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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
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第64話 傷の修復に精神力を集中させろ!

 セイは飛びそうになる意識を必死で保っていた。


 リアムから精神力の欠片をわけてもらっていたが、自分のダメージは自分でしか修復できないのだから、ここで意識をうしなってしまっては絶対に駄目だった。


 傷の修復に精神力を集中させる。

 だが、思考は別のことにをひたすら考えていた。


 一撃しか喰らわなかった——


 ふいをついたとはいえ、両指から連続して撃たれる可能性もあった。いや、それよりもあの光の矢をあっという間に夜空に現出してみせたのだから、一本の指からでも連発をうけてもおかしくなかったはずだ。


 だがたった一撃——


 一撃で充分だと思ったのか、それとも……


 ふと、先ほどハマリエルが光の矢を作りだしている光景を思い出した。ひとさし指を立てて両手を空にむけて、リズミカルにふりながら、光の指弾を撃ちだしていた。

 左右の指から交互に光が撃ちだされていき、光の矢となって中空に留まっていく。


 両方いっぺんじゃない!


 そう、ハマリエルの攻撃は両指から一緒に発射されたことはない。

 ドラゴンの背中で切り落としたはずの左腕から撃たれたとき、同時に右腕から出ていない。

 つまり、連続攻撃はできても、一度に発射できるのは左右の指、どちらか一方だけなのだ。交互にしか攻撃できない可能性が高い。

 さきほどわざとらしく自分の弱点をさらけ出したのは、この事実を隠すためだったのかもしれない。


「リ……アムさん……」

「セイ、しゃべるな。今は回復に専念しろっ!」


「あいつ……一撃……しか……だせない……」

「は?」

「りょう……腕から……いち……どに撃て……ない」


 それだけでリアムはセイの言いたいことを理解してくれたようだった。セイの胸の穴に手を押しつけたまま、なにかを思い出そうとするように左上に目をむけたかと思うと、ぼそりと呟いた。


「たしかに……そのとおりかもしれん」

 セイに目をむける。

「あいつはおなじ指から続けざまにビームを出せない。いや、出せるが、そうしようとしたら、溜めの時間が生じる。まぁ、たかだがゼロ・コンマ何秒かだがな」

 

「ええ……」

「どうすれば……」


「もう一度……腕を斬り……落とします。それを……封じれば……」

「そうか。あいつの攻撃力は極端に弱まる」


 リアムはセイの胸からゆっくりと手を離すと、様子を見ながら立ち上がった。心配そうな目をむけてはいたが、あとは何とかしろ、という合図にもみえた。


「おれが時間を稼ぐ。セイ、そのあいだに回復させろ。おまえさんの剣が必要だからな」


 リアムは手の中に力を(みなぎ)らせながら言った。


「おまえさんが、あいつの腕を斬ってくれりゃあ、そのあとはおれがなんとかする」

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