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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
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第66話 ハマリエル変化

 いつになったら終わるのだろうか——


 リアム・ミィシェーレはハマリエルからの攻撃を空気の壁で受けとめながら、ぼんやりとそう思った。


 ハマリエルはすでに少女のあどけない姿を捨て、その地位と能力にふさわしい姿に変化し終えていた。

 毒々しいまでの色彩に彩られた皮膚、どこの時代のどの民族ともつかないけばけばしい衣装。顔かたちは人間同等でありながら、爬虫類にも、鳥類にも見え、そしてどれにもカテゴライズできなかった。端正な作りであるのはわかったが、まとわりつく邪気のせいなのか、どこかいびつで、どんなに好意的にみても、不気味さだけしか読み取れなかった。

 どの角度からみてもモンスターでしかなかったが、人間サイズの範疇(はんちゅう)から外れないおおきさを考えると、おそろしいまでに濃縮された邪悪、というイメージがこころに迫る。


 ハマリエルの指先からレーザービームが発射された。右、左とリズミカルに連弾される。

ビームはリアムが作りだした空気の壁を貫き、レ・トゥーレル砦の壁の一部を破壊する。


 くっ! はね返すどころか、弾道をそらすのも厳しくなってきやがった。


「そろそろ限界かしらね」

 ハマリエルがにたりと笑った。声は変化前の女口調のままのしゃべり方だったが、見た目同様に変化し、雑音めいたものになっていたため不快でしかなかった。


「なぁに言ってやがる。こっちは元気万々だよ。本領発揮はこれからだよ」

「はん、ただの時間稼ぎでしょうに」

「時間稼ぎぃ? なに言ってンだ」


「あの少年の回復を待ってるんじゃなくって?」


「セイのことか?」

「セイ? へえ、そういう名前なのですね」

「あいつの名前はユメミ・セイ。覚えとけ。てめえを倒すヤツの名前だ」

「あら、わたくし、名前には興味ないの。とくに人間の名前はね」

「ほう、趣味が合うじゃない。おれも名前には興味ないんだ」


 リアムはこれ以上ないほどの薄ら笑いを浮かべて言った。

「とくに悪魔の名前にはね」


 その瞬間、ハマリエルの指先からビームが放たれた。が、攻撃を予測し何層にも重ねておいた空気の壁がはね返した。

「ほら、本領発揮しただろ?」

 リアムは余裕の表情を装ってみせた。

「にしてもいくら悪魔だからって、二重規範(ダブスタ)ってぇのはいただけねぇじゃないのさ」


「おまえのようなただの人間が、黄道十二宮に属するわたくしと同格なわけないでしょうが!」


「まぁ、そうだね。あんたがどんなに上位の悪魔だろうと、しょせん人間の想像の産物だ。同格ーーっか、アメーバー以下なんだから、人間様と比べること自体が失礼ってモンだ」

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