いつここから出ていくかわからないけどいいの?」


「いいよ、俺も長くはここに住まないよ。」


春斗のその言葉から寂しさを感じた。


そう言えば「名もなき町」の住人は、

みんな内向的で色白やせ型で自己主張が少なめの人が多いのに、

春斗は筋肉質で色黒で「名もなき町」では、

珍しい人だった。


私はこの関係が終わることに寂しさは無かった。


春斗のことを愛することは出来ない、

子供のような恋愛ゴッコは出来ても、

愛する人を探すのはここじゃないと思っていた。


「中村裕子怖いな~

私が殺されたら春斗のせいだよ!!」


「そこまでしないだろ!」


「わからないよ、今も外でこの部屋を見ているかもしれないよ!」


そう言って二人で笑った。


そして予想通り次の日から私は中村裕子に睨まれるようになった。


でも少しも気にならなかった。


何か面倒なことになったら出て行けばいいや!

と軽く考えていたからだ。


つづく

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