表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
421/734

419話・1000人の女奴隷

 子豚騒動はひとまず置いて、キャメルとの人質交換の話がついた。

 クロノ王国は、七福人スーパーマハーカーラとの交換に応じるという。

 ただし、将軍位の人物と一介の外交官では釣り合わないから、1000人の奴隷をつけると言ってきた。


「1000人の女奴隷で、ハーレムがつくれますね直行さん♪」


 エルマはそう言うが、今のロンレア領では、いきなり1000人の人口増は賄いきれない。

 現在の人口3000人に、縁もゆかりもない人が増えるなんて、無茶もいいところだ。

 しかも中には当然、スパイのような奴らも紛れているだろう。


「却下だ……と言いたいところだけど、相手が一歩も引かなければ代案を考えないといけないよな……」


 金銀財宝で代用できるならありがたい話だが、さすがにこちらから条件をだすわけにもいかない。

 

「1000人の女奴隷でいいんじゃないですか♪ スパイがいるかどうかは知里さんにチェックしていただき、娼館をつくるにせよ、後宮をつくるにせよ。若い女性が増えるのは華やかでよいことですわ♪」

「食い扶持はどうするんだよ。いきなり人口が1000人増えるのって無茶だろ」 

「そこは直行さんの腕の見せ所でしょう♪ 1000人を養うのが無理なら、500人くらい別の奴隷商に売り払えばいいでしょう♪」


挿絵(By みてみん)


 奴隷を転売するなんて……。

 エルマの奴、毎度のことだが転生者とは思えない発想だ。


「勇者自治区に売るのもアリでしょうね♪ 勇者トシヒコ様のハーレムに格安でお譲りすれば、少しは恩も売れるでしょう♪」

「いくら色好みの彼だって奴隷を転売されて恩に着る勇者はいないよ」


 ……いや、待てよ。

 勇者トシヒコのハーレムは論外にせよ……。

 1000人の女性を食べさせながら働いてもらう手を思いついた。

 

 ◇ ◆ ◇


「ええっ? 1000人の女性の奴隷を炊き出しに従事させるって?」


 俺はパトロール中の小夜子に連絡して、執務室まで来てもらった。

 彼女は少し日に焼けたようで、大胆なビキニ姿が、より健康的な感じになっていた。

 たとえていうなら雌豹ブラックダイアモンド。

 タヌキ顔と引き締まった肉体美のギャップが眩しい。


「キャメルを無事帰還させるには、断れない話でさ……」

「でも1000人って……」


 俺は、クロノ王国が示した人質交換の案を説明する。

 彼女はややドン引きしながら俺の話を聞いていた。


「もちろん帰りたい人は解放するとしても、全員が親元に帰れるわけじゃないだろう。そんな女の子たちを炊き出し事業の要因として働いてもらえないだろうかと思って……」

「炊き出しに関しては、農業ギルドの若い衆が協力を申し出てるけど、彼らにはここでの生活があるわけだし。正直、手は足りないと思っていたわ」


 小夜子は少しだけ乗り気になってくれた。


「ただ、1000人の女の子に食べさせる食料はどうするの? 炊き出しをやる前に、彼女たちが飢えちゃったら本末転倒でしょ」


 幸いというか、戦争が始まる前に周辺の街道沿いの農民から買い上げた備蓄の穀物がある。

 

「クバラさんや漁業ギルドの皆に相談しよう」


 ◇ ◆ ◇


 無茶ぶりかなとは思ったが、みんなに相談したら食糧問題は呆気なく解決した。

 魚面のグリフォン〝アルビオン〟と〝鵺〟による延縄漁法。

 空を飛ぶ幻獣が、小型の漁船ごと漁場まで運ぶ。

 

 漁をしている間は偵察も兼ねて周辺を周遊する。

 勇者自治区のドローンには筒抜けだが、領水問題に関しては見逃してもらおう。


 とりあえず、湖で獲れた水産物と、戦禍を避けるために購入した穀物。

 あとは出荷できない農産物などをうまく利用して、食糧事情のめどはついた。


「直行さん♪ コッパイ公爵家からいただいた子豚さんを繁殖させて、食肉用の家畜を飼育するのも手ですわね♪ 何ならあたくしが肉塊だけ『複製』するのもアリですわ♪」


 エルマは相変わらずだが、無視した。


「よし。レモリー、クロノ王国あてに書状を送ろう。こちらは条件を飲むから、キャメルを返してもらおう」

「はい。承知しました直行さま」


 普段はクールなレモリーも、キャメルの帰還に心なしか嬉しそうだ。

 問題は捕虜交換の場所と時間の策定だ。

 クロノ王国は少しも油断できない。


 さて、捕虜交換はどうなることやら……。

次回予告

※本編とは全く関係ありません


「直行さん気がつきました? 前回と今回はAIによる自動彩色を試してみたんですって♪」

「道理で変な色づかいだと思った」

「線画さえ描いておけば自動で色塗りをしてくれるなんて、便利な世の中になりましたわね♪」

「……技術の進化には驚かされるばかりだな」

「小説の執筆はすでにAIがやっていますわね♪ 次回以降は『AIのべ○すと』による自動執筆でいいじゃないですか♪ そうしましょう♪」

「バッドエンドになったらどうするんだ。ただでさえ俺たち悪名高いし」

「それは困りますわ♪」

「それに結末ををきめるのはAIじゃなくて、俺たちだ」

「珍しくカッコいいこと言うじゃないですかー♪ さて次回の更新は3月1日の予定ですわ♪ お楽しみにー♪」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ