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今この瞬間、これがかのいうギックリ腰というものなのかと呻いてる。

 今日は、お米と『紅まどんな』と『アエラちゃん』を迎えに実家に戻った。


 朝一番のバスに乗り、約20分揺られ、郊外の高台が実家である。

 5キロのお米をたとえ重くとも、持って帰る気満々だったのだが、帰ってみると、弟妹は仕事に出かけ、母は洗濯と掃除、父は夜勤で帰って眠ったばかりと聞き、実家のワンコのクゥと散歩に行く。

 ユエさんは散歩が嫌いで、トイレくらいしか出ないのだが、11歳のクゥはやんちゃで好奇心は衰えていないらしい。

 グイグイ引っ張るのを何くそーっと引っ張り返し、並んで散歩である。

 そうすると、クゥの服や毛に、黒い棒状のくっつき虫……本物の虫ではなく、植物の種である……があちこちに絡まっている。


「うわっ、面倒な。クゥさんは毛が長いから困ったな……」


 しかも、取ろうとすると噛み付こうとする。

 ちなみにユエさんは、これが付いていても最近慣れたのか、


「ユエさん、なんか付いとるけん取るよ〜?すぐとるけん我慢して?」


と言うと嫌がらなくなった。

 一年半の仲は中々良くなっているみたいだ。


 ところで、クゥと散歩に出ると、実家の前の道路に点々と様々な雑草が生えていた。

 こう言う雑草はセメントの隙間に生え、周囲から舞い落ちる落ち葉などを養分にして大きくなる。

 定期的に落ち葉を掃いて、父は植えている家庭菜園の野菜の苗の上にかけたり、ビニール袋に入れて、積み上げ腐葉土にする。

 最近、父は夜勤が多く掃除ができていないのだろう。


「帰ったら、掃除やな……」




 散歩を終え、まずハサミを持って行き、家の前の道路の雑草を確認する。

 くっつき虫は二ヶ所、他の雑草はまた今度だ。

 根っこはかなりはっているので、枝と茎を切ると、実家の駐車場に運ぶ。

 1ヶ所目はそんなに大きくなかったのですぐだったが、2ヶ所目は枝分かれしていて、切っても切っても終わらない。

 三往復した後、落ち葉をほうきで掃いていく。

 新しい50Lゴミ袋に入れていくものの、すぐに一杯になり、グイグイと押して、空間を作っては入れていく。

 そして、一杯になった袋を実家の家庭菜園の横に積み上げる。

 前は穴を掘り、その中に落ち葉を入れて石灰をまきその上に土を被せ、今は大根とタマネギ、スナックエンドウを植えたが、春になり収穫を終えたら、入れる為に溜めておこうと思ったのだ。

 腐葉土を買うこともできるが、その材料はここにあるのだ。

 残しておいて悪くない。


 三往復して、軽いもののおおばしい袋を3つも運ぶとぐったり。

 膝が笑う、腰が痛む……でも、くっつき虫の枝が残っている。

 すると母が出てきて、


「お疲れ様。後はしておこうか?」

「ううん、やる……」


 二人でやれば早い。

 膝をついて必死にハサミで短くして、種が飛ばないように入れていくが、終わらない、種が飛ぶ、服にくっつく。

 でも、疲れたと言っても、し始めたことを途中でやめられない。

 何とか終わった時には、喋るのも辛いほど疲れ果てていた。




 半分這うようにして実家に上がったが、お昼を食べ少しして外に出ると、あれだけ綺麗にはいたはずの道路が落ち葉で覆われていた。

 まぁ、私がしたのは、前に父に聞いていた体が不自由なおばあちゃんのいる左の隣家の前と家の前、そして、右の隣家の前にある排水溝まで。

 その両側から、上から風で落ち葉が落ちたのだろう。


 この時に、仕方ない自然の摂理と思っていたら良かったと、今更思う。

 しかし、一回やり始めると完璧にしておかないとと思う自分がいて、急いでほうきとちりとりとゴミ袋を取りに戻ったのだった。

 そして、左の隣家のもう少し上からまたほうきで掃いてはちりとりで取り、途中からは面倒になって腰をかがめ、枯れ葉をゴミ袋に入れ、を繰り返し、先程終わらせた地点まで綺麗にして、


「やったぁ!出来た!」


とゴミ袋の口を縛り、ほうきとちりとりを持って立ち上がろうとした瞬間!

 坐骨神経痛に似ているが、ちょっと違うような激痛が走った!


「い、いだだだ!」


 膝をつき呻く私の声に、ちょうど家庭菜園の水やりをしていた父が近づいてくる。


「どうしたんぞ?」

「と、ととさん……腰が……坐骨神経痛じゃないけど痛い……」

「はぁぁ?お前、それ、ギックリ腰やないんか?」

「えぇぇぇ!そ、そんな……私がギックリ腰……」

「否定する前に、動けるか?救急車呼ぶか?」


 真っ青になる。

 腰痛で救急車……恥ずかしすぎる。


「だ、大丈夫!帰らな、ユエさんが待ちよるけん……イタタタ!」


 何とか足を引きずりながら実家に帰って、横になる。


「その状態で動けまいが……ユウは連れてくるけん、今日明日はここで寝とけ」

「うぅぅ……はい」


 ギックリ腰はいつ起こるかわからないことを、実体験した私だった。

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