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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
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第46話 ドラゴンってほんとうに中世にいたんだ

「ドラゴンってほんとうに中世にいたんだ」 

 リアムが嬉しそうに言った。


「そんなわけないでしょう!、リアムさん」

「じょ、冗談だよ。セイ、ジョーダン」

「あんなのが現われたってことは、グラスデールはトラウマじゃなかったってことです。まだ黒幕がいるってことです」


「わかってたよ」


「わかってた?」

「うん、だってきみがグラスデールと対峙したとき、『まずはこいつを倒してみるがいい』と言ってたでしょ。『オレを倒してみるがいい』じゃなくってさ」

 セイはその瞬間のことを思い浮かべた。たしかにあの瞬間、なにか違和感を覚えたが、それがなにかわからないまま戦っていたことを思いだした。

「たしかに……だったら、なんで言ってくれなかったンです」


「いやぁ、その前になんかすっげぇ盛りあがっちゃってたからさ。ま、こんなに速攻で水を差されるとは思わなかったけど」

「どうするんです?」

「倒すっきゃないでしょ」

「ドラゴンを?」

 リアムは残念という顔をしてみせた。


「ちがうさ。そのドラゴンの上に乗っかってる黒幕。きみのいうところのトラウマさ」

 セイは目を眇めると、ドラゴンを凝視した。


 ドラゴンの背の上にだれかが乗っているのが見えた。


「あれはイングランド軍指揮官、ジョン・タルボットだ!」

 フランス軍のだれかが叫ぶのが聞こえたかと思うと、たちまちフランス軍兵士のあいだに畏怖の声がもれはじめた。

「ヴェルヌイユの戦いじゃあ、フランス・スコットランド連合軍は7000も殺された……」

「ドラゴンを操っているって……あの男は人間じゃないのか」

「アランソン公はあの戦いで捕虜になったんだ……」

「ああ、イングランドじゃあ、その勇猛果敢さから『イングランドのアキレス』と呼ばれているらしい……」


「やれやれ……戦勝気分が台無しだ」

 リアムが背後からの声を聞きながら、肩をすくめてみせた。

「あいつを叩き落とすか!」


 そう言ったかと思うと、リアムが手をふりあげて、そのまま地面に叩きつける仕草をしてみせた。


 ドラゴンがグエッと咽喉をつまらせるような声をあげ、みるうちに落下していく。自由落下のスピードではない。なにか強大な力で、上から押しつけられたように、一気に落下していく。

 羽根をを羽ばたかせて、あらがうこともできない。


 ザバーン!!


 盛大な水音をたててドラゴンがロワール川に沈んだ。

 その光景にだれもが唖然としているなか、リアムはセイの背中を軽く叩いて言った。


「さて、トラウマさんを倒しにいきますかね」


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 ドラゴンが落下した場所はオルレアンの街からすこし離れた場所だったが、その巨躯を考えればけっして油断できるほどの距離ではなかった。

 リアムは人間離れしたジャンプで跳躍し、ドラゴンの落下地点へむかった。セイはそのうしろに続いたが、その跳躍力についていくのがやっとだった。

 

 夕闇のなかでドラゴンの咆哮があがった。

 空気をゆるがすような羽ばたきの音がして、ロワール川のなかからドラゴンのからだが浮き上がってきた。

「セイ、あいつの背中に飛びうつるぞ!」

 リアムが叫んだ。


「はい!」

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