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名もなき町  作者: 田中らら
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小さな町

久し振りに名もなき町を紹介してくれた知人から連絡が来た。


「元気?」


「はい、元気ですけど・・・どうしたんですか?」


「それが、また名もなき町と似たような町が、

出来ることになったんだよ、

もう行かないよね?

一応聞いたほうがいいかな?と思って。」


「えっ!そうなんですか?」


「前のメンバーは誰もいないと思うからどうかな?」


「行きたいです。」


「えっ?本当に?大丈夫?」


「はい、大丈夫です。」


人生は何が起こるかわからない、

とんとん拍子で話しが進み、私はまた山で暮らすことになった。

朝の散歩、綺麗な空気、音の無い夜。

またあの暮らしが出来る、

私の心は久し振りにウキウキしていた。


私には田舎暮らしが合っているのかもしれない。


私は最小限の物だけそろえて引越しをした、

今度の町は100人も住んでいない、

小さな町だった、

小さなアパート、小さな食堂、小さなお店があるだけの、

小さな小さな町だった。


私は小さな町の中を散歩して、

久し振りに大地からのエネルギーをチャージした。


その時後ろから、


「菜々?」と呼ぶ声がした。


振り向くとそこには春斗が立っていた。


「春斗?なんでいるの?」


「元気そうで良かった!」


「私は元気だけど、春斗も元気そうで良かった!

 で?どうしてここにいるの?」


「この町はオレが責任者なんだ!」


「えっ??春斗が?」


「名もなき町が無くなって、みんなに迷惑かけて、

今度はオレが名もなき町のような町を作ろうって思ったんだ!

小さな町だけどね・・・」


「信じられない!すごいよ!」


「ありがとう、

また菜々に会えて嬉しいよ、

この町に菜々は来るって信じてた。

ずっと菜々のことが忘れられなかったんだ・・・」


「私も春斗に会いたかった。」


春斗は私を強く抱きしめた。


「春斗痛いよ!」


「ごめん、ごめん・・・」


そして春斗は私に優しくキスをした。





私の新たな生活が始まる。

今度は前のように現実から逃げて来た訳では無い。



自分らしい暮らしをする、

日々時間に追われ、人々の中に埋もれた暮らし、

そんな暮らしは私に合っていなかった。


ここが私の居場所なのかもしれない。


私はここで暮らして行く。


この小さな小さな町で。





おわり

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