移住
名もなき町。
私はすべてを捨ててここに移住した。
ここに住み始めてもう半年が過ぎる。
すべてを捨てたというと大袈裟な表現になるかもしれない、
しかし私は「すべてを捨てた。」と思っている。
深い悩みがあったとか、
人間関係で悩んでいた訳ではないけど、
人生を変えたいと言う気持ちが日に日に強くなっていたある日。
知人からこの町の話を聞いて、人生を変えるチャンスだと思い、
私はここに移住することを決心した。
なぜ人生を変えたと思ったのか?。
すべてのことが細分化された社会が生き辛いと感じるようになり、
私はすべてを捨ててここに来た。
生きていると選択の毎日。
朝はパンorごはん
パンはトースト?サンドイッチ?
フレンチトースト?どれにしよう?
コーヒーor紅茶
紅茶はミルク?レモン?
ストレート?チャイ?
選択肢が増え自由に自分の好みのモノが手に入ると時代、
それを喜ぶ人も多いが私には苦痛だった。
こだわりの無い私には、
選択をすることが面倒になってしまった。
病名も細分がされて、
みんな何かしらの病気になっていることになり。
勉強も細分かされて、
訳のわからない学科が出来て。
どんどん選択肢の増えて行くこの時代が嫌になった。
人口は増え、犯罪は増え、心を病む人が増え。
私の心もおかしくなったのかもしれない。
つづく