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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
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第69話 リアム精神集中

 リアムは地面に降り立つと、目をとじて精神集中をはじめた。

 セイに公言したものの、ハマリエルをほんとうにとめられるか自信がなかった。 あれほどの強敵を(あざむ)くことができるだろうか?

 セイの怪我の修復のために、すでに精神力をかなり使い果たしている自分では、ハマリエルの攻撃を受けとめることができるか、リアムの自信はおおきく揺らいでいた。


 だが——

 セイはやれると信じている。


 ならばやるしかない。


 リアムは空気の層を作りだそうと、手を前に突き出した。

 その瞬間、異変に気づいた。

 

 空気が集まってこない?


 よく見れば大気が揺らめいていて、目の前の空間に空気の壁が築かれているのはまちがいない。だが、それまでの圧倒的な集約力はない。


「アランソン……いえ、リアム様、どうされました」


 あとから追いかけてきていたジャンヌ・ダルクが、馬上から声をかけてきた。

「ああ、ジャンヌちゃん。なんでもないよ」

「なんでもない? わたしには困り果てた顔にしか見えませんよ」

「えーー、そんな変な顔してるかい」

「はい。残念ながら……」


「はは、参ったね」

 リアムは笑ってごまかそうとしたが、ジャンヌの真剣な目がそうさせてくれなかった。真実を話してほしい、と懇願するような視線がリアムを射る。


「セイに……セイに援護を頼まれたんだがね。どうやら……弾切れらしい」

「弾切れ?」

「ああ、能力(ギフト)の源が切れかかってるっぽい」


「それはどうしてですか?」

 ジャンヌを警護するために一緒についてきたジル・ド・レが尋ねてきた。


「ジル将軍、単純な話さ。ちぃとばかりやられすぎちまった。あいつ強すぎるンでね。それに……いや……不徳のいたすところさ」

「セイに力を分け与えすぎたのですね」

 ジャンヌがリアムの目を見すえたまま言った。


「そんなこたぁねえさ。だけど、もちっと出し惜しみしてもよかったかもな」


「リアム殿、それなら休まれたほうが……」

 合流してきたラ・イールが心配そうな顔をする。


「ラ・イール。そうはいかねぇのよ。セイはここで決着つけるつもりでね。あいつひとりでどうこうできる相手じゃないから……」

「ですが、リアム殿の力が及ばなければ、セイ殿も危険なのではありませんか?」


「ああ、そうだな……」

 リアムはセイが潜む暗闇のほうに目をやった。

 



「命懸けで精神集中しないとな」



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