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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
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第50話 セイ、逃げろ! あいつは強ぇ

 ハマリエルの指からビームが放たれた瞬間、セイは中空から100本近い日本刀を呼びだし、自分のまわりをぐるりと取り囲ませた。そしてその円形のまま、ドラゴンのおしりに一斉に突き立てた。

 

 ギャワワワワン


 ドラゴンが痛みにからだをくねらせる。

 と同時に、リアムの空気の壁を避けるように、おおきく外側に弾道を歪ませてビームがセイに襲いかかった。


 バキバキバキッッッッッ


 自分のまわりを取り囲んでいた刀の防御壁がへし折れる音。四方から押し寄せる。セイはおおきくジャンプしてその囲いから飛び出した。その瞬間、すべての刀が砕け散った。


 あぶない……


 刀を束ねて作った防御壁を、こうも簡単に砕かれるのははじめてだった。

 セイはリアムに戦いの指示を仰ぐしかないと考えた。

「リアムさん……」


 リアムが倒れていた。

「リアムさん!」


 あわてて駆け寄ると、リアムは目をみひらいたまま真上をみてた。

「やられた。今のビームはフェイクだったよ。あのヤロウ、同時に電流みたいなモンをドラゴンの背中にも流しやがった。おかげで感電して……からだが動かねぇ」

「そんな…… ぼくはたまたまジャンプしたから……」


「セイ、逃げろ! あいつは強ぇ」

「バカなことを言わないでください。あのトラウマを倒さないと、メスさんの未練は果たされない」

「現世の昏睡病患者を助けテェのはわかる。だが、あれは危険すぎる」

「なんとかしてみせます」


 セイはそう言うと、中空からものすごい数の大剣を呼びだすと、倒れているリアムのまわりをぐるりと取り囲ませた。

「すくなくともこれで直撃は防げるはずです」

「セイ、なにをするつもりだ!」


「あのハマリエルとかいうヤツと戦います!」

 セイは日本刀を中空から引き抜いて身構えた。


「あれあれ、弱いくせにわたくしにタイマンを挑むつもり? 命知らずね」

「逃がしてくれるわけじゃないだろ」


「あら、逃がしてあげてもいいわよ」

 ゾッとするような笑い顔をむけてきた。


「ジャンヌ・ダルクをここで殺させてくれたらね。そうしたら未練が晴らされず、現世の魂は元の世界に戻れなくなるでしょう」


 セイはぐっと唇を噛みしめた。

「そんなことさせない」

「だと思った」


「じゃあ、ここであなたがたを殺しておくしかないわ」

 ハマリエルが指先をセイのほうへむけた。が、セイはその前に動いていた。ドラゴンの背中の上をジグザグに動いて、ハマリエルの死角から斬りかかる。

 指先からビームが放たれた。

 そのビームをセイは剣の腹ではねのけた。


 が——


 ピキンという硬い音をさせて、刀は真ん中から折れた。


 バカな!

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