仮面
食堂の電気は消えていた。
「夜の食堂怖いな・・・」
私は小声で独り言を言いながら、
コッソリ食堂に入った。
食堂はまだ暖かかった。
窓際の机の下の小さな棚に、
ストールは寂しく置かれてした。
私はストールを持って多目的館を出ようとすると、
入り口の横のドアが開いているのが見えた。
いつもは閉まっているドアで、
ドアを見ると備蓄庫と書いてあった。
「ここが開いているの始めてみた。」
私はドアの中を覗いてみた。
部屋の中は見えなかったけど。
話声が聞こえて来た。
それは菊地淳の声だった。
菊地淳は電話で誰かと話している様子だった。
「扉は見つけました、はい、すぐにわかると思います。」
誰と話しているのかな?
まっいいや!寒いから家に帰ろ!
私は音を立てないようにゆっくりと、
多目的館を出て家に帰った。
「扉ってなんだろう?」
最近は不思議なことばかり起こるな・・・
考え事をしながら歩いていると、
急に肩を叩かれた。
「わっ!」
悲鳴を上げて振り向くとそこには、
中村裕子が立っていた。
「中村さん?」
「そんなに驚かないでよ!
これあなたのでしょ?」
「えっ?」
それは私の家の鍵だった。
「なんで?」
「食堂の入り口に落ちてた、
鍵を探しに行ってたんじゃないの?」
「いや、ストール忘れて取りに戻ってたの・・
でもなんで私の鍵だってわかったの?」
「こんな変わったキーホルダー1度見たら忘れないわよ。」
そこには前に買ったカッパの人形のキーホルダーが付いていた。
「あっそう・・・」
中村裕子から鍵を受け取る時に、
手に触れると、
手が冷たくなっていた。
「じゃおやすみなさい」
「あっありがとう、おやすみなさい!」
この寒空の中私のこと待ってたの?
彼女優しいのかな?
人はいくつもの仮面を被って生活している、
表の顔は優しい顔で、裏の顔は鬼のような人がいるけど、
中村裕子は鬼のような顔を表に出しているけど、
裏の顔は優しい人なのかもしれない。
人は見かけによらないと思いながら家に帰った。
つづく




