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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
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第94話 神のご加護さ!

 セイは大聖堂の入り口から飛び込んでいくと、剣から解放されたハマリエルに切りかかった。ハマリエルが指弾をこちらへむける。教会の中央お通路の床に黒い空間があらわれたかと思うと、そこから数十本という剣が飛び出した。

 ハマリエルが手を伸ばしたすぐ先に、剣の壁がたちふさがり正面をふさぐ。が、ハマリエルのビームは発射をとめられない。そのまま両指から放たれたビームが、剣の壁にぶつかり、ビームをはね返す。

 跳ね返ったビームはあらぬ方向へ四散するが、そのうちの何本かがハマリエルのからだを貫いた。

「うそでしょう」

 自分の攻撃ではね返されたことに驚愕(きょうがく)の目をむけた。

「はね返すですってぇ。前回は全部打ち砕いたはずよぉ」


「神のご加護さ!」

 セイはハマリエルの前にある剣の壁を両脇にずらすと、ひらいた正面から飛び込んで剣をふるった。切っ先がハマリエルの首をとらえる。 

 

 ハマリエルの首が刎ねとぶ——


 セイは自分のふるった剣のスピード、間合い、角度からそう確信した。と、同時に今のハマリエルなら、その剣を避けているとも感じた。


 セイは横に剣を振り切るやいなや、すぐさま逆手で反対側に剣をふり戻した。

 

 が、どちらも手応えがなかった。


 逃げられた——


 その瞬間、天井のほうから放たれたビームの光が見えた。セイは踏み台にしていた刀を、思いっきり踏みしめて真横にジャンプした。セイが真横のごつい柱にぶつかった瞬間、自分がいた空間に何本ものビームが交差した。


 ちっ!


 天井から舌打ちが聞こえたが、セイはそれが聞こえた方向へむけて、数十本の剣を飛ばした。弾丸のように飛び出した剣が、アーチ状の教会の天井につきささる。


『ざーーんねん』

 ハマリエルの声が館内にこだまする。音が響いて、どこにいるのか特定できない。

『あたくし、空気の壁なんかに邪魔されなければ、目にもとまらないスピードで動けてよ』


『こんな風にね』

 その声はセイの耳元で聞こえた。

 ハッとしたが、すでに遅かった。背後の至近距離からビームが撃ち込まれていた。セイには避ける一瞬の間もなかった。背中にビームを集中されて、セイのからだが前にはじき飛ばされた。

 教会の椅子を数脚なぎ倒しながら、祭壇のほうへからだが転がっていく。


 床の絨緞(じゅうたん)にからだをこすりつけられて、セイのからだがとまった。


『おーーほっほっ、つよくなったと意気がってみせても、その程度ですよ』

 セイはよろよろと立ち上がり、ハマリエルのほうへ向き直った。

「ああ、いまのはさすがに避け切れなかった」

 そう言いながら、学生服のボタンをはずして前をはだけると、身につけていた甲冑(かっちゅう)をあらわにした。


『な、なんですってぇ』

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