鍵
食堂は人が少なく静かだった。
みんなコソコソと事件の話しをしていた。
犯罪とは無縁だと思っていたこの町で起きた事件にみんな怯えていた。
「管理人さんに謎の侵入者の話したほうがいいかな?」
「今はまだ話さなくていいんじゃない?」
「うん・・・そうだね・・・」
私たちはささっと夜ごはんのカレーを食べて、
私の家に戻った。
部屋は冷たくいつもより暗く感じた。
私はすぐに暖房を付けてコーヒーを入れた。
春斗がいてくれて本当に良かった。
「はい、コーヒー」
私は春斗の前にコーヒーを置いて隣に座った。
「今日は食堂すいてたね。」
「うん、あんな事件があったからみんな家にいるんだろ。」
「中村裕子もいなかったね。」
「そうだった?オレは気が付かなかった。」
私達はコーヒーを飲みながら解けない謎の話しをしていると、
春斗のスマホにLINEが入った。
「春斗ってスマホ持ってたの?」
「うん。持ってるよ。
悪い、会社に電話しないといけないから、
一度家に帰る。」
「こんな時間に?」
「うん、ついでに着替えも持って来るよ。」
「わかった。」
春斗は急用みたいで急いで家を出て自分の部屋に戻って行った。
「仕事でトラブルでもあったのかな?」
私は春斗のコーヒーカップを片付けようとして、
ソファに春斗の家の鍵があることに気が付いた。
つづく




