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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
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第70話 あんたを始末したあとで、殺しにいくからいいけど

「あら、おじさんはもう戻ったの?」

 ハマリエルがすこしあきれたような声で言った。


「ジャンヌを守ってもらいたくてね」

「あ、そう? どうせ、あんたを始末したあとで、殺しにいくからいいけどね」

「そうはさせない」


「片腕しかないから? ホント、人間って甘いのね」

 そう言うなりハマリエルの指先からビームが発射された。セイがすばやく剣を翻して、それをはね飛ばす。が、先ほど同様、ハマリエルは高速移動して、次のビームを撃ってきた。

 目の前にはまだ残像があるのに、横からビームが飛んでくる。

 ぎりぎりのタイミングでそれをはね飛ばしたが、次の瞬間には背後からビームが飛んできた。

『くそっ!」


 セイは背後に展開していた日本刀の盾をはね上げて、そのビームを防御したが、次の上からの攻撃には反応が遅れた。はじき飛ばそうと刀を上へもちあげたが、そのときにはビームはセイの太ももを突き抜けていた。


『速いっっ!』


 足がぐらつき、踏みしめていた、空飛ぶ刀から足がすべった。そのまま落下するセイ。が、反射的に手を伸ばして、むき身の刀身をつかんだ。手のひらから血が噴き出し、びりびりとした痛みがからだを走った。

 だが、セイはその痛みにはかまってなかった。勢いよくからだを引き上げると、刀の峰に足をおくなり、おおきくジャンプした。その瞬間、下方にビームが走った。

 ついさっき、セイがぶらさがっていた位置だった。


『あぶなかった』


「あ〜ら、ざんねん」

 ハマリエルの声が暗闇に響いた。

 月明かりだけでは、ハマリエルがどこにいるのかが特定しづらかったが、それなりに離れていることだけはわかった。


『こちらの間合いには近づきたくないってことか』

 セイは手のひらを下にむけた。

 ロワール川のなかから静かに刀剣がせり上がってくる。水をしたたらせながら中空に舞いあがってくる刀剣の数は数千はくだらない。それが格子状に交差した形のまま浮き上がってくる。

 それはまるで川面に敷き詰めた刀剣の絨緞(じゅうたん)のようだった。


『だったら、こちらから間合いをつめるまで』


 セイは自分の足元まであがってきた刀剣の絨緞のうえに降りたつと、対岸のオルレアンの城壁方向へむかって走りだした。


『いたっ!』


 セイはオルレアンの城壁の上にいるハマリエルを発見した。刀剣の絨緞はオルレアンに届くほどまで伸びていたが、高低差はまだ数十メートルあった。

『あの高さまで刀剣をあげている余裕はないっ!』


 セイは走る勢いのまま、ジャンプした。

 刀をぐっと握りしめる。

 斜め下から弾丸のように飛び込むと、剣を一閃した。

 が、ハマリエルはそれを待ち構えていたように、指先をセイのほうへむけた。


 ハマリエルは5本指をひろげていた。


 ひとさし指だけじゃない——!

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