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562話・時代は変わる

(ちーちゃん、俺がいま何を考えてるか、心を読んでみろ)


 心を読む能力『他心通』を持つ知里は、トシヒコの思考に戸惑いを隠せなかった。


 ──聖龍を、討つ。

 

「……は? トシヒコ、カレムの治療が先じゃないの?」


 いまはミウラサキの治療が最優先のはずだ。

 しかしトシヒコはそうは考えてはいなかった。


(ミウラサキが助かるかどうかの保証はない。けど、一命を取り留めたところで。ここで聖龍を討たなければ、勇者自治区は滅亡する)


(……ちょっと何考えてるのか分からないよトシヒコ、魔王に続いて神殺しなんて、正気なの?)


 知里にはまったく理解できない発想だった。


(ちーちゃん。認めたくねえが、花火大会の決闘。あのクソガキは〝勇者パーティ〟を壊滅寸前にまで追い込んだ。遅かれ早かれ、異界人(おれたち)排斥派が勢いづく)


 トシヒコは眉にしわを寄せた。


 ミウラサキを助けるのは当然だが、トシヒコが国家元首である以上、勇者自治区の存続や、住民たちの安全の方が優先順序に勝る。


(この戦いに勝とうが負けようが、法王ラー・スノールの影響力はデカくなる。それに加えて聖龍の存在……兵器として運用されると危険すぎる)


 歴代の法王が、聖龍を意のままに操れたかどうかは定かではない。

 しかし、あれほどの強大な存在が勇者自治区を攻めたら一たまりもない。


「……!!」


 トシヒコの思考を読んだ知里はハッとした。


 この世界にくすぶる反異世界人の存在。

 彼女自身、何度も目の当たりにしてきた。


 聖龍法王庁は現在もなお、反異世界人勢力の信仰の拠り所になっている。


「でもさ、ラー法王さまがそんな暴挙にでるとは思えない」


 知里は法王に対して、個人的な信頼関係がある。

 だからつい楽観的になってしまうが、トシヒコの考えは当然ちがう。


「そもそも引き金を引いてきたのは小僧だぜ? あんな危険な生物を野放しにはできない。勇者自治区の100年先を考えたら、ここでやるしかない」


 小夜子が障壁でラーを押さえている間に、暴れまわる聖龍を倒す。


 トシヒコの脳裏にあるのは、軍事的な脅威としての聖龍だった。


 正当防衛という概念が、この世界で通じるのかは置いておいて、いまここで聖龍を討つ。

 

 それが勇者トシヒコが決めた選択だった。


挿絵(By みてみん)


「……トシヒコ、アンタは……」


 知里はそれ以上何も言えなかった。


「……もう一つ。こんなときに何だが、ちーちゃん。もし俺たちが死んだら、勇者自治区を頼むわ。ヒナちゃんが言ってた軍事顧問を引き受けてくれよな」


 トシヒコが声に出し、真面目な顔で頼んできた。


「ちょっと待って! 何その死亡フラグ」


「……さあて、もう一度歴史を変えてくるか」


 〝濡れ烏〟を構えた勇者トシヒコが、聖龍に斬りかかった。






次回予告

※本編とはまったく関係ありません。


エルマ「直行さん♪ 4DX3Dで映画『スーパーマリオブラザーズ』観ましたわ♪」


直行「えっ、マリオの映画って『魔界帝国の女神』かよ!」


エルマ「もちろんですわ♪ ニューヨーク・ブルックリンを舞台に配管工のマリオが大活躍♪」


知里「デニス・ホッパーがクッパ役なんだよね」


エルマ「そうそう♪ 4DX3Dだと客席がグリングリン動いたり♪ 水しぶきがかかったり♪ 椅子の背もたれに衝撃が入ったり♪ アトラクション気分で盛り上がりましたわ♪ ちなみに3Dメガネは100円でした♪」


小夜子「私も『ジョーズ3D』見たわ! 3Dメガネは青と赤のやつね!」


エルマ「もちろんですわ♪ いやー映画って本当にいいものですね♪」


直行「何か色々間違ってるが、次回の更新は5月26日を予定しています」

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― 新着の感想 ―
[一言] ここまで読ませていただきました。 ドキドキの熱い展開、毎回とても楽しみにしています(#^.^#)
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