解決
春斗は少し考えてから話し始めた。
「どこから話したらいいのかわからないから、
始めから話すよ、
実は、この町にはお宝があるんだ!」
「お宝????財宝ってこと?」
「いや違う、
ここの町の建設の途中で、
山の中に武器庫みたいな頑丈な部屋を発見したらしいんだ、
その話しを聞いたどこかのお偉いさんが、
そこに隠したい物があるから隠してくれって言って、
見られたらまずい物をここ隠したらしい。」
「そんな物があったの?
春斗はじゃ・・その・・・泥棒ってこと?」
「・・・・そう、オレは泥棒ってこと。」
「警察が来るんでしょ?逃げなくていいの?」
「うん、もう逃げない・・・」
春斗は捕まる覚悟が出来ているようだった。
それから春斗は自分の生い立ちとこれまでの人生を話してくれた。
親がいなくて苦労したこと、
やさぐれて投げやりになっていたこと、
この町で暮らしてから考え方が変わったことなどを話してくれた。
「努力もしないで言い訳ばかりして、
自分の人生から逃げて来たんだ。
どんなに辛い状況でも自分次第でいくらでも、
人生は変えられるのに、
俺は・・・何もしないで楽なほうに逃げていた、
もうこんな暮らしは辞めようと思って警察に通報したんだ、
罪を償って来る。」
「それでいいの?」
「うん、もう決めたんだ。」
春斗はスッキリした表情で笑った。
それからすぐに警察が来て、
春斗と春斗の仲間は逮捕された。
名もなき町の事件は解決した。
中村裕子は意識が無く救急搬送されたけど、
命に別状は無かった。
住民は事件が解決してホッとした様子だった。
私だけは複雑な気持ちだった。
つづく




